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カムフラージュ
7. 右か、左か
しおりを挟むエリーに、双子の妹 。
そんなものは、いない。
エリーが、
自らの手で、培ってきた男性の扱い方。
彼女は、絶やさない笑顔で、
それを無駄なく使おうとしていた。
胸中、多少の怯えが
あったとしても。
誰かを救う為に、
誰かを犠牲にしないといけない事は、
この会社のみならず、
人生そのものが そういうものだと、
エリーは 解りきっていたから。
相手に お断りをした後で、
間髪入れずに、最高な選択肢を与える。
選択肢を与える事で、
もし、その結果がダメだったとしても、
相手側の自己責任になるからだ。
エリーは、何も 悪くない。
恨まれる要素は、0 ゼロ。
「 ふっ、双子?! 双子なんですか?
エリーさんに、そっくりですか?」
舞い上がりかけた塚田に、
「 顔は、似ていません。」
エリーは、引き裂くように
ピシャリと答えた。
「 似ていません。二卵性双生児なので。
ただ、私のような仕事人間ではなく、
自宅で静かに過ごすタイプなので、
塚田さんのご希望に沿うかと思います。」
塚田の表情は とても解りやすく、
" 双子 " と聞いて エリーを想像し、
有頂天になった瞬間、
その期待を引き裂かれ、
一喜一憂を 2秒で表現してきた。
「 妹は、綺麗で 可愛い子ですよ。」
宥めるようなエリーの口調に、
塚田の表情は また明るさを増す。
「 妹は昔から、恥ずかしがり屋な為、
男性とお付き合いした事も少ないです。
ですが、結婚願望はある子なので。
塚田さんが望んでいる、
専業主婦希望ですよ。
一度、私も同行しますので、
一緒に お食事など いかがですか?」
「 処女ですか?! 」
「 えっ、あ、はい、たぶん。きっと… 」
「 それなら! それなら、会います!」
私は、処女 ではないのに。
なぜ、この人は私を選びかけた?
「 き 」持ち悪い人 … 。
エリーは心の中で、
塚田を
蔑むような目で見ていた。
そして、
「 き、綺麗で 可愛い子ですよ 」
と、二度 同じ事を言い、
優しく微笑みかけた。
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