異世界転生でチートを授かった俺、最弱劣等職なのに実は最強だけど目立ちたくないのでまったりスローライフをめざす ~奴隷を買って魔法学(以下略)

朝食ダンゴ

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寄り道する

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 エンペラードラゴンに変身したアイリスに乗り、俺は凄まじい速度で高高度を移動していた。
 アイリスは二年前より強くなっており、より高い空を飛べるようになっていた。そのおかげで地上から見つけられることはない。
 そして、そんな高高度の飛行に耐えられる俺はかなりすごい。寒さと酸素の薄さなんて、どうってことないのだ。

 国境を越えて王国へ入る。
 そのまま飛行を続け、旧王都ブランドンの上空に辿り着く。既に空は赤くなりかけていた。この調子じゃ、エルフの森につくのは日が暮れるか暮れないかになりそうだな。
 そんなことを思っていると、アイリスが急降下を行った。

「おっと」

 何事だろう。
 そのままブランドンに着地。アイリスは俺を降ろし、人の姿に戻った。

「どうしたんだ? こんなところに降りて」

「いえ、ちょっと寄りたいところがあるのですわ」

 寄りたいところ? どこだろう。

 着地した地点は、旧魔法学園の敷地内だった。戦争の爪痕がひどい。建物は崩れ、舗装路は見るも無残な状態だ。もちろん人っ子一人いない。
 アイリスが音もなく歩いていくのを、俺は無言で追うことに。迷いのない足取りを見るに、目的地は決まっているようだ。

 まもなく到着したのは、小高い丘。そこに設置されているガゼボ、いわゆる西洋風の東屋だ。

「ここって」

 懐かしい。アイリスがはじめて人の姿になったところだ。

「ここは残ってたんだな」

 アイリスは、ガゼボの屋根を見上げる。

「わたくしにとって、ここは特別な場所なんですの。けれど、どうしてそういう風に思うのか、まったくわからないのですわ」

 俺のことを忘れてしまい、ここでの思い出もなくなってしまった。
 残ったのは感情だけ。そういうことだろう。
 ここでエレノアと出会ったというような改ざんが行われていないところを見るに、やはり女神というのは仕事が雑らしい。
 俺はガゼボのベンチに腰を落ち着ける。

「あなたは、何かご存じなのですか?」

「ん? どうしてそう思う?」

「あなたは不思議な人。サラちゃんもメイド長も、まるで昔からあなたを知っているみたい。そんなはずがないのに、二人ともあなたがいることがさも当たり前のように受け入れていますわ」

「うむ」

「あなたは、あの二人だけじゃなく、わたくしのことも、マスターのことも知っていらっしゃるご様子です。あなたは一体、何者なのですか?」

 ここで言うマスターとはエレノアのことか。
 警戒している感じではない。
 アイリスはただ、周囲の違和感に疑問を抱いているのだろう。

「話せば長くなるぞ」

「かまいませんわ。聞かせてください」

「ま、座れよ」

 俺はベンチをぽんぽん叩く。
 アイリスはちょっと距離を空けて、ベンチに腰を下ろした。

「俺はな、世界から忘れられたんだよ」

「世界から、忘れられた?」

「そう」

「よくわかりませんわ」

 だろうな。

「どこから説明しようか。そうだな……まずは、俺がこの世界に来たところから」
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