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第4章:「新時代の試練」
第39話「十年後の世界」
改革開始から十年。
「ママ、行ってきます!」
九歳になったアリシアが、元気に玄関を出ていった。
「行ってらっしゃい」
私は、手を振った。
「気をつけてね」
「うん!」
茶色の髪を揺らしながら、走っていく娘。
「大きくなったな」
ルシアンが、隣に立った。
「ええ」
私は、微笑んだ。
「あっという間だったわね」
「そうだな」
二人で、娘の後ろ姿を見送った。
十年。
長い、長い時間だった。
でも――。
振り返れば、あっという間。
「行きましょうか」
「ああ」
私たちも、城を出た。
今日は、特別な日。
「改革十周年記念式典」
王都の中央広場で、開催される。
馬車で向かう途中――。
窓から、街を眺めた。
「変わったな」
ルシアンが、呟いた。
「本当に」
十年前とは、全く違う街並み。
整備された道路。
新しい建物。
活気のある市場。
そして――。
「学校だ」
あちこちに、学校が見える。
「王都だけで、二十校」
「全国では――」
私は、数えた。
「三百校以上」
「すごいな」
通りを歩く人々。
貴族も、平民も――。
区別がつかない。
みんな、自由に歩いている。
「これが、お前の作った世界だ」
ルシアンが、私を見た。
「私だけじゃないわ」
私は、首を横に振った。
「みんなで、作った世界よ」
中央広場に到着した。
「すごい人……」
数万人の民衆が、集まっていた。
「エリシア様だ!」
「エリシア様!」
歓声が、上がる。
壇上に上がると――。
「静粛に」
国王陛下の声。
十年前より、少し老けた。
でも、まだまだ元気。
「本日は、歴史的な日だ」
陛下が、宣言した。
「改革開始から、十年」
「この十年で――」
「我が国は、大きく変わった」
データが、表示される。
「人口――二十パーセント増加」
「経済規模――三倍」
「識字率――九十パーセント」
「平均寿命――十年延長」
「犯罪率――五十パーセント減少」
「国民満足度――九十五パーセント」
その数字に、歓声が上がった。
「これは――」
陛下が、私を見た。
「エリシア=ノルディアの功績だ」
「いいえ」
私は、前に出た。
「これは、皆さんの功績です」
全員を見渡す。
「改革を支えてくれた、皆さんの」
「努力の、結果です」
拍手が、響いた。
「では――」
私は、深呼吸をした。
「十年を、振り返りましょう」
「まず、教育改革」
大きな画面に、映像が映された。
十年前の、最初の学校。
子供たちが、目を輝かせて学んでいる。
「最初は、一校だけでした」
「でも、今は――」
現在の映像。
全国の学校。
何万人もの子供たちが、学んでいる。
「全ての子供が、教育を受けています」
「貴族も、平民も」
「男の子も、女の子も」
「誰もが――」
「平等に、学んでいます」
母親たちが、涙を流していた。
「次に、職業改革」
職業訓練学校の映像。
若者たちが、技術を学んでいる。
「今では、誰でも――」
「自分のなりたい職業に、就けます」
「才能さえあれば」
「努力さえすれば」
「夢を、叶えられます」
職人たちが、拍手した。
「そして、政治改革」
民衆議会の映像。
平民の代表者たちが、真剣に議論している。
「今では、誰でも――」
「政治に参加できます」
「自分の声を、届けられます」
「これが――」
「真の民主主義です」
歓声が、上がった。
「さらに――」
私は、続けた。
「経済協力、子育て支援、医療制度――」
「様々な改革を、行ってきました」
「全ては――」
「一つの目標のために」
全員が、静まった。
「全ての人が、幸せに生きられる社会」
「それが――」
「私の夢でした」
「そして――」
涙が、溢れた。
「その夢は、実現しつつあります」
大きな拍手。
「エリシア様!」
「ありがとう!」
「あなたのおかげです!」
様々な声。
「でも――」
私は、手を上げた。
「まだ、完璧ではありません」
場が、静まった。
「まだ、問題はあります」
「貧困は、まだ残っています」
「差別も、完全には消えていません」
「病気で苦しむ人も、います」
「だから――」
私は、全員を見た。
「これからも、頑張りましょう」
「一緒に」
「より良い社会を、作りましょう」
「「「はい!」」」
力強い返事。
式典の後、私は一人で街を歩いた。
「懐かしいな」
十年前、初めて改革を宣言した場所。
「あの時は――」
「どうなるか、わからなかった」
でも、今は――。
「良かった」
心から、そう思えた。
「エリシア様!」
振り向くと――。
若い女性が、駆け寄ってきた。
「覚えていますか?」
「あなたは……」
「エマです」
「エマ……?」
「最初の教師養成学校の、卒業生です」
「ああ!」
思い出した。
「あの時の、エマさん」
「はい」
エマが、微笑んだ。
「あれから十年、ずっと教師をしています」
「そうなんですね」
「今は、バルトリアで校長をしています」
「校長に!」
驚いた。
「すごいですね」
「エリシア様のおかげです」
エマが、深く頭を下げた。
「あなたが、機会をくれました」
「農民の私に」
「夢を、叶えさせてくれました」
「いいえ」
私は、首を横に振った。
「あなた自身が、頑張ったんです」
「でも――」
エマの目に、涙が浮かんでいた。
「あの時、学校がなければ」
「私は、一生農民でした」
「夢も、持てませんでした」
「だから――」
「本当に、ありがとうございます」
その言葉が、嬉しかった。
「エマさん」
「はい」
「これからも、頑張ってください」
「次の世代に――」
「夢を、与えてください」
「はい!」
エマが、力強く頷いた。
さらに歩くと――。
「あ、エリシア様だ!」
子供たちが、駆け寄ってきた。
「こんにちは」
「エリシア様、これ!」
一人の男の子が、絵を見せてくれた。
「私が描いたんです」
絵には――。
虹と、たくさんの人々。
みんな、笑顔。
「素敵ね」
「ありがとうございます!」
「将来、何になりたいの?」
「画家です!」
男の子の目が、輝いた。
「絵を描いて、みんなを幸せにしたいです」
「素晴らしいわ」
私は、頭を撫でた。
「頑張ってね」
「はい!」
子供たちが、走り去っていった。
「良い子たちね」
呟いた。
「こんな子供たちが――」
「次の時代を、作るのね」
夕方、城に戻った。
「ママ、おかえり!」
アリシアが、駆け寄ってきた。
「ただいま」
「今日ね、学校で――」
娘が、興奮して話し始めた。
「歴史の授業があったの」
「ママのこと、勉強したんだよ!」
「私のこと?」
「うん!」
アリシアが、ノートを見せてくれた。
「『エリシア=ノルディアの改革』」
「教科書に、載ってるの」
「そうなの……」
複雑な気持ちだった。
「先生がね、言ってたよ」
「『エリシア様は、この国を変えた』って」
「『全ての人に、希望を与えた』って」
「だから――」
アリシアが、私を見上げた。
「ママ、すごいんだね」
「いいえ」
私は、娘を抱きしめた。
「ママは、ただ――」
「正しいと思うことを、しただけよ」
「でも、みんな感謝してるよ」
「友達も、先生も、みんな」
「『ママの友達で嬉しい』って」
その言葉が、嬉しかった。
「ありがとう、アリシア」
「えへへ」
娘が、笑った。
「ママ、大好き」
「私も、大好きよ」
夜、バルコニーで。
「良い一日だったな」
ルシアンが、隣に立った。
「ええ」
私は、星空を見上げた。
「十年――」
「長かったわね」
「ああ」
「でも――」
私は、微笑んだ。
「幸せだった」
「苦しいこともあった」
「辛いこともあった」
「失敗もした」
「でも――」
「やり遂げた」
「ああ」
ルシアンが、私を抱き寄せた。
「お前は、本当にすごい」
「一国を、変えた」
「数百万人の人生を、変えた」
「そして――」
彼は、私の目を見た。
「私の人生も、変えた」
「ルシアン……」
「お前と結婚して――」
「本当に、良かった」
「幸せだ」
その言葉に、涙が出た。
「私も」
「本当に、幸せ」
二人で、キスをした。
深く、優しいキス。
「これからも――」
私は、囁いた。
「一緒に、頑張りましょう」
「ああ」
星が、輝いていた。
無数の星。
一つ一つが、可能性。
「十年後――」
私は、未来を想像した。
「どんな世界になっているかしら」
「もっと良い世界だろう」
ルシアンが、答えた。
「お前が、いるんだから」
「私だけじゃないわ」
「アリシアも」
「新しい世代の子供たちも」
「みんなで――」
「作っていくのよ」
「未来を」
「そうだな」
二人で、抱き合った。
温かい抱擁。
幸せな時間。
「エリシア」
「何?」
「愛している」
「私も」
長い夜が、静かに更けていった。
でも、エリシアの心には――。
消えない炎が、燃えていた。
希望の炎。
愛の炎。
そして――。
未来への炎。
それは、永遠に燃え続ける。
この国を、照らし続ける。
十年間の改革は――。
成功だった。
でも、終わりではない。
新しい始まり。
次の十年への、始まり。
そして――。
永遠に続く、改革の旅。
翌朝。
「ママ、今日も学校頑張る!」
アリシアが、元気に出かけていった。
「行ってらっしゃい」
娘の後ろ姿を見送る。
「あの子が、大人になる頃――」
私は、呟いた。
「どんな世界を、見せてあげられるかしら」
「きっと、素晴らしい世界だ」
ルシアンが、答えた。
「そうね」
私は、微笑んだ。
「必ず、そうするわ」
執務室に向かう。
今日も、仕事が待っている。
「エリシア様、おはようございます」
オスカーが、書類を持ってきた。
「今日の予定です」
「ありがとう」
書類を受け取る。
「では、始めましょう」
「はい」
新しい一日。
新しい挑戦。
改革は、まだまだ続く。
でも――。
「大丈夫」
私は、自分に言い聞かせた。
「私には、仲間がいる」
「家族がいる」
「そして――」
「夢がある」
「だから――」
「どんな困難も、乗り越えられる」
窓の外、朝日が昇っていた。
新しい一日を、照らす光。
「さあ、頑張りましょう」
仕事を、始めた。
次の十年のために。
次の世代のために。
そして――。
全ての人々の幸せのために。
エリシアの戦いは――。
まだまだ続く。
でも、それは――。
辛い戦いではない。
希望に満ちた、戦い。
愛に満ちた、戦い。
そして――。
誰もが笑顔になれる未来への、戦い。
十年前、一人で始めた改革。
今は、何百万人が支えている。
「これが――」
私は、微笑んだ。
「私の作りたかった、世界」
「みんなで作る、世界」
「みんなで支える、世界」
「そして――」
「みんなが幸せな、世界」
星が、まだ見えた。
朝日の中で、薄く輝いている。
それは、まるで――。
希望の象徴のようだった。
消えない希望。
永遠の希望。
そして――。
次の世代への、希望。
「ありがとう、みんな」
私は、呟いた。
「これからも、よろしくね」
新しい時代が――。
今日も、続いていく。
「ママ、行ってきます!」
九歳になったアリシアが、元気に玄関を出ていった。
「行ってらっしゃい」
私は、手を振った。
「気をつけてね」
「うん!」
茶色の髪を揺らしながら、走っていく娘。
「大きくなったな」
ルシアンが、隣に立った。
「ええ」
私は、微笑んだ。
「あっという間だったわね」
「そうだな」
二人で、娘の後ろ姿を見送った。
十年。
長い、長い時間だった。
でも――。
振り返れば、あっという間。
「行きましょうか」
「ああ」
私たちも、城を出た。
今日は、特別な日。
「改革十周年記念式典」
王都の中央広場で、開催される。
馬車で向かう途中――。
窓から、街を眺めた。
「変わったな」
ルシアンが、呟いた。
「本当に」
十年前とは、全く違う街並み。
整備された道路。
新しい建物。
活気のある市場。
そして――。
「学校だ」
あちこちに、学校が見える。
「王都だけで、二十校」
「全国では――」
私は、数えた。
「三百校以上」
「すごいな」
通りを歩く人々。
貴族も、平民も――。
区別がつかない。
みんな、自由に歩いている。
「これが、お前の作った世界だ」
ルシアンが、私を見た。
「私だけじゃないわ」
私は、首を横に振った。
「みんなで、作った世界よ」
中央広場に到着した。
「すごい人……」
数万人の民衆が、集まっていた。
「エリシア様だ!」
「エリシア様!」
歓声が、上がる。
壇上に上がると――。
「静粛に」
国王陛下の声。
十年前より、少し老けた。
でも、まだまだ元気。
「本日は、歴史的な日だ」
陛下が、宣言した。
「改革開始から、十年」
「この十年で――」
「我が国は、大きく変わった」
データが、表示される。
「人口――二十パーセント増加」
「経済規模――三倍」
「識字率――九十パーセント」
「平均寿命――十年延長」
「犯罪率――五十パーセント減少」
「国民満足度――九十五パーセント」
その数字に、歓声が上がった。
「これは――」
陛下が、私を見た。
「エリシア=ノルディアの功績だ」
「いいえ」
私は、前に出た。
「これは、皆さんの功績です」
全員を見渡す。
「改革を支えてくれた、皆さんの」
「努力の、結果です」
拍手が、響いた。
「では――」
私は、深呼吸をした。
「十年を、振り返りましょう」
「まず、教育改革」
大きな画面に、映像が映された。
十年前の、最初の学校。
子供たちが、目を輝かせて学んでいる。
「最初は、一校だけでした」
「でも、今は――」
現在の映像。
全国の学校。
何万人もの子供たちが、学んでいる。
「全ての子供が、教育を受けています」
「貴族も、平民も」
「男の子も、女の子も」
「誰もが――」
「平等に、学んでいます」
母親たちが、涙を流していた。
「次に、職業改革」
職業訓練学校の映像。
若者たちが、技術を学んでいる。
「今では、誰でも――」
「自分のなりたい職業に、就けます」
「才能さえあれば」
「努力さえすれば」
「夢を、叶えられます」
職人たちが、拍手した。
「そして、政治改革」
民衆議会の映像。
平民の代表者たちが、真剣に議論している。
「今では、誰でも――」
「政治に参加できます」
「自分の声を、届けられます」
「これが――」
「真の民主主義です」
歓声が、上がった。
「さらに――」
私は、続けた。
「経済協力、子育て支援、医療制度――」
「様々な改革を、行ってきました」
「全ては――」
「一つの目標のために」
全員が、静まった。
「全ての人が、幸せに生きられる社会」
「それが――」
「私の夢でした」
「そして――」
涙が、溢れた。
「その夢は、実現しつつあります」
大きな拍手。
「エリシア様!」
「ありがとう!」
「あなたのおかげです!」
様々な声。
「でも――」
私は、手を上げた。
「まだ、完璧ではありません」
場が、静まった。
「まだ、問題はあります」
「貧困は、まだ残っています」
「差別も、完全には消えていません」
「病気で苦しむ人も、います」
「だから――」
私は、全員を見た。
「これからも、頑張りましょう」
「一緒に」
「より良い社会を、作りましょう」
「「「はい!」」」
力強い返事。
式典の後、私は一人で街を歩いた。
「懐かしいな」
十年前、初めて改革を宣言した場所。
「あの時は――」
「どうなるか、わからなかった」
でも、今は――。
「良かった」
心から、そう思えた。
「エリシア様!」
振り向くと――。
若い女性が、駆け寄ってきた。
「覚えていますか?」
「あなたは……」
「エマです」
「エマ……?」
「最初の教師養成学校の、卒業生です」
「ああ!」
思い出した。
「あの時の、エマさん」
「はい」
エマが、微笑んだ。
「あれから十年、ずっと教師をしています」
「そうなんですね」
「今は、バルトリアで校長をしています」
「校長に!」
驚いた。
「すごいですね」
「エリシア様のおかげです」
エマが、深く頭を下げた。
「あなたが、機会をくれました」
「農民の私に」
「夢を、叶えさせてくれました」
「いいえ」
私は、首を横に振った。
「あなた自身が、頑張ったんです」
「でも――」
エマの目に、涙が浮かんでいた。
「あの時、学校がなければ」
「私は、一生農民でした」
「夢も、持てませんでした」
「だから――」
「本当に、ありがとうございます」
その言葉が、嬉しかった。
「エマさん」
「はい」
「これからも、頑張ってください」
「次の世代に――」
「夢を、与えてください」
「はい!」
エマが、力強く頷いた。
さらに歩くと――。
「あ、エリシア様だ!」
子供たちが、駆け寄ってきた。
「こんにちは」
「エリシア様、これ!」
一人の男の子が、絵を見せてくれた。
「私が描いたんです」
絵には――。
虹と、たくさんの人々。
みんな、笑顔。
「素敵ね」
「ありがとうございます!」
「将来、何になりたいの?」
「画家です!」
男の子の目が、輝いた。
「絵を描いて、みんなを幸せにしたいです」
「素晴らしいわ」
私は、頭を撫でた。
「頑張ってね」
「はい!」
子供たちが、走り去っていった。
「良い子たちね」
呟いた。
「こんな子供たちが――」
「次の時代を、作るのね」
夕方、城に戻った。
「ママ、おかえり!」
アリシアが、駆け寄ってきた。
「ただいま」
「今日ね、学校で――」
娘が、興奮して話し始めた。
「歴史の授業があったの」
「ママのこと、勉強したんだよ!」
「私のこと?」
「うん!」
アリシアが、ノートを見せてくれた。
「『エリシア=ノルディアの改革』」
「教科書に、載ってるの」
「そうなの……」
複雑な気持ちだった。
「先生がね、言ってたよ」
「『エリシア様は、この国を変えた』って」
「『全ての人に、希望を与えた』って」
「だから――」
アリシアが、私を見上げた。
「ママ、すごいんだね」
「いいえ」
私は、娘を抱きしめた。
「ママは、ただ――」
「正しいと思うことを、しただけよ」
「でも、みんな感謝してるよ」
「友達も、先生も、みんな」
「『ママの友達で嬉しい』って」
その言葉が、嬉しかった。
「ありがとう、アリシア」
「えへへ」
娘が、笑った。
「ママ、大好き」
「私も、大好きよ」
夜、バルコニーで。
「良い一日だったな」
ルシアンが、隣に立った。
「ええ」
私は、星空を見上げた。
「十年――」
「長かったわね」
「ああ」
「でも――」
私は、微笑んだ。
「幸せだった」
「苦しいこともあった」
「辛いこともあった」
「失敗もした」
「でも――」
「やり遂げた」
「ああ」
ルシアンが、私を抱き寄せた。
「お前は、本当にすごい」
「一国を、変えた」
「数百万人の人生を、変えた」
「そして――」
彼は、私の目を見た。
「私の人生も、変えた」
「ルシアン……」
「お前と結婚して――」
「本当に、良かった」
「幸せだ」
その言葉に、涙が出た。
「私も」
「本当に、幸せ」
二人で、キスをした。
深く、優しいキス。
「これからも――」
私は、囁いた。
「一緒に、頑張りましょう」
「ああ」
星が、輝いていた。
無数の星。
一つ一つが、可能性。
「十年後――」
私は、未来を想像した。
「どんな世界になっているかしら」
「もっと良い世界だろう」
ルシアンが、答えた。
「お前が、いるんだから」
「私だけじゃないわ」
「アリシアも」
「新しい世代の子供たちも」
「みんなで――」
「作っていくのよ」
「未来を」
「そうだな」
二人で、抱き合った。
温かい抱擁。
幸せな時間。
「エリシア」
「何?」
「愛している」
「私も」
長い夜が、静かに更けていった。
でも、エリシアの心には――。
消えない炎が、燃えていた。
希望の炎。
愛の炎。
そして――。
未来への炎。
それは、永遠に燃え続ける。
この国を、照らし続ける。
十年間の改革は――。
成功だった。
でも、終わりではない。
新しい始まり。
次の十年への、始まり。
そして――。
永遠に続く、改革の旅。
翌朝。
「ママ、今日も学校頑張る!」
アリシアが、元気に出かけていった。
「行ってらっしゃい」
娘の後ろ姿を見送る。
「あの子が、大人になる頃――」
私は、呟いた。
「どんな世界を、見せてあげられるかしら」
「きっと、素晴らしい世界だ」
ルシアンが、答えた。
「そうね」
私は、微笑んだ。
「必ず、そうするわ」
執務室に向かう。
今日も、仕事が待っている。
「エリシア様、おはようございます」
オスカーが、書類を持ってきた。
「今日の予定です」
「ありがとう」
書類を受け取る。
「では、始めましょう」
「はい」
新しい一日。
新しい挑戦。
改革は、まだまだ続く。
でも――。
「大丈夫」
私は、自分に言い聞かせた。
「私には、仲間がいる」
「家族がいる」
「そして――」
「夢がある」
「だから――」
「どんな困難も、乗り越えられる」
窓の外、朝日が昇っていた。
新しい一日を、照らす光。
「さあ、頑張りましょう」
仕事を、始めた。
次の十年のために。
次の世代のために。
そして――。
全ての人々の幸せのために。
エリシアの戦いは――。
まだまだ続く。
でも、それは――。
辛い戦いではない。
希望に満ちた、戦い。
愛に満ちた、戦い。
そして――。
誰もが笑顔になれる未来への、戦い。
十年前、一人で始めた改革。
今は、何百万人が支えている。
「これが――」
私は、微笑んだ。
「私の作りたかった、世界」
「みんなで作る、世界」
「みんなで支える、世界」
「そして――」
「みんなが幸せな、世界」
星が、まだ見えた。
朝日の中で、薄く輝いている。
それは、まるで――。
希望の象徴のようだった。
消えない希望。
永遠の希望。
そして――。
次の世代への、希望。
「ありがとう、みんな」
私は、呟いた。
「これからも、よろしくね」
新しい時代が――。
今日も、続いていく。
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ローゼは必死に抗う。「わたしは何もしていない……」だが、王子の視線と群衆の圧力の前に言葉は届かない。アルベルトは公然と彼女を罪人扱いし、地下牢への収監を命じる。近衛兵に両腕を拘束され、引きずられるローゼ。広間には王子を讃える喝采と、哀れむ視線だけが残った。
その孤立無援の絶望の中で、ローゼの胸にかすかな光がともる。それは前世の記憶――ブラック企業で心身をすり減らし、引きこもりとなった過去の記憶だった。地下牢という絶望的な空間が、彼女の心に小さな希望を芽生えさせる。
そして――スキル《引きこもり》が発動する兆しを見せた。絶望の牢獄は、ローゼにとって新たな力を得る場となる。《マイルーム》が呼び出され、誰にも侵入されない自分だけの聖域が生まれる。泣き崩れる心に、未来への決意が灯る。ここから、ローゼの再起と逆転の物語が始まるのだった。
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