異世界転生でチートを授かった俺、最弱劣等職なのに実は最強だけど目立ちたくないのでまったりスローライフをめざす ~奴隷を買って魔法学(以下略)

朝食ダンゴ

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いつかの宿

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 その後。
 数日かけてリッバンループに辿り着いた俺とアイリス。
 街に足を踏み入れた時はすっかり夜になっており、大通りに並ぶ魔導灯が輝きを放っていた。俺は休みなしの旅にくたくたである。

「マスター」

「ああ。空気がピリピリしてるな」

 このところヤバいことに首を突っ込み続けているせいか、そういう空気に敏感になっているようだ。街のそこかしこに衛兵が配置されている。街の外だけでなく、中までもが厳しく監視されているようだ。
 流石に俺と、見るからに人間のアイリスは怪しまれはしていない。

「宿を取るぞ。明日、朝イチで軍の基地に行く」

「はい」

 アイリスにちっちゃくなってもらい、俺は一人部屋を取ることにした。

「懐かしいな、このボロ宿」

 俺は窓から夜の街を眺めて呟く。

「懐かしい?」

 元の大きさに戻ったアイリスは、ベッドに腰かけながら首を傾げた。

「サラを買った日に泊まったんだよ。入学前に」

 懐かしいといっても、まだ三か月も経っていないんだな。一日一日の内容が濃いせいで、随分と前の事のように感じる。

「では、この街はマスターとサラちゃんが出会った場所なのですね」

「ああ。ちょうど、あの辺の奴隷市場だな」

 指差した先には、閉店した奴隷商の建物。感慨深いな。
 サラとの出会いを思い出す。
 あの時は小汚い格好で、死んだような目をして奴隷として陳列されていた。
 その後、すぐに生気を取り戻していた。
 俺がそうしてやったと思うと、嬉しいし、あいつに愛情も湧いてくるというものだ。

 俺は拳を握り締める。
 改めて、サラを救う決意をするんだ。その為には、亜人連合、ひいてはこの戦争そのものをなんとかしなけりゃならない。そうじゃないと、サラはずっとドルイドの血統として目をつけられたままだろう。

「マスター」

 アイリスの声が、俺の背中に触れた。

「サラちゃんは幸せ者ですわ。そこまでマスターに想われて、従者冥利に尽きるというものです」

「……だといいけどな」

「わたくしは、サラちゃんが羨ましいですわ」

「なに、お前も俺の従者だ。それだけじゃない。その姿になった時、教えてくれただろ? 家族を家族たらしめるのは愛だってさ」

「ええ。憶えておりますわ」

「お前らはさ、俺の家族なんだよ。種族が違っても、血が繋がってなくても、しっかりと心で繋がってる」

 俺は窓を閉め、振り返る。
 アイリスの空色の瞳に、イケメンが映り込んでいた。

「だから命を賭けられるんだ。家族の為なら、死ぬのだって怖くねぇ」

 俺はベッドの上、アイリスの隣に腰を下ろす。
 それから、しばらくの静寂が訪れた。

「マスター。わたくしの身の上話を聞いてくださいますか?」

「いきなりだな」

「家族なのですから、ちゃんとお話ししておきたいのです」

「たしかに」

 強欲の森林でどう生きていたのか。それ以前はどうだったのか。
 スライムの身の上話というだけでも、興味は尽きない。

「ぜひ話してくれ。俺も聞きたい」

「ありがとうございます。光栄ですわ」

 アイリスは俺の手を握る。指を絡めてしっかりと。いわゆる恋人つなぎというやつだ。
 白くて華奢な指は、どうみても人間の少女のものだ。スライムとは思えない。
 その状態で、アイリスは静かに語り始めた。
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