105 / 117
ブラックアウト ( 最終章 )
【 5 】 閃光少女
しおりを挟む膝を抱えて 、うずくまり 、
耳の奥にこびりついた 、
ケン の 声に悩まされていた 。
思い出しちゃう … 。ー ー
…… 彼と2人で、初めて過ごした夜を。
"「 酔い ? とっくに覚めたけど 。」"
アタシは笑いながら、
ケンを見つめていたっけ … 。
彼に 、馬乗りになりながら 。
「 あははっ」
アタシは 、思い出し笑いをする 。
誰もいない部屋で 。
…… 可愛くて、綺麗な顔だな… 。
アタシより大人なくせに 、
緊張で 、顔真っ赤にさせてさ 。
余裕な天使の笑顔なんかじゃなくて、
緊張してる 男の顔 に、なってたな 。
"「 嘘つくな!(笑) 10本だぞっ!」"
ケンは笑いながら、
アタシの長い前髪を、
アタシの耳にかけてくれたっけ… 。
あの瞬間 、
アタシは ドキッとしたんだ 。
顔には出さなかったけど 。
あんな事 … 、
一緒にいて楽しい人にされたのは 、
初めて だったから 。
一緒にいて楽しい 、なんて…
そう思わせてくれたのも 、
初めて だったから 。
あの後 … 、
馬乗りになっていたアタシを 、
彼は 軽々と引っくり返したな … 。
オセロの黒を、白に返すみたいに 。
彼に、あんなに力があったなんて、
アタシは思わなかったんだ 。
ドキドキしたんだ 、初めて… 。
だから 、彼の方からキスをされた時、
ちょっとだけ 、
自分の暗い人生が 、
明るくなっていくような期待を…
してしまったんだ 。
ケンなら 、大丈夫かな… 。
ケンなら 、
シド を 越えてくれるかな、って 。
だけど 、
アタシが そんな事を望んだから、
自分の立場を 忘れたから 、
罰が 訪れたんだね 、きっと 。
まさか 、美咲 とチバちゃんが、
死ぬ なんて、思わなかったんだ 。
アタシは、
幸せになっちゃ いけないんだ 。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
8
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる