異世界転生でチートを授かった俺、最弱劣等職なのに実は最強だけど目立ちたくないのでまったりスローライフをめざす ~奴隷を買って魔法学(以下略)

朝食ダンゴ

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「よくきたな。ヒーモ」

「ああそうだ! どれほどこの日を待ちわびたことか! ようやく吾輩も十六歳になったんだ! キミと共にダンジョンにアタックできることを、光の女神エレノアに感謝するぞ!」

「……大袈裟だ」

 今さらエレノアの名前が出てきたところで動じたりはしない。この世界では唯一無二の創世神としてそこかしこでエレノアの名を目にするし、耳にもする。女神の加護にあやかって女の子にエレノアと名付ける親も少なくない。

「ほら早く行こうじゃないかロートス。ぐずぐずしていたら日が暮れてしまうぞ!」

「昇ったばっかだよ」

 ヒーモは俺の腕を引っ張り、外へと連れて行こうとする。別にそんなことしなくてもついていくのにな。

「坊ちゃま、行ってらっしゃいませ」

「ああ」

 一礼するシエラに見送られ、俺はヒーモが乗ってきた馬車に同乗する。
 十数騎からなるダーメンズ家の騎士団と、数騎のアルバレス家の騎士団が護衛につき、ダンジョンへと出発することになった。

「この馬車は誕生日の祝いに叔父様がくれたんだ。どうだ? 公爵家の馬車に比べれば粗末かもしれないが」

「そんなことはないさ」

 馬車に乗ることの少ない俺からすれば、車両の良し悪しなんてさほどわからない。

「ああ。しかし楽しみだな。柄にもなく浮き足立ってしまう」

「柄ではあるだろ」

「なんだとぅ」

 ヒーモが俺を小突き、車内に笑い声が響いた。
 俺とヒーモは家格の違いこそ大きいが、個人的に誰よりも親しくしている。
 前世界での記憶を持ったまま転生した俺にとって、ヒーモは孤独を和らげてくれる数少ない存在の一人だった。
 こいつは前世界の記憶を持っていない。顔と名前が同じなだけの別人かもしれない。たとえそうだとしても、前世界の繋がりを感じる代えがたい友人だった。

「ダンジョンっていっても、あれだろ? セーフダンジョンだろ?」

「まぁ、そうだが」

「冒険心をそそられないな」

「おいおいロートス。キミは昔からそうだな。わざわざ水を差すようなことを言うもんじゃない。吾輩がこれだけ楽しみにしているというのに」

 やれやれと肩を竦めるヒーモ。その仕草はなんか癪だぞ。
 ちなみにセーフダンジョンというのは、内部構造が単純かつ生息するモンスターが弱いダンジョンのことを指す。遭難や死亡のリスクが限りなくゼロに近いため、貴族の子女らのダンジョンデビューとしてよく用いられるのだ。

「二月後には魔法学園への入学も控えている。今のうちに経験をつけ、同級生たちをあっと驚かせたいんだ。そして、このヒーモ・ダーメンズの名を轟かせるんだ」

「頑張れ」

「吾輩が有名になった暁には、第一の友としてキミの名も広まるぞ」

「やだよ」

 んなことしなくても、アルバレス公爵家の長子として俺の名は国中に広まっている。いい意味でも、悪い意味でも。
 それはともかく。

「魔法学園……ね」

 実は俺もヒーモと同じく、来春から入学が決まっている。
 貴族の子弟は例外なく入学することが通例となっているし、別に断る理由もないので、ヒーモと一緒に入学することを決めた。
 この世界の魔法学園は、俺が通っていたところとは別物だと理解している。だが、俺が前世界の面影を求めているのも事実だろう。
 俺が生きた世界も、出会った人々との繋がりも、愛した女達も、悉く失ってしまったから。

「おおっ。あれを見ろロートス!」

 ずっとそわそわしていたヒーモが、窓の外を除いて立ち上がった。
 その視線の先を追うと、草原のど真ん中にそびえる白亜の塔が目に映った。

「あれが、国内最大級のセーフダンジョン『ジェネシス』か!」

 どうやら本日の目的地に到着したようだ。
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