16 / 105
カムフラージュ
5. 右か、左か
しおりを挟むー … 1時間ほど前 … ー
緊張のあまり、
挙動不審に体を激しくバタつかせ、
心の声を 全部口に出す新を見て、
みんなで笑った。
「 落ち着けって、新。大丈夫や。
段取りは踏んどる。俺の頭ん中で。
俺が型どったものに、
エリーが色を付けて、
新が、それを実行すればええ。
それだけや。」
余裕の笑みで、
新の肩を抱くサムライを見て、
誰もが 頼もしい!と思った。
「 私が、色を付けるの?」
エリーは、
ピンクベージュに艶めく爪先を、
自分の顔に向けて確認する。
「 そうや 」 サムライは頷く。
「 私の出番は、無いの?」
紫空は、
まだ緊張して顔を強張らせている
新を見て笑い、
サムライに確認をした。
「 無いね 」 サムライは 即答で頷いた。
そして、続けて エリーに伝えた。
「 エリー、おまえは明日から、
しばらく休め。有休も溜まっとるしな。
その代わり、明日から しばらく、
1日 2~3時間でええから、
こいつを 特訓してくれ。」
そう言って、
肩を抱いていた新を、
エリーの目の前に突き出した。
「 有休? え、特訓って、何?」
まばたきを繰り返しながら、
理解しきれない頭を巡らせるエリー。
「 新を、女にしてやってくれ 」
サムライの 真面目なトーンに、
一同 言葉を失う。
「 え、無理でしょ… 。
どう見たって、男にしか見えない。」
騒がしい社長のデスクが気になり、
途中参加をした レントが、
サムライの顔を覗き込んで 聞いた。
「 そんな事はない 」
自信満々に答えるサムライに、
エリーは 驚きを隠せないでいる。
「 無理 無理 無理 無理! 無理だよ!」
今度は、エリーがテンパり始める。
「 そんな事はない 」
変わらないトーンで、
サムライは 1人1人の顔を見て、
はっきりと そう言いきった。
「 何、考えてんの?」
新は、不安そうな顔を浮かべる。
「 … そういう事ね。 許可する。」
紫空は、全く不思議がる様子もなく、
サムライを見ていた。
「 そういう事や。さすがやなぁ。
理解できたんか?」
笑い合うサムライと紫空を見て、
他のメンバーは疎外感を感じ、
寂しそうな顔をしていた。
「 なぁに? 解んない。説明してよー 」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる