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36.教師side
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意味のない妃教育はいつものことでした。
ソニア側妃様が勉強に身が入らないのもいつものこと。
それを根気強く教え諭すのが私達教師の仕事です。
けれど今日のソニア側妃様は何時にも増して上の空でした。
「ねぇ、先生。先生も明日のパーティーに出席されるんですか?」
ソニア側妃様の突飛な質問には慣れておりました。
どうやら今回はソレが原因なのでしょう。
「はい、家の方に招待状が届いておりますので参加させていただきます」
「そうですか……」
そのまま黙ってしまったソニア側妃様。
私はこの時、「おや?」と思ってしまったのです。ソニア側妃様は後宮から出る事は許されておりません。当然、パーティーの参加など出来るはずもありません。そのため、パーティーに参加する教師一同に「いいな~」「羨ましいな~」と羨ましがる事はあれど、こんな風に何か言いたげに黙ってしまったことはありません。ですから、「おや?」と思ったわけです。
「その……パーティーには公爵様も出席すると聞いたんですが……本当ですか?」
「えぇ、公爵様はお名前を連ねていますが……それがどうかなさいましたか?」
私が尋ねるとソニア側妃様は俯いてしまわれたのです。これは何かあると思った私が再度問いかけようとした、その時です。
「あの!」
意を決したように顔をあげるソニア側妃様。
「あの、公爵様が会場でどんな様子なのか教えてくれませんか!?」
ソニア側妃様のお言葉に今度は私が驚きに言葉を失ってしまいました。
けれど、そんなことには気づかないソニア側妃様は堰を切ったように話し始めるのです。
「パーティーに参加するのは本当に久しぶりだって侍女達が話していたのを聞いたんです!だから先生に公爵様の様子を教えて欲しいんです!こ、こんな事、レーモンには頼めないので……」
なるほど。
ソニア側妃様は王太子殿下の元婚約者の動向が気になるという事ですか。
婚姻して数年。それでもやはりアリエノール・ラヌルフ女公爵様の事が気になると。あちらは全く気にしていないと思いますが、そうですね。ソニア側妃にすれば気が気ではないでしょう。
気を付けていたとしてもそれを肌で感じ取れる場合もあります。
私達教師を始め、自分に仕えている侍女や侍従からアリエノール様と比較されていると。
アリエノール様は公爵令嬢から女公爵になられたほど優秀な方です。以前、王都で見たのは十代半ばの年齢。その時でも絵から抜け出てきたような美貌は感嘆の息を吐き出しました。現在は二十四歳、美しさにますます磨きが掛かっている事でしょう。さらに血筋も確かでございます。ソニア側妃様では到底太刀打ちできない相手でございます。政略の婚約とは申せ、ソニア側妃にとってアリエノール様は恋敵というわけですものね。
「分かりました。公爵様のご様子がどのようだったのか、ソニア側妃様に報告させていただきます」
私が微笑んで告げれば、弾かれたように顔をあげるソニア側妃様。
「あ……ありがとうございます!!」
そんな嬉しそうにお礼を言わなくてもよろしいのに。
「ただし、今日の課題はしっかりこなしてくださいね」
「わ、分かりました!」
私はその素直な返事を褒めるように笑みを深めたのでした。
この時、私は気付かなかったのです。
ソニア側妃様が言っていた『公爵様』が誰だったのかを。
私が公爵違いだと気付くことはありませんでした。
ソニア側妃様が勉強に身が入らないのもいつものこと。
それを根気強く教え諭すのが私達教師の仕事です。
けれど今日のソニア側妃様は何時にも増して上の空でした。
「ねぇ、先生。先生も明日のパーティーに出席されるんですか?」
ソニア側妃様の突飛な質問には慣れておりました。
どうやら今回はソレが原因なのでしょう。
「はい、家の方に招待状が届いておりますので参加させていただきます」
「そうですか……」
そのまま黙ってしまったソニア側妃様。
私はこの時、「おや?」と思ってしまったのです。ソニア側妃様は後宮から出る事は許されておりません。当然、パーティーの参加など出来るはずもありません。そのため、パーティーに参加する教師一同に「いいな~」「羨ましいな~」と羨ましがる事はあれど、こんな風に何か言いたげに黙ってしまったことはありません。ですから、「おや?」と思ったわけです。
「その……パーティーには公爵様も出席すると聞いたんですが……本当ですか?」
「えぇ、公爵様はお名前を連ねていますが……それがどうかなさいましたか?」
私が尋ねるとソニア側妃様は俯いてしまわれたのです。これは何かあると思った私が再度問いかけようとした、その時です。
「あの!」
意を決したように顔をあげるソニア側妃様。
「あの、公爵様が会場でどんな様子なのか教えてくれませんか!?」
ソニア側妃様のお言葉に今度は私が驚きに言葉を失ってしまいました。
けれど、そんなことには気づかないソニア側妃様は堰を切ったように話し始めるのです。
「パーティーに参加するのは本当に久しぶりだって侍女達が話していたのを聞いたんです!だから先生に公爵様の様子を教えて欲しいんです!こ、こんな事、レーモンには頼めないので……」
なるほど。
ソニア側妃様は王太子殿下の元婚約者の動向が気になるという事ですか。
婚姻して数年。それでもやはりアリエノール・ラヌルフ女公爵様の事が気になると。あちらは全く気にしていないと思いますが、そうですね。ソニア側妃にすれば気が気ではないでしょう。
気を付けていたとしてもそれを肌で感じ取れる場合もあります。
私達教師を始め、自分に仕えている侍女や侍従からアリエノール様と比較されていると。
アリエノール様は公爵令嬢から女公爵になられたほど優秀な方です。以前、王都で見たのは十代半ばの年齢。その時でも絵から抜け出てきたような美貌は感嘆の息を吐き出しました。現在は二十四歳、美しさにますます磨きが掛かっている事でしょう。さらに血筋も確かでございます。ソニア側妃様では到底太刀打ちできない相手でございます。政略の婚約とは申せ、ソニア側妃にとってアリエノール様は恋敵というわけですものね。
「分かりました。公爵様のご様子がどのようだったのか、ソニア側妃様に報告させていただきます」
私が微笑んで告げれば、弾かれたように顔をあげるソニア側妃様。
「あ……ありがとうございます!!」
そんな嬉しそうにお礼を言わなくてもよろしいのに。
「ただし、今日の課題はしっかりこなしてくださいね」
「わ、分かりました!」
私はその素直な返事を褒めるように笑みを深めたのでした。
この時、私は気付かなかったのです。
ソニア側妃様が言っていた『公爵様』が誰だったのかを。
私が公爵違いだと気付くことはありませんでした。
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