異世界転生でチートを授かった俺、最弱劣等職なのに実は最強だけど目立ちたくないのでまったりスローライフをめざす ~奴隷を買って魔法学(以下略)

朝食ダンゴ

文字の大きさ
585 / 997

完全に瘴気を克服しました

しおりを挟む
「うぉ――」

 キーウィは反応すらできない。
 漆黒に染まった岩石は、奴の左腕を奪う。二の腕から先が一瞬にして消滅していた。

「あ……オ、オラの腕が……オラの腕があァッ!」

 まるで子どものような甲高い叫び声をあげるキーウィ。
 大のおっさんが情けない。

「なるほど。そういうことか。お前の力は、投石だけにしか反映されないみたいだな」

 理を越える力には大きな制約がある。俺だったら、明確にイメージできることしか実現しないし、ハラシーフなら一対一の決闘という場面でしか自身を強化できない。
 キーウィについては、投石という技術ただ一点に限定されているんだろう。だから、攻撃力はあっても、防御はからっきし。
 俺の操る完成された瘴気を、相殺することはできても防ぐことはできない。

「いたいー! いたいんじゃー!」

「うるさ」

 キーウィは獣の上でバタバタしている。

「このクソヤロー! よくもオラの腕を……!」

「腕一本で済んだことを感謝しろよ。腕じゃなくて頭をぶっ飛ばしてもよかったんだぜ」

「ボケが!」

 激昂するキーウィだが、その下の獣はすっかり怯えてしまっている。俺との力の差を本能で感じ取ったのだろう。人間よりよほど利口だ。

 上空から接近の気配。アイリスか。
 突風を伴って降下してきたアイリスは、俺の隣にずしんと着地した。

「お見事です。ロートス」

 コーネリアが賞賛の言葉をかけてくれた。えっへん。
 そして、アイリスの背中に立つセレンが、じっとキーウィを見据えていた。

「オ、オメー! やっぱ瘴気を武器にしてやがったんだな! 言い逃れできねーんじゃこりゃーよぉ!」

「邪推はやめて」

 セレンは堂々と言い放った。

「彼は瘴気に侵されながらも、それを克服して生きる力に変えた初めての人物。彼の存在は、瘴気に立ち向かう世界に希望を与える」

「なに都合のいいこと言ってんじゃ! 瘴気はただの毒じゃ! それを操るなんて、魔人共と同じじゃねーか!」

 喚くキーウィの左腕は、すでに俺の瘴気に侵されている。出血はしていない代わりに、傷口が黒く染まっているのだ。こいつに対しては、俺がそうなるよう仕向けた。瘴気に侵される苦しみを知ってもらいたかったからな。
 セレンは小さく首を振った。これ以上話をしても無駄だと悟ったらしい。

「あなたを捕らえる。どんな理由でも、国境を侵犯した罪は重い」

 セレンの視線を受け、俺は頷いた。
 その瞬間、俺はほとんど瞬間移動のような動きでキーウィの顎をパンチし、一瞬にしてダウンさせた。瘴気による身体強化の賜物だ。
 キーウィが倒れると、獣も脚を折ってうずくまった。降伏しているようだ。
 この場にいるマッサ・ニャラブ軍は、一人残らず全員無力化した。これで一段落だな。

「これを一人で……凄まじいですね」

 大地がめくれ上がり、兵士達が転がる戦場を見渡すコーネリア。

「そうだろ。俺ってすごいだろ」

「すごい」

 セレンが賛成してくれた。
 ともかく、グランオーリス侵略の危機は去った。
 遅れてやってきた冒険者たちが、マッサ・ニャラブの兵士達を拘束するのを背に、俺はメインガンの亜人街へと戻るのだった。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

処理中です...