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カムフラージュ

5. 右か、左か

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ー … 1時間ほど前 … ー


緊張のあまり、
挙動不審に体を激しくバタつかせ、
心の声を 全部口に出す新を見て、
みんなで笑った。

「 落ち着けって、新。大丈夫や。

段取りは踏んどる。俺の頭ん中で。

俺が型どったものに、
エリーが色を付けて、
新が、それを実行すればええ。
それだけや。」

余裕の笑みで、
新の肩を抱くサムライを見て、
誰もが 頼もしい!と思った。

「 私が、色を付けるの?」

エリーは、
ピンクベージュに艶めく爪先を、
自分の顔に向けて確認する。

「 そうや 」 サムライは頷く。

「 私の出番は、無いの?」

紫空は、
まだ緊張して顔を強張らせている
新を見て笑い、
サムライに確認をした。

「 無いね 」 サムライは 即答で頷いた。

そして、続けて エリーに伝えた。


「 エリー、おまえは明日から、

しばらく休め。有休も溜まっとるしな。

その代わり、明日から しばらく、

1日 2~3時間でええから、

こいつを 特訓してくれ。」

そう言って、

肩を抱いていた新を、
エリーの目の前に突き出した。

「 有休? え、特訓って、何?」

まばたきを繰り返しながら、
理解しきれない頭を巡らせるエリー。


「 新を、女にしてやってくれ 」


サムライの 真面目なトーンに、
一同 言葉を失う。

「 え、無理でしょ… 。

どう見たって、男にしか見えない。」

騒がしい社長のデスクが気になり、
途中参加をした レントが、
サムライの顔を覗き込んで 聞いた。


「 そんな事はない 」

自信満々に答えるサムライに、
エリーは 驚きを隠せないでいる。

「 無理 無理 無理 無理! 無理だよ!」

今度は、エリーがテンパり始める。

「 そんな事はない 」

変わらないトーンで、
サムライは 1人1人の顔を見て、
はっきりと そう言いきった。

「 何、考えてんの?」

新は、不安そうな顔を浮かべる。


「 … そういう事ね。 許可する。」


紫空は、全く不思議がる様子もなく、
サムライを見ていた。


「 そういう事や。さすがやなぁ。

理解できたんか?」


笑い合うサムライと紫空を見て、
他のメンバーは疎外感を感じ、
寂しそうな顔をしていた。


「 なぁに? 解んない。説明してよー 」




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