女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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お茶目な女王様

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 請ければ逆賊、三国からのお尋ね者。そう聞いてどっしり構えられる冒険者は少ない。円卓を見詰めるお嬢様達もその例に漏れない様子。埒が明かんので口を挟むか。

「取り敢えず、女王に伺いを立てる」

「ど、どっちの!?」

カルーセルがどうでも良い事聞いて来る。それだけ動揺してるのだろう。俺は目を瞑ると《白昼夢》で移動して、《念話》で内容を伝えた。

「良し。今から謁見に行こう」

「は?そんな気軽に旅に出るみたいな事」

「国の一大事だぞ?ほれ立て立て」

皆を立たせて並ばせて、《転移》を使って移動する。

「うっ、…此処は?」「吐きそう…」

「控えよっ!」「女王陛下の御前であるっ!」

目を開けて飛んじゃった迂闊者に怒声が飛ぶ。女達は辺りを見て、直ぐに平伏した。

「知らん者の所よりは此方が良いと思ってな」

「久しいな、カケラント王。妾候補を見せびらかしに来たか」

簡単に内容説明したでしょうが。女王デリーは玉座から立ち上がると俺に座れと手で招く。俺の城じゃ無いから断りたいんだが。しつこく招くので仕方無いと諦めて座ると膝の上に座って来る。お茶目な女王様だ。

「で、国の大事と聞いたが?その方、説明せよ」

「はっ!」

ハリシュは面を上げぬまま、さっきの話を説明して行く。面では女王が俺に抱き着き頬擦りし、家臣達を凍り付かせているので、そのまま面は上げないでくれ。

「して、其方等は何方に従く?国か、国賊か」

「それは勿論っ、国で御座いますっ」

「それが良いな。ああ、忘れておった、面を上げよ」

上げちゃうのかー。面を上げた五人は更に固まった。そりゃあ玉座に俺が座ってて、その膝の上に女王が横座りして抱き着いてんだ。固まりもする。

「ふ、不敬ではっ!?」

思わず口にし手で覆うバンドンに、女王は寛大な言葉を返す。

「このお方はカケラント国国王、カケル・カリバ・カケラント様で在らせられる。我が国と帝国の戦を止め、枯死寸前であったウラシュ島の復興を為された英雄である。そして我が妹の夫であり、私の想い人だ。不敬には当たらん」

「女王、そろそろ勘弁してくれ。英雄も勇者も止めて欲しい」

「女王を膝抱きに出来る者等勇者か英雄だけだ。さも無くば不敬に当たるぞ?」

そう言って立ち上がる女王は引き際を心得て居られる。

「ハイネルマールの件はこれより国が取り持つ。其方等は依頼を断り、冒険者カケルの庇護を受けよ。襲撃等は起こらんとは思うがな」

「承りまして御座います」

「「「承りまして御座います」」」「ははあっ」

「カケル、また来い。国の大事を守ったお前には礼をせねばならん」

「偶々なんだがな。抜け出してみるよ」

席を立とうとする俺に女王は抱き着き、下々に見せ付けるようなキスをする。お持ち帰りしたいぜ…。

「必ず行くから」

「待っている」

 謁見を終えて、宿の裏庭に《転移》する。今度は皆目を閉じてて平気な様だ。

「本当に王で在られたとは…」

「不敬な発言の数々、どうかご容赦頂きますよう、お願い申し奉りまして御座います」

ハリシュに続いて平伏するバンドンが許しを乞う。

「バンドン。俺からの要求は二つだ」

「はっ、何なりとっ」

「獣人とも仲良くなれ」

「はっ」

「俺に抱かれろ」

「…ははっ」

「皆もだ。庇護する対価とでも思ってくれれば良い。その実俺はお前達と交合いたいだけだからな」

「「「はっ」」」「ははあっ」

上から責めるのは好きでは無いが、偶には良いだろう。ケーンケーンの山羊頭を撫でると宿を引き上がらせた。


 ハイネルマールとの交渉はハリシュと、現貴族のバンドンが行う。ケーンケーンとカルーセル、そして敢えて汚くしてるタックは留守番と言う事で、まだ昼の部が始まらぬ入浴施設に連れて行く事になった。

「終わったら此処に逃げ込めば良いんだな?」

「ああ、俺の店だ。匿うのは他の場所だが、今一番近いのは此処だからな」

バンドンの問いに答えると、交渉組の二人は港へ向かって歩いて行った。





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