お前ら、何でスキルを1度しか習得しないんだ?ゴミスキルも回数次第で結構化けます

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物の価値くらい勉強しろよ

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 ソーサーと水でお腹を満たし、地獄のスライムマラソンの始まりだ。これが終わらないと仕事に出かけられない気がする。それに星2つの効果は凄く見てみたい。99枚は直ぐに、と言ってもそれなりに時間がかかって終わった。

スキル : 急所外物理抵抗☆

急所外物理抵抗 : 急所以外の物理攻撃に抵抗力を得る為のスキル。急所以外への物理攻撃に関する防御力が僅かに増す。

 ☆が付いて極が消えた。気になってるんだけど、抵抗力と防御力は違うのかな?スライムみたいにぷよんってなるのだろうか?

 そこから夕飯までに200枚ちょっと、夕飯を食べて風呂…に入り、洗い物をお願いして、待つ間に100枚以上は噛み千切った。おばちゃんが引く程だったよ。噛み千切ると同時に思い切り口と鼻で吸い込むと効率よく煙を吸える事を発見してから更に早くなったと思う。パク、ビリ、スーハー、ペッ、のルーティーンだ。ペッってしたのはちゃんと拾って帰ったよ?数オコンすると消えちゃうんだけど汚すのは良くないからね。
 キレイになった服を畳んで持ち帰り、ヨレヨレに着替えて夜更かし開始。

パク、ビリ、スーハー、ペッ、パク、ビリ、スーハー、ペッ

 無心で体を動かす。半分寝てたかも知れない。朝になり、気付いたら終わってた。

スキル : 急所外物理抵抗☆☆

急所外物理抵抗 : 急所以外の物理攻撃に抵抗力を得る為のスキル。急所以外への物理攻撃に関する防御力が少し増し、痛みを少し抑える。

 ☆が増えた。僅かが少しに変わり、追加効果が増えた。物理に関しては硬化の上位スキルになったな。眠気覚ましに井戸で顔を洗い、朝食を食べたら装備を着込んで採取に出た。殴られたい訳じゃないけど、スキルの効果を確認してみたいんだ。

 街の門から木の門までの移動時間がだいぶ縮んだ気がする。走る、脚力、体力、それに鎧の効果もあるかも知れない。マジックバッグに防具とリュックと剣鉈以外全て仕舞えたのでとても軽いのだ。走ーーーーる!早足っ走ーーーーる!早足って感じで走る距離と速さが増した。

「お、久しぶりだなゲイン、カエルの呪いが解けたのか?」

「おはよう。美女のキスで元の姿に戻れたよ」

「マジか!?」

「嘘だよ。晴れてるから仕舞ってあるだけだよ」

「嘘かよー。じゃあ何で仕事サボってたんだ?」

「採集や討伐だけが仕事じゃないんだけど、色々してたんだよ。スキル増やしたり洗濯したりね」

「だよな。洗ってくれる嫁が欲しいぜ」

「洗濯屋のおばちゃん、独り身だってよ?」

「止めろ馬鹿野郎!」

「じゃあ、行ってくるねー」

 あ、槍持ってきた。こんな所で物理耐性を確認したくないので走って逃げます。いつもの通り、柵沿いから森に入って先ずはウサギノミミモドキから。雨が止んで3、4日経ってるし、もしかしたら時期を外したかも知れない。無くてもオークノミミがある。ゴブリンを皆殺しにしてでも全部採るぞ!

 前回菌糸が回ってる辺りには白いウサギが群れを成していた。体も頭もなく耳だけ。耳の群れは見ていてほっこりするなー。マジックバッグから木のナイフを取り出して根元をほりほり。傾いてきたら手を添えて、優しく掘り出し石突きの土を払う。マジックバッグに収納したら数を確認しやすいように小さな石を草編みカバンに1つ入れた。1個で耳2つ分だ。
 ウサギノミミモドキはふわふわが命。味には影響しないんだけど見栄えは大事なんだ。2オコン半程集中して、ウサギの群れは2割程、子ウサギばかりになってしまった。残しておけばまた取れるのでここでの採集はこれまで。他を当たろう。
 キノコ狩り、山菜狩りは集中し過ぎはダメ!それでも集中してしまう。今回は森の入口で運良くゴブリンは来なかったけど、気を付けなきゃいかんよ?
 少し歩いて再び白ウサギの群れ。味も値段も変わらないはずだけど、この辺りは白い子が多いのかな?周りに気を張りつつ、優しく丁寧に掘ってって、大きいのを粗方採り終えてお昼にした。
 四つん這いで草地に潜り、草のベッドを作ってお昼時間。キノコは時期的に取れる取れないがあるので冒険者にとってはボーナスみたいなもんだ。討伐で同じ額稼ぐのは大変だぞ?常設依頼のゴブリンなんて、両耳1セット50ヤンだからな。いかにキノコが美味いか分かるだろう。
 ソーサーを食べ終えカバンに入ってる石ころを数える10…20…、全部で204個。耳408本だ。採れ過ぎ。マジックバッグに念じて数を確認すると204本だった。分けてないから1つとカウントされてるな。
 ウサギノミミモドキはこのくらいで止めて、オークノミミに行こう。再び草地を潜って森の中。一旦場所のわかる所に戻り、そこから森の奥に進んでく。斜めになった立ち枯れが見えて来たが、到着するまで気は抜けない。数日経ったがゴブリン死んでるからね、肉食が潜んでる可能性はゼロじゃ無いんだ。剣鉈を抜いて慎重に進み、オークノミミに再会した。1度取った所からまた生えてるのは嬉しい。立ち枯れの養分を吸い尽くすまで耳は生え続けるのだな。
 下からチョリチョリ、ナイフで切り離していく。食い散らされたゴブリンが匂いを放ってる。あまり長居はしたくないな。討伐部位の耳も触りたくないので放置だ。こっちの耳の方が高いしな。
 手の届く範囲を採り終えて、この木は終了とした。切ってたらまたゴブリンとか来そうだし、帰りにウサギノミミモドキを取った方が儲かるからね。マジックバッグに入れたオークノミミは480枚。だいぶ入るな…。もしかして、同じ種類は纏められてる?最大数は分からないけど。取り敢えず今入ってる物を確認する。

ウサギノミミモドキ 204
オークノミミ 480
木のナイフ
ナイフ
布製カバン
草編みカバン2号
耐水ポンチョ
耐水ブーツ
タオル

 現在9種類。例えば10種類しか入らないようだと、後1種類しか入れられない事になる。皮袋から鉄貨を1枚、地面から石ころ1つ拾って収納してみると、鉄貨は収納され、石ころは無反応だった。10種で正解だったようだ。鉄貨を取り出し小石を入れると鉄貨は入らなかった。同じくらいの石ころを収納すると、石ころ2と表示された。1種類がどれだけ纏められるのかはまた後で調べる事にして、石ころを捨てて鉄貨を袋に仕舞い、キノコ狩りを続けるのだ!と意気込んだけどもうすぐ夕方じゃないかー。


 久しぶりにギルドにきた気がする。やはり夕方は混んでるな。受付けに座るマーローネさんも、閉じた目でこっちをチラッと見て、直ぐに仕事に戻ってしまった。僕も受付けには用がないので買取カウンターへ向かった。

「あ、ゲインさんお久しぶりです」

 長い列に並び、ようやくメロロアさんの前に立つ事が許された。

「こんにちは。ついにマジックバッグを買ったよ」

「本当で…しょうね、手ぶらですし」

「おかげで結構採ってこれたよ」

「他の者を呼びますので別室にて確認しましょう。一旦列を離れてしばらくお待ちくださいね」

 買取カウンターは小口の買取りがメインなんだろうね。カウンターにどっさり持ってこられたりしたら大変だもの。前回のオークノミミの時も空いてるとは言え数人がかりだったしな。
 列を離れてしばし。職員の女の人が呼んでるので付いて行くと、いつもの尋問室だった。もはや多目的スペースだな。

「初めまして、私買取り担当のフウワと申します」

「こちらこそ。ゲインだよ」

こちらに、と出された籠に不満があり、ちょっと注文を付けた。

「今から出すのはオークノミミとウサギノミミモドキなんだけど、オークノミミはそれで良いのでウサギノミミモドキを入れる容器は変えて欲しいんだけど、良いかな?」

「承りました。お持ちしますのでオークノミミを入れてお待ちください」

 オークノミミ480枚、ガサガサした籠に10枚セットにしてキレイに乗せた。これならカウンターでも良かったな。
 それからしばらく待ってフウワさんが籠を持って戻ってきたのだが、同じ素材の籠だった。

「すみません、ウサギノミミモドキの扱い方を理解してる方と代わって頂けますか?」

「は?」

「この籠じゃ、キノコに傷が付いて価値が落ちるんですよ」

「じゃあどうすれば良いんですか!?」

「ヒステリー起こしてないで扱い方を理解してる方を呼んできて下さい」

 ヒステリックにズカズカと足音を立てて外に出て行ったヒステリーさん。しばらくして違う女の人を連れてきた。

「申し訳ありません、私買取り担当代表のコロアと申します。こちらの対応に不備がありましたでしょうか?」

「ゲインです。ウサギノミミモドキの扱い方を理解してる方を呼んできてもらったのですが、大丈夫ですか?」

「はい。何度も扱っておりますので問題ありません」

「では、この籠が使えないのは理解できますね?」

 2つある籠を見て、真っ先に頭を下げたコロアさん。そして理解不能で立ち尽くすヒステリーさん。すぐに用意すると言って出て行ってしまったがヒステリーと一緒にいるのはキツいです。
 すごく睨まれ気持ち的に長い時間がかかって、3人がかりで薄い木の箱を何段も積み重ねて持ってきた。薄い木の箱には上面に布が緩く張ってあり、衝撃をできるだけ軽減できるようにしてある。僕はそこに、1セットずつ、丁寧に、優しく並べて行った。

「全て揃いでお持ち頂くとは思っておりませんでした。しかも繊毛もとてもキレイです。間違いなく品質最高です」

 僕の持ち込む品質は高が多い、と言うより、高以上になるように採っている。そうするように教えられてきたからだ。高止まりなのは詰め込みや移動で多少なり傷が付くからで、父さんみたいに馬車で持ち込む作物なんて、最高を作っても、箱に触れてるのは並~中、中心部でも中~高になるので、街に着いてから更に仕分けて売りに出すのだ。
 マジックバッグは品物同士が触れ合わない為、採集時と取り出し時、そしてこの箱詰め時にしか痛む要素がない。籠がダメだと台無しになるのがわかってくれただろうか?
 204対の耳を並べ終わり、ほぼ同時に査定も終わる。メロロアさんみたいにメガネをかけて、触れることなく鑑定していた。

「オークノミミも、なるべく籠に触れぬよう配慮されていて、とても良い状態でした。この度は本当に申し訳ありませんでした」

オークノミミ 品質高 480本×70ヤン 33600ヤン
ウサギノミミモドキ 品質最高 204本×280ヤン 57120ヤン
総額 90720ヤン

 ん?

「値段、間違ってない?それとも供給過多になってるの?」

「え?そんな事は」

「あんたさっき揃いでって言ったけど、これ1つで2本扱いだろ?1本140なのか?なら408本140って書くよな?揃いの分の価値も何もない。実績も半分にされんのか?」

「あ…、も、申し訳ございません!すぐに訂正致します」

 父さんみたいに直接対面販売する農家なら1本500はするんだよ?実績の為じゃなければ父さんの所に持ち込みたいよ。1本350は付くぞ?

オークノミミ 品質高 480本×70ヤン 33600ヤン
ウサギノミミモドキ 品質最高 408本×300ヤン 122400ヤン
総額 156000ヤン

「どうぞ、ご確認下さい…」

 消え入るような声でコロアが板を差し出す。まあこんな物だろう。ギルドも儲けを出すのだからこれくらいは飲む。

「値段はそれで良い。実績はどうなった?お使いと採集だけしか出来ないFランクで、これだけ稼いでEには上がりません、なんて事はないよな?」

「馬鹿か、高々15万そこらで上がるかバーカ」

 ヒステリーは無視だ。ギルド証を出して6000以外振り込んでもらう。作業してるコロアは嫌でも確認する事になる。

「じ、充分です。糖の…、30万程の持ち込み分で既にEの実績を、討伐記録からDの実績を満たしております」

「え?30って機械壊れてんじゃないの!?」

 品物見てこい。売れてるなら領収書があんだろ。

「ゴブリンは討伐部位取ってきてないからEで良い。けど何で連絡が無いんだ?宿には何度も呼びに来てんのに」

「それは、申し訳ありませんが分かりかねます」

「まさか、こいつは採集得意だから採集だけやらしとこう、なんて思ってないよな?討伐より儲かるのは確かだがな。それともこっちから確認しなきゃならんのか?冊子には書いてないよな?」

「Fラン風情がイキんなボケ~!どうせゴブリンだって死にかけの「黙りなさい!」うぐっ!」

 ヒステリーがイキり散らしたと思ったら呻いてる。コロアの威圧だな。こう言うのを黙らせられるなら僕も威圧欲しいな。

「今後は私含めまして職員の教育と説明を徹底致しますので、今回はどうかお許しください」

「ギルマスの署名で宣誓書でも書いてくれなきゃ信じられないけどね。それより早くお金」

 小銭とギルド証を受け取って、ランクが上がったのを確認したら、とっととギルドを出て行きます。無駄な時間を費やして、辺りはすっかり夜になっちゃったよ。宿より先にお風呂行こう。

 風呂に入って汚れと疲れとストレスを洗い流し、夕飯を食べてお腹を満たし、後は寝るだけ。明日からは常設のゴブリンができる。けどその前に短剣について聞きに行かなきゃ…zzz


 翌朝はギルドに行きたくないので休みにした。朝食を食べて着替えたら、装備を着込んで外に出る。先ずは洗濯屋に行って汚れ物を預けたら中古武器屋に向かった。

「おはよう。お客だよー」

「…まだ寝とる。起こすな」

 カウンターの奥で寝泊まりしてるの?覗いて見ると完全に目が閉じている。

「剣鉈ってナイフ?」

「…そうじゃ…」

「ナイフと短剣ってどう違うの?」

「…刃の数、殺しに使うか否かじゃ…」

「上下に刃の付いたのが短剣なら投げナイフは矛盾してるね」

「…片刃の剣もあるぞ…気にしたら…いかん…」

 そう言うもんだと納得するしかない訳だ。そうなると、短剣でもナイフ格闘術が使えたり、剣鉈でも短剣剣術が使えたりするのかも?とは言え実践で確認したくないし、剣鉈の刺突はダメだと言われているので短剣は買っておきたい。

「…短剣なら、そっちじゃ…」

 今のは完全に寝言だと思うが、あっちと思われる場所にはちゃんと短剣が刺さってた。また箱の中一杯に詰まってるよ…。1本ずつ取り出して良さそうなのを探してみた。
 基本的には刺突に特化した真っ直ぐなダガーと、剣を小さくしたようなダガー、それに反りが入ってるダガーの3種類しかない。手持ちのナイフは細かい作業用、剣鉈は薪割りや藪払い用、投げナイフは護身用で使い分けるのが良さそうだ。
 攻撃を刺突特化にしたくないので、切り払うのにも使えそうな、剣を小さくしたようなダガーをチョイスした。要らないのは箱にキレイに並べて…、後は長さとか重さとかか。カタカタしてるのは店主が直すだろうから隅に避ける。軽すぎ、短いのはナイフと変わらないので箱にお帰り。剣鉈より長いのが残り、軽すぎ重すぎは箱へ。
 結果、振りやすくて刺しやすく、手を添えやすい柄頭がつかがしら 大きい物にした。

「…刺突にも切り払いにも使える…か…。今の手持ちにない物を選んだな…」

 カウンターの奥で寝てるのになぜ分かるのか?直すのも含めてカウンターに持って行く。

「これは直さないと売れないよ?それとこれいくら?」

「…後でやる…3000じゃ…後で来い…」

「鞘付けてよね?また後で来るから」

 銀貨3枚を店主の胸元に置いて出てきた。後は盗まれても知らん。次に向かう先には既に店主が店頭で待っていた…のではなくたまたまだな。

「おはようございます」

「おはよう坊や、これからお出かけ?」

「今日は買い物だけですよ。チップ見にうろついて、洗濯物受け取りに行く程度です」

「彼女はいないの?」

「嫌な事があったのでしばらくは1人が良いですね。仕事的にはそろそろパーティ組まなきゃなんだけど、損しかしないですからね」

「あら辛辣。とにかくこっちにいらっしゃい」

 装備だけお願いしようとしたら頬っぺたを両手で挟まれて《洗浄》された。僕汚いのかな?お礼を言ってその場を離れ、向かうはブラウンさんのスキル屋なんだけど、閉まってた。お休みかな?街の仕事は週に1日とか2日は休むと言うし、そう言う事なんだろうか。もしかして、中古武器屋の店主は休みだったのか?店開けっ放しで…。
 さて、やる事もなくなったので露店街をうろうろしようか。マジックバッグがあるので串焼き買っても持ち続けなくて助かる。冷めちゃうだろうけどね。そして見つけたスキルの露店。今日は女の子の店主さんだ。

「こんにちは、見ていい?」

「買ってくれたらもっといい」

「物と値段次第かな。持ってないスキルとかあったら買うかも」

「買えるだけ買って」

 取り敢えず高そうなのから見ていくが、基本は白なのね。テーブルに陳列されてるのは、持ってない物ばかりだった。

蝶 花

 特に気になったのはこの2つ。蝶は野生生物だと思ったんだけど、野獣やモンスターもいるのかな?そして花。マンドラゴラみたいな草やエントみたいな木ではなく、花。効果が予想できない。それぞれ1枚しかなく500ヤン。

「チップの効果ってわかる?」

「あたしは売るだけ」

「そか」

 テーブルの奥には紙束が縛ってある。これはどこも同じか。僕の噂は出回ってるだろうし、ゴミカードと抱き合わせてぼったくれ、なんて指示が出てるかも知れない。

「そこにある縛ってあるのはなんだい?」

「置いといたら買ってくれるカモがいるって」

「1枚5ヤンで全部売る代わりに高いのを買わせるんだよね」

「そ。買っていっぱい」

 中身を簡単に確認すると、狼と鳥多めの100枚。この100枚の売り上げ500ヤン+308ヤンで店売りトントンか。

「じゃあ、その蝶と花買うからこれ1枚5ヤンで売ってよ」

「いくら?」

「蝶が1枚500ヤン、花も1枚500ヤン、ゴミは1枚5ヤンの100枚で500ヤン。全部で1500ヤンだよ」

「あってる?」

「計算だけはできた方が良いよ。騙されたら怒られるんだろ?」

「怒るじゃ、済まない…」

「僕も悪い噂を流されるのは嫌だからね。ちゃんと払うからまたよろしくって伝えてよ」

「わかった、まいど」

 1500、銀貨1枚と銅貨5枚を手渡して露店を離れた。その後は特に買いたい物もなく、洗濯物と研ぎ上がったダガーを回収して宿に帰ってきた。テーブルにソーサー、その上に串焼きを置いて先ずは昼食いただきます。昼飯に肉がある幸せ。水もセルフで飲み放題。
 幸せを噛み締めて、装備をヨレヨレに着替えたら、チップを噛み締める作業を始めよう。先ずは検品。

蝶 花

 1枚500もしたこの2枚。100枚セットじゃ星は増えなそうなので、こいつを先に使っちゃおう。

スキル : 避ける

避ける : 攻撃を避ける為のスキル。速度が僅かに増し、無駄な動きを僅かに抑える。

スキル : 魅力

魅力 : 自身を魅力的にする為のスキル。運と魅力が僅かに増し、無駄な動きを僅かに抑える。

 蝶はひらひら、避けるイメージはある。極がなくてハチレベルの効果。蝶は普通に飛んでる虫しか見たことないからレアなのかなー?と思われる。当たりだけど数は無さそう。
 それにしても魅力?そんなのステータスにないんだが?運が上がるし極が無いのは良いとして、無駄な動きを抑える意味がさっぱりわからない。より魅力的な動きになるのか?ダンサーとかギルド職員に持たせたら強そうな気はする。僕が付けて、効果があるとは到底思えない。運を上げて格好よく攻撃を避ける…か?職種限定でレアと思われる。ちなみに運のステータスは変わりなしだった。

 次に100枚セットの検品だ。狼と鳥多めだったが、他にもいくつかあったんだよな。

狼 42
鳥 33
ウサギ 28
ハシリトカゲ 2
水滴? 1
? 1
 
 狼、鳥、ウサギは既出で、新規の1つ目はハシリトカゲ。この辺りでは見ないが、後ろ足で走る事に特化したトカゲで、サル退治に来る冒険者の話によく出てくる野獣だ。群れで囲まれて一斉に噛み付いてくるそうだ。
 水滴っぽいのはスライムと似てるがしっかりとした水滴だ。嘘泣きとかだったら泣ける。
 そして残るは絵がかすれて見えない。かなり摩耗してるけど、もしかして銀チップかこれ?あの子が殴られなきゃいいけど絵柄が分からなきゃ捨て値でも仕方ないよね。
 既出は後回しで新規から千切る。

スキル : 走る☆ 走る

走る : 早く移動する為のスキル。速度が僅かに増し、更に極僅かに増し、体力の消耗を僅かに抑え、更に極僅かに抑える。

 ハシリトカゲだから走るか噛み付くかと予想はしてたけど、この表記には驚いた。同じ名前のスキルだとこんな感じになるのか…。

スキル : 水魔法

水魔法 : 水魔法を扱う為の基礎スキル。
ウォーター : 魔力を消費し水を発生させる。
ウォッシュ : 魔力を消費し対象を洗浄する。
デリートウォーター : 魔力を消費し対象の水分を消滅させる。

 なんと水魔法!しかも魔法が3つも使える!すぐにでも試したい!飲み水が、汲みに行かずに飲み放題!ウォッシュとデリートウォーターで洗濯し放置!デリートウォーターは対象不問!攻撃や解体時の血抜きに使えそう!これ捨て値で良いの!?
 掠れたチップは一旦放置し、テーブルに鎮座する寸胴鍋を持ってきた。ワクワクが止まらないよ!?

「ウォーター!」

ちょろろりろろろろちょりろろろろ…。

 ……うん。水だな。指先からちょろちょろと水が出た。お鍋一杯にするのはどれだけ時間がかかるのか?それにだんだん体がだるくなってくる。MPの消費が激しいのだろう。そんなに出し続けてないのにステータスのMPが16%も減っていた。味は普通に水だった。星がついたらドバドバ出るかな?出たら良いなぁ。後の2つはまた後でやるとして、掠れたチップに戻ろう。

スキル : 飛躍 飛躍

飛躍 : 飛ぶ為のスキル。飛ぶ為の能力が極僅かに増し、更に少し増し、無駄な動きを極僅かに抑え、更に少し抑える。

 まさかのハズレスキル。銀等知らん、5ヤンで正解。しかし白と銀で同じスキルもあるのな。…飛ぶ練習…しなきゃダメかな?

 狼、鳥、ウサギと千切り倒して夕方になった。今回は当たりもハズレも両極端なチップだったな。夕飯を食べて部屋に戻ったら、MPが無くなるまで寸胴鍋に水を注いで、気付いたら廊下がガチャガチャしてて朝だと気付く。あんまり水溜まってない。けどMPは全快してて良かった。お昼にちょっと飲むには良いだろう。

 今日から常設のゴブリン討伐をする。ギルドに行く必要はないが、掲示板の張り紙には場所を指定されてたりするらしいので1度は見に行かなくてはならない。そんな訳で混んでるギルドに突入した。
 人の流れに身を任せ、掲示板への流れに運良く乗れた僕はあれよあれよと掲示板の目の前へ。常設依頼は剥がしちゃいけないので無事確認できた。依頼を剥がして持って行くマッチョの後ろに付いて、出口への流れに乗り換えて外に出た。ふう。
 ゴブリン討伐の場所は東西南の出口付近の三ヶ所。僕が殺った場所もその1つなのだが、あんまり多くない印象を受けたので、今日は他の出口に行ってみようと思う。通りを真っ直ぐ進み、西門に向かった。途中、露店で串焼き1本買っていく。
 門番さんに挨拶して外に出たら、街道を走ったり早足したり飛び跳ねたりしてあるであろう木の門へと向かった。飛躍の効果も見てみたけど、ぶっちゃけ分からない。

「そこの者!何を跳ねている?」

「おはようございます。飛躍のスキルを取ったので確認してるんだよ」

「そうか、危険なスキルは人のいない所で試せよ?」

「はーい。じゃあまたー」

 ゴブリンは街に近いとあまりいない気がするので街道を少し進んでから森に向かった。こちらの草地は丈がそんなに高くない。草食が食べてるのだろう。馬を飼う牧場もあったし、遊ばせたりしてるのかな?けど、こう言う場所の方がスライムやハシリウサギが潜んでたりして危ないんだ。剣鉈を取り出し周囲を確認。薮を倒しながら進み、森の入口を剣鉈で切り開いて中に侵入した。
 森の中は丘になっていて、ずっと上り坂が続いてるように見える。下草が疎らに生えていて、高木の下に低木が生えてたりするので隠れて待ち伏せなどされたらたまったもんじゃないぞ。ここからは新調したダガーを抜いて行く。低木からはなるべく離れ、追い抜いたら必ず確認をして丘を昇る。

 見当たらないなーと思いながらも探して歩くと、丘の逆側でようやくゴブリンを見つけた。見た目3匹。木に隠れて様子を見て4匹確認。
 身を低くして素早く移動し、1番近いゴブリンを蹴り飛ばす。緩いながらも下り坂なので、ギョワギョワ言いながら転がっていく。次に近いゴブリンまで走り、ダガーで刺突!シトトトトッ!それなりに早く突けるし殺ってる感はあるけどダメージに直結しない。うずくまってだいぶ痛がってるけどこれじゃあ時間をかけ過ぎる。
 ダガーを左手に、剣鉈を右手に持って、さっき蹴っ飛ばしたヤツに向かってく。ふらふら立ち上がろうとしてる所にダガーを突き付け、避けようとするのを見て剣鉈で脳天を叩き割った。やっぱりゴブリンには鉈の方が良い。
 後ろから追いかけてきた2匹を円を描くように引き離し、痛がってるヤツの顔を剣鉈で引っ叩き額を陥没させたら立木を利用して反転し、近い方のゴブリンにダガーを振って怯ませて、奥のヤツの脳天を叩き割る。最後に怯ませてたヤツを蹴り飛ばし、蹴り飛ばし、うずくまって防御に徹した所を剣鉈で腕ごと頭を叩き割った。
 戦闘が終わったからと言って油断はできない。剣鉈でゴブリンの両耳を切り落として回収したら速やかにその場を離れるのだ。マジックバッグに臭い耳を収納して街道方面に逃げた。

 草地まで戻ってきたので鉈やダガーを洗う。水魔法さまさまだね。魔法で水を垂らして切ってねじった草で、血や脂を擦り落とした。そして僕も水を飲む。取り敢えず4匹で200ヤン。薬草採るよりだいぶキツいぞ。ゴブリンの死体が転がってる辺りは捕食者が来る可能性があるのでもう行けない。敵が強かったり多過ぎたりするとこっちまで食べられちゃうからね。
 街道を挟んで反対側に向かうと、森からゴブリンが抜け出そうとしていた。草が邪魔で正確な数は分からないけど見た感じ4匹。ここは逃げる事にした。

「どうした?ゴブリンでも居て逃げてきたのか?」

 木の門の門番さんにいきなり正解を出されてしまった。

「森からゴブリンが出てきたので逃げてきました」

「まあ、命あっての物種だからな。けど冒険者なら狩ってなんぼだろ」

「街道脇の草が刈り取られてれば殺れますけど、隠れられると不利ですからね」

「まあ1人ならそうなるか。近いうちに上に相談しておこう」




現在のステータス

名前 ゲイン 15歳
ランク E/-
HP 100% MP 70%
体力 D
腕力 E
知力 E
早さ D-
命中 E-
運 D

所持スキル
走る☆ 走る
刺突☆
硬化☆
投擲☆
急所外物理抵抗☆☆
飛躍 飛躍
木登り
噛み付き
腕力強化☆
脚力強化☆
知力強化☆
体力強化☆
ナイフ格闘術☆
棒格闘術☆
短剣剣術☆
避ける
魅力

鎧防御術
マジックバッグ

水魔法
ウォーター
ウォッシュ
デリートウォーター

所持品

革製ヘルメットE
皮手袋E
皮の手甲E
皮のエプロンE
皮の脚絆E
耐水ブーツ
耐水ポンチョ
街の子服BセットE

草編みカバンE
草編みカバン2号
布カバン
革製リュック

木のナイフE
ナイフE
剣鉈E
解体ナイフE
ダガーE
革製ベルトE

冒険者ギルド証 425650→568150ヤン
財布 銀貨6 銅貨17
首掛け皮袋 鉄貨26
 
冊子
中古タオル(使用済み)
中古タオル
中古パンツE
パンツ
ヨレヨレ村の子服セット
サンダル
革靴E
街の子服Aセット

スキルチップ
ウサギ 0/147
ハシリトカゲ 0/2
ハチ 1/101
カメ 0/127
石 1/101
スライム 1/1001
鳥? 0/35
? 0/1
サル 0/1
オオカミ 0/75
腕 1/101
鎧 0/1
袋 0/1
脚 1/101
頭 1/101
体 1/101
棒 1/101
ナイフ 1/101
短剣 1/101
蝶 0/1
花 0/1
水滴 0/1
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40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

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