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猫=子

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家には3匹の猫がいる。ちょっと前までは、10歳以上の猫たちばかりだったが、病気や、老衰で一匹ずついなくなった。しかし、その度に、新しい猫との出会いを繰り返し、今の猫たちがそろったのだ。
その猫たちはそれぞれ個性も違い毛並みも違う。血の繋がりのない猫たちなので、当たり前と言われればそうなのだが…。その毛並みが皆極上なのさ。なので本日も。
くんくん!すりすり。もふもふ~ん
仕事から帰ってきたらまずはこれだ。

「ただいま~。」
いつも通り玄関を開けると、誰だろう?何の音だ?的に、興味津々な猫たちが出迎えてくれる。
「外はダメだよ。ママだよ~」
と、猫に話しかけながら、猫が外にでないように気をつけて玄関の開閉をする。
家の中に進む私のあとを追って、猫たちも中に入って来る。この後追いしてくる猫ちゃんめっちゃ可愛い!!
まぁ、目的はわかってるんだけど。
「ハイハイ。猫ども~ご飯だよ~」
カリカリをしまっている棚を開けゴソゴソ、ガサガサ音をたてると、小走りで猫たちが私の足元に集結してくる。
ん~可愛い。
猫たちがご飯を食べている間に私も、テレビの前に座り一息いれる。そのうち、ご飯を食べた猫から私の膝に来たり、そばに寄ってきたりと甘え始める。そしたら、もう私の癒しタイムだ。
まず猫を捕まえ、膝の上で仰向けにし、そのもふもふのお腹に顔をダイブ!そうすれば、今日あった嫌なことも、どこかに飛んで行く。
長めの毛だったり、短めでやや密集していたり、シルクのようなさらさらした毛並みと、それぞれに頬擦りし、お腹の匂いもくんくん。猫は、毛繕いが上手でうちの猫たちは獣臭はほぼしない。匂いを例えるなら、太陽光でしっかり乾いた布かな?ちょっと焦げたような感じ。
まぁ、その匂いが私にはたまらない。ホッとする匂いなのだ。まさに、リラクゼーション!!私にとってなくてはならない存在、そして、珠玉の時間なのだ。

しかし、もうひとつなくてはならない大事な存在が…、そう、我が子たちである。なんやかんやでも、元気に成長している。
「ただいマンゴ~」
まずは、下の子が帰ってきた。いつからだろうか、ただいまがフルーツになったのは…。
「おかえリンゴ~」
私もそれに続く。
「ママ、今日は仕事は?」
「今日はないよ。」
「そっかー、ご飯は?」
ママがいるより、ご飯かよ!ママがいて嬉しいな、みたいな可愛いこと言ってくれないのと、軽くツッコミを私はいれてみた。
「で、ご飯は?」
子どもの中では、ママより、食欲が上だった。
「今日は唐揚げ。」
「やった!」
喜んでいる子どもの方から、なにやら異臭を感じる。私は、またかと思い子どものそばへ。
予感は的中だった。
「足が臭いよ…。靴下脱いで、足洗っておいで。」
「えー、なんでー?」
「なんでじゃない!自分で匂ってごらん。」
私に言われて、床に座って自分の足を抱えて匂ってみる。なんか、ヨガのポーズみたい。体やわらけえな!
「うわ!!クッサ!」
眉間にシワを寄せ、ものすごい形相になっている。
「ね。洗っておいで。」
次は、素直にお風呂場へ子どもは行ってくれた。私は、あの臭い足で家中を歩かれたら、家の掃除が大変になると思い、ほっとした。
と、思ったら、次から、次へと…。
「ただいマンゴリル~。」
少し遅れて帰ってきたのは、上の子どもだ。
「おかえり~」
私は、普通に返す。
「ママ、今日のご飯は?」
帰って早々、お前もか!
「唐揚げ。」
「やった!いつもの?」
上の子は、私に味覚が似たのか、辛いものや、薬味が大好きだ。
「今日は、材料がないからノーマルね。」
普段は、唐揚げのつけだれを作るのだが今日はなし。この特製だれが美味しいのさ。白ネギ、ミョウガ、青ジソを刻んで混ぜ、醤油などの調味料を少しいれたら、出来上がり。本当にこれはめっちゃ美味しい。上の子どものお気に入りだ。
「えー、なら、レモンはつけてよ!」
「はいはい。」
上の子どもの要望を聞いていた瞬間、私はまたもや異臭に気付いた。
「ちょっ!お兄ちゃんも臭いじゃん!早く洗っておいで。」
兄弟揃って、足が臭い!なんで!?
「はいは~い。」
こっちは素直に洗いに行ってくれた。私は、深く、長いため息をつきながら、子どもの靴をとった。
靴からも異臭が漂っているため、秘密兵器に登場してもらった。靴に、ホースを差し、スイッチオン!
ブーンと音を立て起動する。
オゾン消臭付きの靴乾燥機様だ。さすが、消臭付き。これを使うと、生乾き感や、嫌な臭いもなくなる優れものだ。本当、乾燥機様さまって位にうちでは、超重宝してる。
この臭いには、さすがの猫たちもよけてる(笑)

別に猫と、子どもの匂い対決じゃないよ。私にとって、どちらも大切な存在ってことなんだけど…。
どれだけ、大切な存在かってことで、猫に癒され、子どもには生きる力、意味を貰っている。
と言うことで、猫の次は子どもへダイブ!!
制服を脱いで、パンツ一丁のほぼ裸族の上の子を捕まえる。
だって、ソファーにゴロンと横になって、トドみたいなんだもん。
私は上から、覆い被さるように抱きつく。
「うわー、ママキモ!離れて!」
嫌がりながらも、子どもは笑っている。
なので、背中やお腹にすりすり。くすぐったいみたいずっと笑っている。
いや~、若いっていいね。肌は決め細やかで、程よい弾力がある。私もそうだったのかな?
「あー、楽しい。」
ん~、子どもとふれあい、笑い声を聞くと、なんか子どもも猫と一緒で癒しかも。
癒しをもらい、今私は幸せを感じている。
なので、笑い転げている子どもから、「変態」「キモ」と小さい声で聞こえてくるのは無視しておこう。
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