女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
1,442 / 1,519

お茶目な女王様

しおりを挟む


 請ければ逆賊、三国からのお尋ね者。そう聞いてどっしり構えられる冒険者は少ない。円卓を見詰めるお嬢様達もその例に漏れない様子。埒が明かんので口を挟むか。

「取り敢えず、女王に伺いを立てる」

「ど、どっちの!?」

カルーセルがどうでも良い事聞いて来る。それだけ動揺してるのだろう。俺は目を瞑ると《白昼夢》で移動して、《念話》で内容を伝えた。

「良し。今から謁見に行こう」

「は?そんな気軽に旅に出るみたいな事」

「国の一大事だぞ?ほれ立て立て」

皆を立たせて並ばせて、《転移》を使って移動する。

「うっ、…此処は?」「吐きそう…」

「控えよっ!」「女王陛下の御前であるっ!」

目を開けて飛んじゃった迂闊者に怒声が飛ぶ。女達は辺りを見て、直ぐに平伏した。

「知らん者の所よりは此方が良いと思ってな」

「久しいな、カケラント王。妾候補を見せびらかしに来たか」

簡単に内容説明したでしょうが。女王デリーは玉座から立ち上がると俺に座れと手で招く。俺の城じゃ無いから断りたいんだが。しつこく招くので仕方無いと諦めて座ると膝の上に座って来る。お茶目な女王様だ。

「で、国の大事と聞いたが?その方、説明せよ」

「はっ!」

ハリシュは面を上げぬまま、さっきの話を説明して行く。面では女王が俺に抱き着き頬擦りし、家臣達を凍り付かせているので、そのまま面は上げないでくれ。

「して、其方等は何方に従く?国か、国賊か」

「それは勿論っ、国で御座いますっ」

「それが良いな。ああ、忘れておった、面を上げよ」

上げちゃうのかー。面を上げた五人は更に固まった。そりゃあ玉座に俺が座ってて、その膝の上に女王が横座りして抱き着いてんだ。固まりもする。

「ふ、不敬ではっ!?」

思わず口にし手で覆うバンドンに、女王は寛大な言葉を返す。

「このお方はカケラント国国王、カケル・カリバ・カケラント様で在らせられる。我が国と帝国の戦を止め、枯死寸前であったウラシュ島の復興を為された英雄である。そして我が妹の夫であり、私の想い人だ。不敬には当たらん」

「女王、そろそろ勘弁してくれ。英雄も勇者も止めて欲しい」

「女王を膝抱きに出来る者等勇者か英雄だけだ。さも無くば不敬に当たるぞ?」

そう言って立ち上がる女王は引き際を心得て居られる。

「ハイネルマールの件はこれより国が取り持つ。其方等は依頼を断り、冒険者カケルの庇護を受けよ。襲撃等は起こらんとは思うがな」

「承りまして御座います」

「「「承りまして御座います」」」「ははあっ」

「カケル、また来い。国の大事を守ったお前には礼をせねばならん」

「偶々なんだがな。抜け出してみるよ」

席を立とうとする俺に女王は抱き着き、下々に見せ付けるようなキスをする。お持ち帰りしたいぜ…。

「必ず行くから」

「待っている」

 謁見を終えて、宿の裏庭に《転移》する。今度は皆目を閉じてて平気な様だ。

「本当に王で在られたとは…」

「不敬な発言の数々、どうかご容赦頂きますよう、お願い申し奉りまして御座います」

ハリシュに続いて平伏するバンドンが許しを乞う。

「バンドン。俺からの要求は二つだ」

「はっ、何なりとっ」

「獣人とも仲良くなれ」

「はっ」

「俺に抱かれろ」

「…ははっ」

「皆もだ。庇護する対価とでも思ってくれれば良い。その実俺はお前達と交合いたいだけだからな」

「「「はっ」」」「ははあっ」

上から責めるのは好きでは無いが、偶には良いだろう。ケーンケーンの山羊頭を撫でると宿を引き上がらせた。


 ハイネルマールとの交渉はハリシュと、現貴族のバンドンが行う。ケーンケーンとカルーセル、そして敢えて汚くしてるタックは留守番と言う事で、まだ昼の部が始まらぬ入浴施設に連れて行く事になった。

「終わったら此処に逃げ込めば良いんだな?」

「ああ、俺の店だ。匿うのは他の場所だが、今一番近いのは此処だからな」

バンドンの問いに答えると、交渉組の二人は港へ向かって歩いて行った。





しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

処理中です...