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フォーレンス学園一年生

カレンとセルフォルド

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カレンと私は同じ目的を達成するために手を結んだ。私はラルク様に、カレンはカイト様に愛してもらうためにベルを虐め、殺そうとする。カレンはカイト様の婚約者なのだがカイト様とベルが仲が良いことを疎ましく思っていた。私もベルのことが大嫌いだったため私たちは仲間となったのだ、ベルを虐めることを目的として。

まず初めにベルの酷い噂を流した。例えばあいつは教室に忍び込んで金目の物を盗んでるみたいなことを。それからあいつをぼっちにさせたり、教科書を切り裂いたり·····私たちはやってやるたびに笑い声をあげていた·····楽しかった·····嬉しかった·····でも·····やっぱりそれはやってはいけないことだったんだ·····

断罪され、皆に軽蔑の目で見られた時·····やっと私達は分かったんだ·····これは、罪なのだと·····ラルク様に頬を叩かれたとき、泣きそうだった·····カレンは下僕のように扱っていたセルフォルドに殴られていた·····カイト様には相手にもされていなかった·····カレンは信じていたセルフォルドに殴られたことを驚いているようだった。セルフォルドの目は氷よりも冷たくて、カレンと私を見ていた·····
「お前ら、ベル様に何をしてくれたんだ·····地獄に落ちろ·····」
「あ、あなた!ベルの仲間なの?!私の下僕のくせに!!」
「ふっ·····そんなの知るか·····お前らのような奴の下僕になんてなんねーよ」
「な、なんですって·····」
「殺してやるよ·····二人とも·····ゆっくりとな·····」
セルフォルドは邪悪に笑った·····私たちの首筋にナイフを当てて·····

セルフォルドはベルに止められ、殺されはしなかったが、私たちの体はナイフでズタズタにされていた·····痛い·····痛い·····苦し·····い·····死にた·····い·····
初めてそんなことを考えた気がした·····



「はっ·····えっ·····ゆ、夢か·····」
体中が汗でベタベタだ·····これは·····小説の中のエルサ??こんな·····運命を辿らなくちゃ·····いけないの?!嫌だ·····嫌だ·····どうにかして·····逃げないと·····
「エルサ様、大丈夫ですか?!」
「·····だ、大丈夫だよ、ルナ·····ちょっとお風呂入ってくるね·····」
「·····分かりました·····用意します。エルサ様、悩んでいることがあればちゃんと言ってくださいね」
「うん、大丈夫だよ·····」
「·····そうですか·····」
やっぱり、悪役令嬢にいい未来はないんだ·····少しでも、変えなくちゃ·····
先の見えない未来に涙が出そうになった·····
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