『下着の禁書庫(ランジェリー・アーカイブ)』 〜1日1枚だけ地球のコレクションを召喚したら、異世界の女たちが僕なしでは生きられない体になった

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第6話:魔境の主(ヌシ)VS 最強のモデル

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「グルルルルッ……!!」

大気を震わせる重低音。
洞窟を出た二人の前に立ち塞がったのは、死の森の真の支配者――古のキメラだった。
獅子の頭が咆哮し、山羊の瞳が冷酷に獲物を定め、尾を成す巨大な蛇が毒液を滴らせている。その巨躯から放たれる威圧感は、周囲の木々を枯らさんばかりだ。

ラナの身体が、一瞬だけピクリと硬直した。
かつて、自分の未熟さゆえに同胞を傷つけ、自身もまた死の淵を彷徨ったあの日の記憶。右足の古傷に刻まれた「絶望」の象徴が、今、目の前で牙を剥いている。

(……足が、震えてる?)

恐怖ではない、と自分に言い聞かせる。だが、一度刻まれたトラウマは、戦士としての本能を鈍らせようと足を引っ張る。
その時、背後から淡々とした、しかし絶対的な信頼を湛えた声が届いた。

「ラナ、前だけ見てなよ。君のコンディション(すべて)は、僕が握ってる」

零助の声だ。彼は一歩も動かず、手元の水晶端末に指を走らせている。
その言葉を聞いた瞬間、ラナの身体に異変が起きた。


「ひっ……あ、あぅ……っ!」

ラナは思わず短い声を漏らした。
彼女が纏う『神風』と『疾風』。その極細の糸一本一本が、零助の持つ魔導端末と共鳴し、熱を帯び始めたのだ。

零助の視覚には今、下着に仕込まれた「アラクネの微細センサー」を通じて、ラナの心拍、体温、血流、そして発汗の具合までがリアルタイムのグラフとなって投影されている。
だが、それを受け取るラナ側の感覚は、もっと直接的で、暴力的なまでに「濃密」なものだった。

下着を通じて、自分の最もデリケートな肌の状態が、一刻一秒と零助に「視られている」。
それは単なる情報の共有ではない。彼女の胸を包む柔らかな布の圧迫も、股間を支える繊細なワイヤーの震えも、そのすべてが零助の指先と直通しているのだ。

(これじゃあ、まるで……繋がってる、みたい……っ)

脳裏に過るのは、禁断の行為のイメージ。
最も秘められた場所に密着する「布」を介して、意思を疎通させること。それは彼女にとって、自分の魂を、そして女としての証さえも零助の中に差し出し、共有しているのと同義だった。

触れられていないのに、全身の肌を愛されているような、逃げ場のない一体感。
恐怖で強張っていたはずの心臓は、いまや別の熱い期待に跳ね、ラナの瞳には潤みが宿る。

「……心拍数上昇。アドレナリン放出確認。いいよ、ラナ。君のその『昂ぶり』、すべて僕に預けてくれ。……リンク、コンプリート」

「あ、あぁ……っ! は、はい……マスター……っ!」

ラナは自分でも驚くような、甘く、忠誠心に溢れた声で答えた。
キメラという死の象徴を前にして、彼女は今、零助という主と「繋がっている」という無敵の恍惚感に支配されていた。
「ギシャァァァァッ!!」

古のキメラが動いた。巨体に似合わぬ爆発的な踏み込みで、獅子の顎がラナを噛み砕こうと迫る。
かつての彼女なら、この初動の威圧感に気圧され、防御に回っていただろう。だが――。

「ラナ、左に3センチ重心を戻せ。呼吸を吐ききって、胸腔を神風に預けろ」

頭の中に直接響く、零助の冷静な声。
同時に、ラナの胸部を包む『神風』の背面ストラップが、一瞬だけ強く引き締まった。それが合図だった。

「――っ、はい!」

ラナは最小限の動きで、獅子の牙を紙一重でかわした。
驚くべきは、その後の挙動だ。通常、急激な回避行動をとれば、胸部の揺れや上半身の慣性が足首に負担をかけ、着地後のコンマ数秒は無防備になる。
だが今のラナには、その「隙」が存在しなかった。

「すごい……! 揺れない……身体が、全く流れない!」

「当然だ。神風のサイドパネルが、君のバストの重量移動を完全に相殺している。君の脳が『姿勢を直そう』と命令を出す前に、下着が物理的に重心を固定しているんだよ」

零助の指示は続く。
「そのまま右の股関節を軸に旋回。疾風のパワーネットが君の骨盤を黄金角で保持している。……今だ、蛇の尾を断て!」

ラナは舞った。
キメラの死角へと一瞬で潜り込み、閃光のような抜刀を見せる。
シュルリ、と蛇の首が宙を舞い、毒液が霧となって散る。
キメラは苦悶の咆哮を上げながら後退した。ラナの動きは、かつての泥臭い戦士のそれではなく、まるで最高の舞台で踊るプリマドンナのような、残酷なまでに洗練された「機能美」に満ちていた。

「ラナ、いい動きだ。君の体表温度が0.2度上昇したね……。その熱、僕が有効活用してあげるよ」

下着越しに伝わる零助の「視線」が、ラナの肌をじりじりと焼く。
彼女は戦いの最中でありながら、自分の中の「雌」の部分が、零助の完璧なコントロールに歓喜しているのを感じていた。


キメラが狂乱した。
獅子の口から灼熱の火炎が放たれ、山羊の頭からは麻痺を誘発する雷光が迸る。森の一角が瞬時に地獄絵図へと変わった。
広範囲、多角的な同時攻撃。回避する隙間など、どこにもない。

「逃げられない……っ!」

「逃げる必要はない。ラナ、僕が君を『鋼』にしてあげる。……強制加圧(オーバードライブ)、接続!」

零助が水晶端末のレバーを最大まで引き上げた。
その瞬間、ラナの身体に衝撃が走る。

「あ、あああああああッ!!?」

『神風』と『疾風』が、あり得ないほどの強さでラナの身体を締め上げた。
アラクネの糸が筋肉の溝に食い込み、アイアン・ボアのワイヤーが骨格を限界まで圧迫する。
それは苦痛であり、同時に、全身の血管が沸騰するような強烈な「悦び」でもあった。

「筋肉の収縮を強制固定。魔力回路を最短距離でバイパス化……! ラナ、今の君の防御力は、全身に城壁を纏っているのと同じだ。そのまま突き抜けろ!」

「は、はぁっ、あああああッ!」

炎の中を、ラナは一直線に突き進んだ。
本来なら焼き尽くされるはずの火炎も、彼女の肌を包む「魔導下着」が形成する高密度な魔力障壁によって、霧散していく。
ラナの意識は、あまりの着圧と魔力の充実感に、真っ白に染まりかけていた。
零助に全力で締め付けられている。その感覚が、彼女の脳内で「彼に抱き潰されている」という錯覚へと変換され、ラナの瞳は限界を超えた恍惚に細められる。

「あ……好き……っ、マスター、もっと……私を、壊して……っ!」

戦場にそぐわない艶めかしい声。
だが、その肉体は死神の鎌よりも鋭く、キメラの懐へと肉薄していた。

「チェックメイトだ、ラナ。……フィニッシュ・シーケンス、起動!」

零助の指先が水晶端末の最後のリミッターを解除した。
瞬間、ラナの身体を支える『疾風(HAYATE)』のコア部分が、脈動するように青白い光を放った。

「――ッ!?」

ラナの脳内に、爆発的なエネルギーが逆流した。
それは魔力という名の、暴力的なまでの快感。下半身の骨盤底筋群を起点に、圧縮されていた全魔力が一気に解放され、全身を突き抜ける。

「3、2、1……今だ! 右足の全加圧を開放(リリース)し、重心を垂直に叩き込めッ!」

「あああああああああッ!!」

ラナは叫んだ。
それは勝者の咆哮であり、同時に、あまりの充足に耐えきれず漏れ出した魂の喘ぎでもあった。
圧縮されたバネが弾けるように、ラナの右足が地面を爆破した。
音を置き去りにした超高速の跳躍。キメラが反応する間もなく、ラナは獅子の頭の真上へと到達していた。

「神風……フルホールドッ!!」

空中で身を翻すラナ。本来なら遠心力で身体がバラバラになりそうな超回転だが、『神風』のサイドパネルが彼女の双丘を、そして体幹を岩のように固定し、すべての回転エネルギーを右足の踵へと一点集中させる。

「消えなさい……マスターが作った、この『力(愛)』の前にッ!」

ドォォォォォォォォンッ!!

ラナの踵がキメラの脳天を直撃した。
衝撃波が円状に広がり、周囲の木々をマッチ棒のようにへし折る。
キメラの巨躯は、まるで巨大なプレス機に叩き潰されたかのように地面にめり込み、その鋼鉄以上の硬度を誇った外殻が、粉々に砕け散った。

砂塵が舞い、静寂が訪れる。
クレーターの中心で、ラナは荒い息を吐きながら膝をついていた。
全身を包んでいたオーバードライブがゆっくりと解け、代わりに、とろけるような心地よい脱力感が彼女を包み込む。

「はぁ、はぁ……あ……あぁ……っ」

瞳はまだ熱に浮かされたように潤み、焦点が定まらない。
勝利の興奮。魔力の枯渇。そして、下着を通じて零助と「完全に一つ」になって戦ったという、魂の絶頂。
ラナは自分の身体を抱きしめ、いまだに細かく震える熱い「布」の感触を噛み締めていた。
もう、この感触なしでは生きていけない。この男に、肌から、中身まで支配されることこそが、自分の真の救済なのだと――戦士としての本能が、そう告げていた。


「いいデータが取れたよ、ラナ。心拍数、魔力伝達効率、そして――耐久性。どれも想定以上だ」

ゆっくりと歩み寄ってきた零助が、跪くラナの頭に優しく手を置いた。
その手の温もりを感じた瞬間、ラナは我慢できずに零助の腰に抱きついた。

「マスター……私、私……! 貴方の言う通りだったわ。あんなに怖かった化け物が、止まって見えたの……!」

「ああ、よく頑張ったね、最高のモデルさん」

零助は満足げにラナの頭をなでながら、その視線はすでに倒れたキメラの残骸へと向いていた。

「さて、このキメラの心臓付近の皮……これは『吸魔絹(アブソーブ・シルク)』に近い特性を持っているな。これを使えば、魔力を吸ってさらに柔軟性を増す、最高級の『レース・ショーツ』が作れるぞ」

「えっ? また作るの……?」

「当たり前だ。戦闘用は完成した。次は――王都の夜を支配するための、『攻めの下着』の製作に入る」

「せ、攻めの……?」

ラナの頬が再び赤く染まる。
零助の探究心は止まらない。彼はすでに次の獲物――王都に蔓延る「不自由なドレス」を着せられた女性たちの救済、そしてラナをさらに美しく、狂おしく飾り立てるための構想に没頭していた。

「さあ、王都へ行こう。僕たちの『ブランド』を、世界に刻み込むためにね」

こうして、死の森を完全に制圧した二人は、王都へと向かう街道へと足を踏み出した。
それは、異世界のファッション史が、根底から覆される序曲に過ぎなかった。
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