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中編1
しおりを挟むこれには驚きでした。
てっきり、家で家庭教師でも雇って、年頃になれば、見合い結婚でもするのかと思っていたからです。なにしろ、ローズマリーは大の勉強嫌いですから。大丈夫でしょうか?学園は成績順でクラスが決まり、寮もそれに合わせています。
あのローズマリーに入れるクラスとなると、思いつくのは一つだけですが果たして彼女がクラスに満足して楽しい学園生活を送れるかは疑問しか湧きません。
思った通り、ローズマリーはEクラスになっていました。
入学式の間中、チラチラと私の方を向いて目くばせしているのですが無視しておきました。
だって、Aクラスの私とは接点がありませんから。
ローズマリーは入学後も私と接触してこようとするのですが、かねてより、学園に情報網を張り巡らせていた私は、無事に接触をかわし続けています。
持つべきものは、賢い女友達。
彼女たちは、私の家の事情を知っているのです。
勿論、両親や義妹のことも。
なので協力が得られやすかったことも理由でしょう。
そもそも、学年もクラスも違う私に接触してどうしようというのか……まさかクラス替えに協力しろとでも?
無理ですよ、そんなこと。
ローズマリーは自分がEクラスになった事に不満があるらしく、異議申立てを行っているそうです。
それというのも、上級クラスがA~B、中級クラスがC、下級クラスがD~Eとに別れている上に学ぶ内容も異なっているからです。
Aクラスは、領地経営や文官になる人が目指す場所(高位貴族の子女の淑女教育あり)。
Bクラスは、近衛騎士や軍人、侍従や女官になる人が目指す場所(下位貴族の子女の淑女教育あり)。
Cクラスは、商人や役人になる人が目指す場所(一般階級も多い)。
Dクラスは、執事やメイドになる人が目指す場所(一般階級が最も多い)。
という風に別れています。
ん?
Eクラスがないのかって?
Eクラスは別名『余りものの居場所』とまでいわれる”落ちこぼれクラス”なのです。
なぜ、天下の王立学園にそんなクラスがあるのかといえば、偏に貴族階級出身者のためでしょうね。貴族の『ぼんくら達』を収納する場所とでもいうべきでしょうか?取り合えず、「学園を卒業した」という箔付けが貴族には必要なんでしょうね(特に男には)。
そんなクラスに組み分けされているローズマリーは大変ご立腹だとか。
父がわざわざ手紙で知らせてくれました。なんとかしろ、と言われてもね。
一般階級出身の娘に何ができるというのでしょう。父は脳みそが腐ってるんでしょうか?私に文句を言う前に、ローズマリーの性格を矯正すべきですよ。
学園に入ってわずか半年で同僚の女子生徒を敵にまわすって、よっぽどですよ。
男子生徒を味方につけているからといって、女子生徒に喧嘩を売ってどうするのですか?
本人に喧嘩を売った自覚はない事も問題です。素で喧嘩を売っているのですから。その手腕だけは天晴と称賛したくなるほど酷いレベルです。
「あら?私、ペンを忘れたから借りるわ」
「教科書を忘れたから借りるわ」
「消しゴムを忘れたから借りるわ」
「辞書を忘れたから借りるわ」
忘れっぽいローズマリーは、相手の了承を得る前に無断で使用するのです。しかも「ちょっと借りるわ。後から返すからいいわよね」と言っては、そのまま借りっぱなしで返す気配なし。
「これ綺麗な指輪ね。貴女がしているよりも私の指に収まっている方が似合うわ」
「今日のお茶会で着ていくドレスがないから貴女のを借りるわね。これ前から目を付けていたのよ!」
「エメラルドのブローチは私がしてこそ光輝くのよ!」
「地味な貴女にこんな可愛らしいバックは似合わないわ。私が貰ってあげる」
人様の物を無断で使用する有り様。
勝手に使って、奪って、壊して、もはや開いた口がふさがらない状態です。
靴や服、アクセサリーにまで多種多様に及んでいるのが彼女らしいと言えば彼女らしいのでしょう。被害が多過ぎて、ローズマリーですら把握出来ていない状態でした。
これで怒らない女子生徒はいません。
勝手に使っておいて、汚す、壊す、無くす、のオンパレードですからね。ひったくるように奪われた御令嬢も多々います。なかには「返して欲しい」と訴え出る女子生徒もいるのですが、それに対してローズマリーは、実に彼女らしい謎の持論を持ち出して反撃しているのです。
「あれは私が貴女から貰ってあげたものよ。そうでしょう?貴女が使うよりも美しい私に使って貰った方が品物も値打ちが上がるというものだわ」
皆さん、怒る怒る。
「綺麗な物は美しい人間が使ってこそ真価が出るというものよ!貴女たちの中で私よりも美しい女がいる?私よりも似合うと本気で思っているの?冗談でしょう!」
どうしてそこで反撃という手段に出るのか謎です。
素直に謝り反省する事が出来ないのでしょうか?
誰が見てもローズマリーが悪いと判断するでしょう。
気が弱い女子生徒なら泣き寝入りしますが、気の強い女子生徒はローズマリーに徹底抗戦していました。『目には目を歯には歯を作戦』です。
取られたなら、取り返す。
やられたらやり返す。
奪われたら奪う。
要は、ローズマリーの持ち物から
「以前、盗まれたものだから返して貰いますね。ドロボウさん」
と言って取り返すのです。
幾ら、ローズマリーと同じ土俵で戦うにしても、勝手に使用するという恥知らずな行いは出来なかった模様。常識ある人にとってはローズマリーの行為は出来ませんからね。それに盗まれたものを取り返すのは当然の権利です。
それに対して、ローズマリーの反応はというと、烈火の如く怒り狂いました。
「この泥棒!!!」
本来の持ち主が取り返しただけでしょう!
泥棒はローズマリー、貴女です。
勝ってに奪い取った物を、さも自分の持ち物として扱っているローズマリーの神経が分かりません。取り返されて、怒鳴り散らすのだから、どうしようもありませんね。
義母はローズマリーに「人の嫌がることはしてはいけない」と教えなかったのでしょうか?
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