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かっこよす
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(作戦会議は終わったかな?)
余裕ぶっこいた声が響く。
(好きなだけ相談し、準備するといい。キミ達がどれだけ知恵を絞り、力を合わせ、運に味方されようと、究極の存在である【ゾハル】には勝てない。これは決まっていることなんだ)
マシなんとか五世の声は耳に届いているわけじゃない。空気の振動としての音ではなく、世界そのものを打ち鳴らす思念だからだ。
だからこそ【ゾハル】が放つ音声は、真実の響きをもって俺達の心を揺さぶった。
「決まっていることか……おぬしらしくないのぅ。その決まった未来を変えようと必死にもがいておった坊やはどこへ消えたのやら」
(矮小だったマシーネン・ピストーレはもういない。僕は神の理から解放されただけじゃなく、理を定める側に至ったんだ)
【ゾハル】から射出された無数の歯車が、怒涛の勢いで四人に襲いかかる。
みんなは跳躍することでそれぞれ別の方向に避け、浮遊する瓦礫の上に逃れる。
コッホ城塞はすでに崩落を開始し、残っているのは世界樹の枝に引っかかった一部のみとなっていた。
アデライト先生が杖を構える。
「では改めてその理を破りましょう」
その杖の先から、濁った紫の粒子が広がった。軟体動物のようにうねる粒子は、瞬く間に彼女の周囲を染め上げる。
「カオス・フラグメント」
見慣れない魔法だ。いや、あれは厳密には魔法じゃない。あの淀んだ粒子は、おそらく根源粒子に手を加えたものだろう。
「フレイムボルト・レインストーム」
アデライト先生が杖を振ると、濁った紫の火炎が撃ち出された。その数は数えることもできない。横殴りの豪雨のように【ゾハル】に襲いかかる。
(そんなもので!)
対する【ゾハル】は巨大な歯車を生み出した。激しく回転した歯車は、フレイムボルトをかき消しながらアデライト先生に肉薄する。
その速度たるや凄まじく、あっと言う間に先生を引き裂いてしまうかに思われた。
だが。
「えいっ」
先生がすいーっと杖を振ると、歯車はまるで飴細工のように粉々に砕け散った。
歯車は魔法障壁にぶつかって壊れただけ。何故そんなことが起きたのかというと、紫のフレイムボルトをかき消す際に、歯車自身も破壊寸前の損傷を負っていたからだ。
(たかが下級魔法で、僕の攻撃を相殺しただって?)
「それだけじゃありません」
残っていたフレイムボルトが【ゾハル】に迫る。それらは世界の境界を突き破り、【ゾハル】本体にダメージを与えていた。着弾点に無数の爆発が生じ、金色の表面を削り取っていく。
(この力……なんだこれ!)
「根源粒子を加工して造り出したものです。その性質にちなんで、混沌粒子と名付けました」
(混沌粒子だと?)
「あらゆる法則を乱す永劫の混沌。あなたが理を定める側に至ったのなら、私は理を破る境地に足を踏み入れるまで」
暴風に長い金髪を躍らせ、あまりにも美しく凛とした表情で、アデライト先生は厳として言い放った
余裕ぶっこいた声が響く。
(好きなだけ相談し、準備するといい。キミ達がどれだけ知恵を絞り、力を合わせ、運に味方されようと、究極の存在である【ゾハル】には勝てない。これは決まっていることなんだ)
マシなんとか五世の声は耳に届いているわけじゃない。空気の振動としての音ではなく、世界そのものを打ち鳴らす思念だからだ。
だからこそ【ゾハル】が放つ音声は、真実の響きをもって俺達の心を揺さぶった。
「決まっていることか……おぬしらしくないのぅ。その決まった未来を変えようと必死にもがいておった坊やはどこへ消えたのやら」
(矮小だったマシーネン・ピストーレはもういない。僕は神の理から解放されただけじゃなく、理を定める側に至ったんだ)
【ゾハル】から射出された無数の歯車が、怒涛の勢いで四人に襲いかかる。
みんなは跳躍することでそれぞれ別の方向に避け、浮遊する瓦礫の上に逃れる。
コッホ城塞はすでに崩落を開始し、残っているのは世界樹の枝に引っかかった一部のみとなっていた。
アデライト先生が杖を構える。
「では改めてその理を破りましょう」
その杖の先から、濁った紫の粒子が広がった。軟体動物のようにうねる粒子は、瞬く間に彼女の周囲を染め上げる。
「カオス・フラグメント」
見慣れない魔法だ。いや、あれは厳密には魔法じゃない。あの淀んだ粒子は、おそらく根源粒子に手を加えたものだろう。
「フレイムボルト・レインストーム」
アデライト先生が杖を振ると、濁った紫の火炎が撃ち出された。その数は数えることもできない。横殴りの豪雨のように【ゾハル】に襲いかかる。
(そんなもので!)
対する【ゾハル】は巨大な歯車を生み出した。激しく回転した歯車は、フレイムボルトをかき消しながらアデライト先生に肉薄する。
その速度たるや凄まじく、あっと言う間に先生を引き裂いてしまうかに思われた。
だが。
「えいっ」
先生がすいーっと杖を振ると、歯車はまるで飴細工のように粉々に砕け散った。
歯車は魔法障壁にぶつかって壊れただけ。何故そんなことが起きたのかというと、紫のフレイムボルトをかき消す際に、歯車自身も破壊寸前の損傷を負っていたからだ。
(たかが下級魔法で、僕の攻撃を相殺しただって?)
「それだけじゃありません」
残っていたフレイムボルトが【ゾハル】に迫る。それらは世界の境界を突き破り、【ゾハル】本体にダメージを与えていた。着弾点に無数の爆発が生じ、金色の表面を削り取っていく。
(この力……なんだこれ!)
「根源粒子を加工して造り出したものです。その性質にちなんで、混沌粒子と名付けました」
(混沌粒子だと?)
「あらゆる法則を乱す永劫の混沌。あなたが理を定める側に至ったのなら、私は理を破る境地に足を踏み入れるまで」
暴風に長い金髪を躍らせ、あまりにも美しく凛とした表情で、アデライト先生は厳として言い放った
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