異世界転生でチートを授かった俺、最弱劣等職なのに実は最強だけど目立ちたくないのでまったりスローライフをめざす ~奴隷を買って魔法学(以下略)

朝食ダンゴ

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モロバレ

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 流水のせせらぎが聞こえる。
 どこか心地よい眠りから目覚めた俺は、至近距離で俺を見下ろす美少女の顔を捉え、えも言われぬ安堵を覚えた。

「お目覚めですか……?」

 健康的な肌色。紫の髪。俺を覗き込む金の瞳は、記憶と変わらず神秘的だった。

「オルたそ」

 儚げな笑みを浮かべ、彼女は俺の頭を撫でた。
 どうやら俺は、オルタンシアに膝枕をされているようだった。
 四方を石造りの宮殿で囲まれた中庭。人工の川のほとりに、俺達はいる。

「戻ってきたんだな」

 思わずそんな言葉が漏れる。
 オルタンシアは何も言わない。ただ、俺の存在を確かめるようにじっと目を合わせて頭を撫で続けている。

「俺はどうやってここに?」

 その問いに、オルタンシアはちらりと横を一瞥した。

「あの子が……種馬さまを咥えて、ここに来たんです」

 その視線の先には、体を丸めて川の水面を覗き込む巨猫がいた。

「ムーディたんが俺を?」

 まさかあいつが助けてくれるとはな。

「他には誰もいないのか?」

「はい……種馬さまだけです」

「そうか」

 ということは、まだサラやウィッキー、セレン達はオルタンシアを探している最中なのだろうか。
 イキールとエレノアのこともある。このまま膝枕を堪能していたいのは山々だが、気持ちを切り替えて動き出さないとな。
 俺は名残惜しげに体を起こすと、オルタンシアの頬を撫で、その薄い唇に口づけをした。

「種馬さま」

「オルたそ。随分と待たせちまったが、早いとこ帰るぞ。俺達の愛娘が待ってる」

「アナちゃんが……?」

「ああ。あいつも相当お待ちかねだろう」

 オルタンシアの手を取って一緒に立ち上がった俺は、ムーディたんの近くへ移動する。この猫が放つ邪気を吸収し、俺は斬り落とされた腕を再生させた。
 以前、瘴気を活用してカマセイの腕を再生させたことがあるが、これはその応用だ。ムーディたんの邪気が瘴気に限りなく近い本質を持つなら同じことができるだろうというおれの推測はドンピシャだった。

「オルたそ。みんなをここに呼ぶ。オルたそのスキルと、このデカネコの力を使って、裏世界の核心部に向かうんだ」

 オルタンシアはそれだけで事情を察したようで、小さく頷いた。

「自分は……待つことしかできない女です。すべて、種馬さまに従います」

「ばか。言っただろ。オルたその力が必要なんだ。待つことしかできないなんて、ちょっと自虐がすぎるぞ」

 きれいな額を指で小突くと、オルタンシアは「あぅ」と小さな悲鳴を漏らす。

「みんなに合図を送る」

 再生した腕に魔力を集めると、空に向かってフレイムボルトを撃ち放った。
 赤く燃える短矢が、蒼穹へと飛翔する。ジェルドの里のどこにいても、視認できるくらいの派手さだった。

「これでいいはずだ」

 みんなが集まったら、ついに核心部への扉が開く。
 俺の――いや――俺達の長い旅も、ようやく終わりが見えてきたというわけだ。

「種馬さまっ……!」

 オルタンシアが緊張するのと、俺が脅威を感じ取ったのは、まったくの同時だった。
 積み上げられた石材をを突き破って現れたのは待ち人達ではなく、巨大なエレノアの体を背にして立つイキールであった。
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