30 / 37
本編
11-3
しおりを挟む「メルヴィーナ!…メルヴィーナ…!」
赤黒いものが滴る冷たい手で、私の頬に触れた彼女は、一言呟くとその眼を静かに閉じた。する…と力なくか細い腕が落ちる。
呼びかけても反応がない妻に絶望する私をよそに、視界の端で組み伏せられる男の陰が映った。
ラルフレート卿が、呆然とする長髪の男の腹を地に叩きつけ、背に回した腕をぎりぎりと可動不可能な方向に捻り上げていた。
「シルヴェスター様、傷を確認しなければ…!あちらに、宿屋があります…!」
男の背に乗っているラルフレート卿が顎で方向を示す。
震える手を鼓舞するように一度握りしめ、腕の中のメルヴィーナを抱え直し立ち上がった。
生温かく湿った彼女の衣服が手に張り付く。
「マリア、君は医者を探してきてくれ。あの宿屋に連れてこい。」
蒼白になっている妻付きの侍女に告げると、妻を抱えて人ごみをかき分けて宿屋に急いだ。
店の主人に支払いは3倍で返すと告げ、案内された一室のベッドにメルヴィーナを寝かせる。
外では気が動転して気づけなかったが、横たえた胸が上下している。安堵したとき、人は目が熱くなることを生まれて初めて知った。
改めて全身を見ると、右肩の衣服が破れ、そのあたりから出血している。
宿屋の主人から鋏を借り、傷口付近の衣服を切り取ると、丁度ドタドタと慌ただしい足音が部屋の外から聞こえてきた。
「旦那様、お医者様を連れてまいりました…!」
「入ってくれ。」
マリアと共に、医者だという男性が入室してくる。医師が診やすいよう、メルヴィーナの頭を持ち上げて髪をよけると、普段は艶めく髪が、べっとりと血で絡まっていた。
「短刀で切りつけられた。金はいくらでも払う、助けてくれ。」
「…失礼します。」
医師は傷口を見た後、脈にふれたり全身をくまなく調べていく。
その間にもメルヴィーナがどうにかなってしまうのではないかと気がせってしまう。
調べ終えた医師はこちらに視線を向けた。
「大丈夫です。大きな血管までは達していません。痛みのショックで気を失っているだけかと。止血のために、上体を起こしてさし上げてください。」
言われたとおりにメルヴィーナを抱き起こし、医師が処置していく。
荒い呼吸を繰り返す彼女を支えながら、安堵と後悔でどうにかなってしまいそうだ。
(…どうして、君はいつも感情の赴くままに…)
すり寄せた髪からはいつものようにラベンダーの香りがしていたのかもしれない。だが、ツンと痛む鼻では、つまらない嫉妬の香りは感じなかった。
こんな状況にならなければ、目の前で抱き寄せられる距離にずっと居れたことに気が付けないなんて本当に馬鹿だと思う。
だからどうか、早く目を開けて責めてやってくれ。今なら意地を張らずに素直にごめんと謝れるから。
◇
夜には帰宅したものの、その晩、メルヴィーナは高熱を出した。
医師からも傷による熱が出ることは聞いていたが、ここまでとは。
「だ、旦那様…こちらで休まれるのですか…?」
妻の侍女が戸惑うような視線を向けてくる。無理もない。この寝室を使うのはいつぶりだろう。
「…夜、急に容体が変わるかもしれないだろう。」
「あの…私たちが交代でお付きしますけれども…。」
「いい。私が心配なんだ。」
そう言うと、侍女は私の顔をじっと見つめ、僅かに眉を下げながら微笑んだ。
「…かしこまりました。奥様がお目覚めになったら、そのお気持ちを、ぜひ伝えて差し上げてください。きっと、お喜びになるはずです。」
「…そうか。」
とはいうものの、いざ眠るメルヴィーナと二人きりで取り残されると、彼女が眠る寝台に入ることがなぜかできなくて、仕方がなく端に腰かける。
高熱にうなされる妻の額には大粒の汗がにじんでおり、拭きたいのだが、なかなか触れられない。
ベッドサイドの照明に照らされた汗ばむ妻の肌は濡れた真珠のようで。
妻は苦しんでいるというのに、躊躇う自分が情けなくなり、意を決して絞ったハンカチで額を抑えていく。
直接触れていないはずなのに、妻の身体の熱が感じられて。
額やこめかみをゆっくり押さえていくと、冷たくて気持ちがいいのか、メルヴィーナの眉の緊張が解けていく。
(よかった…)
ぬるくなったハンカチを絞り直し、首も拭いていく。
妻の首筋やうなじをこのようにまじまじと見るのは初めてかもしれない。
反対側の首を拭いていくと、ガーゼを当てられた肩が目に入る。
きっと、あの男は背後から私の首を狙っていた。
(メルヴィーナが居なければ、きっと私は今頃…)
胸の内がどうしようもない感情で苦しくなり、堪らず眠るメルヴィーナの頬を両手で包みたくなるが…できない。
行き場のない手は、桃のような頬の傍で震え、ふっと力が抜けた。
抜けた力は顔の強張りもほどいていって、唇が戦慄く。震えを治めたくて下唇を噛むが、こみ上げてくるものは間欠泉のように止めどなく溢れてくる。
自分の顔の下にある彼女の湿った頬に、パタ、パタと雫が落ちた。
それが自分の目から落ちたものだと理解したのは、落ちた雫がつーっと頬を流れてからだった。
慌てて親指の腹で拭う。
「…ん…」
慌てて強く拭ってしまったせいか、メルヴィーナが眉を寄せて身じろぎした。
「…シル、ヴェスターさま…」
口が乾いているのか、上手く話せないようだった。
しかし、自分を呼ぶ声にひどく安心し、同時に動揺してしまった。あんなに目を開けてほしい声を聞かせてほしいと思っていたのに、いざその時がくれば喉が苦しくなって何も言えない自分がもどかしい。
「済、ま…ない、起こしてしまった。」
「…お怪我は、ありませんでしたか…?」
「…っ、そんなこと…!君が…!」
薄く瞳をあけて、荒い息で、火照る頬で、自分が一番苦しいはずなのに。
そう思うと、零れ落ちるものはもう止められなかった。
体を起こしてメルヴィーナの上からどき、顔を隠そうとしたとき。
下からゆっくりと、小さくて熱い手が伸びてきた。
そっと頬に近づく熱。
私の頬に触れたか、触れなかったか、分からなかったほど微かに。
私の目から流れたものが彼女の熱い手に、伝ったらしい。
「…きれい…。」
薄く、力なく笑った、その顔が―――…。
薄暗闇の中、メルヴィーナの僅かに開いた瞳に自分が映っている場違いな喜びと、こんな思いをさせるために結婚したわけではなかったという拭いきれない後悔と。
何もかもが雑然と混ざり合ってボタボタと零れ落ちていく。
「…氷が、解けているみたい…。」
「…っ…」
ひどい顔をしていると思う。
願うなら今夜の記憶が妻には残っていないでほしい。彼女を苦しめる熱さが、自分のこの情けない涙もふがいない姿も全て消し去ってくれればいい。
もう彼女を見ていられなかった。動けないまま固く閉じた瞼から溶け出たものは、がんじがらめになっていたプライドのようなものを砕いていく。
「メル、ヴィーナ…、私は、君を、そんな風にしたくて、結婚したわけでは…っ…。」
絞り出した言葉に、メルヴィーナはゆっくりと一度だけ瞬いただけだった。「分かっています」なのか「気にしないでほしい」なのか、どういった意味なのかは分からない。
でも、責められていないことは確かだった。
いっそ責めて、罵って、見限りの言葉さえほしかった。そうすれば謝って縋れるのに。
「メルヴィーナ…っ…」
自分の涙で濡らしてしまった彼女の頬を両手で包むと、冷えた手を温める高い体温。両の手で覆えてしまいそうなほどの小さな顔と頭。柔らかな肌。
今まで手を伸ばせばすぐに触れられる距離にいたのに。触れていい関係を掴んだのに。この手を伸ばしてこなかったのは自分だ。
後悔で思わず力が入ってしまう手に、僅かに柔らかいものが擦り寄せられた。
「…手…、冷たくて、気持ちがいいです…。」
目を閉じて、熱い息を吐くメルヴィーナ。
気がつけば右手で彼女の左手を握りしめ、もう片方の手で頬を包み、自分の頬を彼女の頬に擦り寄せていた。
自分が零した涙が、肌と肌で延ばされる。
「君が…居なくなってしまうかと…」
離縁したいと言い出した君が。
自らの体を投げ打って私を庇った君が。
そう思うと、もうそれしか言えなかった。
彼女を苦しめる熱が全部自分に移ってくればいい。頬も、瞼も、額も耳も、その熱を分けてほしくて唇を落としていく。
あの日の自分に戻れることなら戻りたい。そうすればどんなに惨めだろうと、妻の想い人の代わりでもなんでもなれるのに。
痛みに、熱に、苦しむ彼女に遠慮することなく力の限りかき抱くことができるのに。
いつの間にか眠ってしまったメルヴィーナの顔を見ながら、熱い手を握る。
伝えたいことはたくさんあったはずなのに。謝罪の言葉も愛を伝える言葉も結局見つからなかった。
次に君が目を覚ましたらなんて言おうか考えていたはずなのに、気がつけば君の手に縋るように握りしめたまま、君の隣で目を閉じていた。
--------
明日も7時12時21時の3回更新で完結になります。
1,397
あなたにおすすめの小説
1度だけだ。これ以上、閨をともにするつもりは無いと旦那さまに告げられました。
尾道小町
恋愛
登場人物紹介
ヴィヴィアン・ジュード伯爵令嬢
17歳、長女で爵位はシェーンより低が、ジュード伯爵家には莫大な資産があった。
ドン・ジュード伯爵令息15歳姉であるヴィヴィアンが大好きだ。
シェーン・ロングベルク公爵 25歳
結婚しろと回りは五月蝿いので大富豪、伯爵令嬢と結婚した。
ユリシリーズ・グレープ補佐官23歳
優秀でシェーンに、こき使われている。
コクロイ・ルビーブル伯爵令息18歳
ヴィヴィアンの幼馴染み。
アンジェイ・ドルバン伯爵令息18歳
シェーンの元婚約者。
ルーク・ダルシュール侯爵25歳
嫁の父親が行方不明でシェーン公爵に相談する。
ミランダ・ダルシュール侯爵夫人20歳、父親が行方不明。
ダン・ドリンク侯爵37歳行方不明。
この国のデビット王太子殿下23歳、婚約者ジュリアン・スチール公爵令嬢が居るのにヴィヴィアンの従妹に興味があるようだ。
ジュリエット・スチール公爵令嬢18歳
ロミオ王太子殿下の婚約者。
ヴィヴィアンの従兄弟ヨシアン・スプラット伯爵令息19歳
私と旦那様は婚約前1度お会いしただけで、結婚式は私と旦那様と出席者は無しで式は10分程で終わり今は2人の寝室?のベッドに座っております、旦那様が仰いました。
一度だけだ其れ以上閨を共にするつもりは無いと旦那様に宣言されました。
正直まだ愛情とか、ありませんが旦那様である、この方の言い分は最低ですよね?
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
本日、貴方を愛するのをやめます~王妃と不倫した貴方が悪いのですよ?~
なか
恋愛
私は本日、貴方と離婚します。
愛するのは、終わりだ。
◇◇◇
アーシアの夫––レジェスは王妃の護衛騎士の任についた途端、妻である彼女を冷遇する。
初めは優しくしてくれていた彼の変貌ぶりに、アーシアは戸惑いつつも、再び振り向いてもらうため献身的に尽くした。
しかし、玄関先に置かれていた見知らぬ本に、謎の日本語が書かれているのを見つける。
それを読んだ瞬間、前世の記憶を思い出し……彼女は知った。
この世界が、前世の記憶で読んだ小説であること。
レジェスとの結婚は、彼が愛する王妃と密通を交わすためのものであり……アーシアは王妃暗殺を目論んだ悪女というキャラで、このままでは断罪される宿命にあると。
全てを思い出したアーシアは覚悟を決める。
彼と離婚するため三年間の準備を整えて、断罪の未来から逃れてみせると……
この物語は、彼女の決意から三年が経ち。
離婚する日から始まっていく
戻ってこいと言われても、彼女に戻る気はなかった。
◇◇◇
設定は甘めです。
読んでくださると嬉しいです。
白い結婚を終えて自由に生きてまいります
なか
恋愛
––アロルド、私は貴方が結婚初日に告げた言葉を今でも覚えている。
忘れもしない、あの時貴方は確かにこう言った。
「初めに言っておく、俺達の婚姻関係は白い結婚として……この関係は三年間のみとする」
「白い結婚ですか?」
「実は俺には……他に愛する女性がいる」
それは「公爵家の令嬢との問題」を理由に、三年間だけの白い結婚を強いるもの。
私の意思を無視して三家が取り決めたものであったが、私は冷静に合意を決めた
――それは自由を得るため、そして『私自身の秘密を隠すため』の計算でもあった。
ところが、三年の終わりが近づいたとき、アロルドは突然告白する。「この三年間で君しか見えなくなった。白い結婚の約束をなかったことにしてくれ」と。
「セシーリア、頼む……どうか、どうか白い結婚の合意を無かった事にしてくれ」
アロルド、貴方は何を言い出すの?
なにを言っているか、分かっているの?
「俺には君しかいないと、この三年間で分かったんだ」
私の答えは決まっていた。
受け入れられるはずがない。
自由のため、私の秘密を守るため、貴方の戯言に付き合う気はなかった。
◇◇◇
設定はゆるめです。
とても強い主人公が自由に暮らすお話となります。
もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!
【完結済】結婚式の夜、突然豹変した夫に白い結婚を言い渡されました
鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
オールディス侯爵家の娘ティファナは、王太子の婚約者となるべく厳しい教育を耐え抜いてきたが、残念ながら王太子は別の令嬢との婚約が決まってしまった。
その後ティファナは、ヘイワード公爵家のラウルと婚約する。
しかし幼い頃からの顔見知りであるにも関わらず、馬が合わずになかなか親しくなれない二人。いつまでもよそよそしいラウルではあったが、それでもティファナは努力し、どうにかラウルとの距離を縮めていった。
ようやく婚約者らしくなれたと思ったものの、結婚式当日のラウルの様子がおかしい。ティファナに対して突然冷たい態度をとるそっけない彼に疑問を抱きつつも、式は滞りなく終了。しかしその夜、初夜を迎えるはずの寝室で、ラウルはティファナを冷たい目で睨みつけ、こう言った。「この結婚は白い結婚だ。私が君と寝室を共にすることはない。互いの両親が他界するまでの辛抱だと思って、この表面上の結婚生活を乗り切るつもりでいる。時が来れば、離縁しよう」
一体なぜラウルが豹変してしまったのか分からず、悩み続けるティファナ。そんなティファナを心配するそぶりを見せる義妹のサリア。やがてティファナはサリアから衝撃的な事実を知らされることになる──────
※※腹立つ登場人物だらけになっております。溺愛ハッピーエンドを迎えますが、それまでがドロドロ愛憎劇風です。心に優しい物語では決してありませんので、苦手な方はご遠慮ください。
※※不貞行為の描写があります※※
※この作品はカクヨム、小説家になろうにも投稿しています。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる