異世界転生でチートを授かった俺、最弱劣等職なのに実は最強だけど目立ちたくないのでまったりスローライフをめざす ~奴隷を買って魔法学(以下略)

朝食ダンゴ

文字の大きさ
874 / 997

エルフの森についただけ

しおりを挟む
 その後。
 数日かけてエルフの森へ向かう算段だ。
 掘り返され、巻き上げられた大地が堆積しており、かなり足場が悪い状態だったが、全快した俺とイキールはルンルンで踏破した。

 共に危機を乗り越えた俺達の間には、奇妙な感情が芽生えていた。
 それは友情かもしれないし、信頼かもしれない。
 まさか恋心ってわけじゃないとは思うが。

 それはさておき。
 俺達は山岳地帯を抜け、草原を横断し、世界樹のそびえる森を臨んでいる。
 エルフの森は目前である。

「イキール」

「なに?」

「今更だけど、どうしてついてくるんだ? 安全なところまで戻ってきたんだから、帝都に帰ってもいいんだぞ?」

「ほんと、今更ね」

 イキールは茶化すように笑む。

「いま帰っても意味ないわ。成果がないもの。強いて言えばマザードラゴンの実在を確認したくらい。あの場所の崩壊を報告するにしても、何もわかりませんじゃ話にならないし」

「まぁな」

「だからついてきたの。エルフの森で何をするつもりかしんないけど、あなたからはなにか重大な事件の香りがするわ」

「嗅覚が鋭いな」

「女の勘ってやつよ」

「はは」

 何がおかしいのか、と睨まれる。
 俺の知ってるイキールは、もともと男だったからなぁ。
 こいつはやっぱり、名前が同じなだけの完全なる別人なんだろう。

「ついてくるなとは、もう言わない。けど、来るなら覚悟を決めろよ」

「覚悟……?」

「世界の真実を知る覚悟。信じていたものを否定する覚悟。そして、最後まで俺についてくる覚悟だ」

「どういうこと、公子。あなたは一体……」

「一緒に来ればわかるさ」

 言葉で説明してわかる問題でもない。
 俺は返事を待たず、エルフの森へと踏み入った。

 イキールからそれ以上の言及はなく、ただ俺の後をついてくる。
 世界樹の根元にあるエルフの里に到着したのは、日も赤く傾く黄昏時だった。

「お。ようやく来たでやんすか」

 里の入口には、オーサを始め多くのエルフ達が俺の到着を待っていたようだ。

「待ちくたびれたぞ、婿殿」

「まったく……どこで油を売っていたナリか」

 フィードリッドと副長も、俺を歓迎してくれているようだ。
 十数人のエルフに紛れて、アナベルとアンの姿もあった。

「主。お待ちしておりました」

 漆黒のベールを垂らしたアンが俺の前に跪く。

「すまんな。結構遅れちまった」

「とんでもないことです。主を待つ時間も、あーしの喜び」

「ならいいが」

 イキールの肘が俺の脇腹を突いた。

「どういうこと。なんで替え玉王女がこんなところにいるのよ」

「話せば長い」

 すべてを説明している暇はない。
 それに、アナベルからも同じような視線を向けられている。
 どうしてイキールをつれてきたのか、という目だ。
 成り行き上仕方なかった。大体の出来事はそんなもんだろう。
 そんな気がする。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

処理中です...