317 / 997
決着の訪れ
しおりを挟む
こういうのはあまりよくないのかもしれないが、死ぬことにも慣れてきたような気がする。
死に対する忌避感の麻痺。死んでもいいや、という気持ちになっている。
反省するべきだ。
俺の肉体は復活する。
少女の両腕を掴み上げた状態で、だ。
「つかまえた」
のっぺらぼうなものだから、驚いているのかどうかはわからない。だが、少女の動きは確実に止まっていた。
「ちょっと痛いかもしれないけど、まぁ我慢しろ」
言いつつ、少女のつるつるの顔面に膝を叩きこんだ。
ここぞとばかりにクソスキル『膝小僧の守護神』を発動する。これがまだ残っていてよかった。強化された膝が、少女の脳を激しく揺らし、一撃で気を失わせることに成功した。
「いっちょあがりだな」
前進し、歯車のすぐ前に到達する。
「手駒はもう尽きたのか? 観念したらどうだ」
返事はない。
マシなんとか五世の一部は、俺が放ったビームを流れ弾として喰らい、綺麗に消滅していた。これで死んだなんてことはないと思うが。
(母なるファルトゥールの御業……なぜキミがそれを操れる?)
「はぁ?」
(御子とはいえ、ただの人間に過ぎないキミに、どうして真なる神の力が備わっているんだ)
「知らねぇよ」
見よう見まねで撃っただけのビームだ。そんなややこしいことは考えてない。
つーかビームならリリスも使ってたし。
「強いて言うなら、俺は神を超越してるんだよ。お前が言うようなメタファー的な意味じゃなく、言葉通り神を超えたってことな」
エストだけに留まらず、ファルトゥールも超えているかもしれないな。だからビームが撃てた。そう考えると自然だ。
(そんな……僕は……僕が間違っていたとでもいうのか……)
なにやらショックを受けているようだ。
俺は背後から殺気を感じ、一歩横に移動する。その瞬間、すぐ傍を少女が通り過ぎていった。
「もう意識を取り戻したのか? すごい回復力だな」
少女は床を蹴って反転し、再び神速の勢いで迫ってくる。
「悪いけど――」
肉薄した少女の額を優しく払う。それだけで、少女は宙を舞って自ずから壁に激突した。
「――遅ぇわ」
さっき一回死んだことで、俺の力はさらに解放されている。さっきの俺と今の俺とでは、天と地ほどの差があるってことだ。
(キミは……一体なんなんだ。アルバレス因子を持たない失敗作じゃなかったのか)
「ああ。それか」
そういえばそんな話だったな。
「お前もかわいそうな奴だな。ファルトゥールやらエンディオーネやら。神に運命を弄ばれてよ。そこだけは同情するぜ。仲間意識すら覚える」
マジな話。出会い方が違えば親友になってた可能性もある。
「けど、この期に及んじゃ仕方ねぇ」
俺は拳を握りしめる。
「壊れてもらうぜ。マシなんとか五世」
光に包まれた拳。それを、歯車の集合体にぶち込んだ。
収束したエネルギーが、運命に干渉し、すべての事象を書き換えていく。
光が、大伽藍を満たしていく。
(そうか……そういうことだったのか……アルバレス因子……『妙なる祈り』……久遠の法……因果律の極致)
歯車が止まり、急速に錆びついていく。
シャフトが崩れ、いくつもの歯車が落下し、床を破壊しながら転がり、朽ち果てていく。
(やっと理解できた……ロートス・アルバレス……キミが……キミこそが……)
そのつぶやきを最期に、マシなんとか五世はこの世から完全に消滅した。
それは紛れもなく、完全なる勝利だった。
死に対する忌避感の麻痺。死んでもいいや、という気持ちになっている。
反省するべきだ。
俺の肉体は復活する。
少女の両腕を掴み上げた状態で、だ。
「つかまえた」
のっぺらぼうなものだから、驚いているのかどうかはわからない。だが、少女の動きは確実に止まっていた。
「ちょっと痛いかもしれないけど、まぁ我慢しろ」
言いつつ、少女のつるつるの顔面に膝を叩きこんだ。
ここぞとばかりにクソスキル『膝小僧の守護神』を発動する。これがまだ残っていてよかった。強化された膝が、少女の脳を激しく揺らし、一撃で気を失わせることに成功した。
「いっちょあがりだな」
前進し、歯車のすぐ前に到達する。
「手駒はもう尽きたのか? 観念したらどうだ」
返事はない。
マシなんとか五世の一部は、俺が放ったビームを流れ弾として喰らい、綺麗に消滅していた。これで死んだなんてことはないと思うが。
(母なるファルトゥールの御業……なぜキミがそれを操れる?)
「はぁ?」
(御子とはいえ、ただの人間に過ぎないキミに、どうして真なる神の力が備わっているんだ)
「知らねぇよ」
見よう見まねで撃っただけのビームだ。そんなややこしいことは考えてない。
つーかビームならリリスも使ってたし。
「強いて言うなら、俺は神を超越してるんだよ。お前が言うようなメタファー的な意味じゃなく、言葉通り神を超えたってことな」
エストだけに留まらず、ファルトゥールも超えているかもしれないな。だからビームが撃てた。そう考えると自然だ。
(そんな……僕は……僕が間違っていたとでもいうのか……)
なにやらショックを受けているようだ。
俺は背後から殺気を感じ、一歩横に移動する。その瞬間、すぐ傍を少女が通り過ぎていった。
「もう意識を取り戻したのか? すごい回復力だな」
少女は床を蹴って反転し、再び神速の勢いで迫ってくる。
「悪いけど――」
肉薄した少女の額を優しく払う。それだけで、少女は宙を舞って自ずから壁に激突した。
「――遅ぇわ」
さっき一回死んだことで、俺の力はさらに解放されている。さっきの俺と今の俺とでは、天と地ほどの差があるってことだ。
(キミは……一体なんなんだ。アルバレス因子を持たない失敗作じゃなかったのか)
「ああ。それか」
そういえばそんな話だったな。
「お前もかわいそうな奴だな。ファルトゥールやらエンディオーネやら。神に運命を弄ばれてよ。そこだけは同情するぜ。仲間意識すら覚える」
マジな話。出会い方が違えば親友になってた可能性もある。
「けど、この期に及んじゃ仕方ねぇ」
俺は拳を握りしめる。
「壊れてもらうぜ。マシなんとか五世」
光に包まれた拳。それを、歯車の集合体にぶち込んだ。
収束したエネルギーが、運命に干渉し、すべての事象を書き換えていく。
光が、大伽藍を満たしていく。
(そうか……そういうことだったのか……アルバレス因子……『妙なる祈り』……久遠の法……因果律の極致)
歯車が止まり、急速に錆びついていく。
シャフトが崩れ、いくつもの歯車が落下し、床を破壊しながら転がり、朽ち果てていく。
(やっと理解できた……ロートス・アルバレス……キミが……キミこそが……)
そのつぶやきを最期に、マシなんとか五世はこの世から完全に消滅した。
それは紛れもなく、完全なる勝利だった。
15
あなたにおすすめの小説
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
アーティファクトコレクター -異世界と転生とお宝と-
一星
ファンタジー
至って普通のサラリーマン、松平善は車に跳ねられ死んでしまう。気が付くとそこはダンジョンの中。しかも体は子供になっている!? スキル? ステータス? なんだそれ。ゲームの様な仕組みがある異世界で生き返ったは良いが、こんな状況むごいよ神様。
ダンジョン攻略をしたり、ゴブリンたちを支配したり、戦争に参加したり、鳩を愛でたりする物語です。
基本ゆったり進行で話が進みます。
四章後半ごろから主人公無双が多くなり、その後は人間では最強になります。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる