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10.姉からの説明(ベアトリクスside)
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「ベアトリクス。遠慮はいらないわ。貴女がこの婚約をどうしたいかだけ答えてちょうだい。白紙にしたい?それとも家同士の継続を望む?」
ランドルト侯爵家邸のサロン。
そこで私は姉から今後のことを聞かれていました。
侯爵家の当主は父ですが、姉は王家に嫁ぎ、今は王妃陛下です。
姉は、決定権は私にあるような言い方をしていますが、大丈夫なのでしょうか。
「婚約は解消されるのではないのですか?」
「ええ、あの双子との婚約は白紙となるわね」
結果は出ているのでは?と、いう意味を込めて首を傾げると姉が続けた。
「いずれ公表されることだから言うけれど、例の男爵家の庶子に誑かされた男性はそれなりに……いいえ、大分いるの」
姉は溜め息をついて、額を押さえた。
「不貞の事実も確認したわ。証拠もある。ただね、数があまりにも多いのよ。もうこれは我が家だけの問題ではないの。王家としては、貴族同士のパワーバランスを考慮して今回に限り王家主導での政略結婚を発令するわ」
「パワーバランス……そんなにですか?」
「そうよ。よくもまぁ、あれだけの数と関係を持ったものだと感心しているくらいよ。……なかには遊び感覚の者もいたでしょうけどね。でも、遊びとか本気とかの問題ではないのよ。まったく……。信じられないわ」
姉は「嘆かわしいわ」と頭を振った。
どうやら王家が動いたのには別の理由があったようだ。
王家主導での政略結婚に漕ぎつけるために、敢えて情報を公開すると踏み切ったのだろう。
「どんな理由であれ、男爵家の庶子と関係を持った男性は全員例外なく、廃嫡させる。これは決定事項よ」
「なにかあるんですか?」
「それは言えないわ。王家に関わることだから」
姉はそう言って口を閉ざした。
これ以上は聞くな、ということなのだろう。
「それで、どうするの?」
「……公爵家との縁組を解消して、ランドルト侯爵家が不利益を被らないのであれば、白紙を望みます。……でも、そうなると私の結婚相手はどうなるのでしょうか?」
「言ったでしょう。大々的に王家が主導すると」
「はい」
「それだけの数の婚約見直しが行われるということよ。上位貴族の半数は婚約の見直しがされると思ってちょうだい。だから貴女の相手は問題ないわ。寧ろ、貴女の場合は嫁ぐことも婿入りも両方可能だもの。引く手あまたよ」
「はぁ……」
私はあまりのことに言葉を失った。
王家は何を考えているのでしょうか。
それに、姉は随分と楽しそうです。
「これでもう二度と会うことは無いわ。最後に一度だけ会っておく?地下牢だけど個別にしてあるし、双子という配慮もしているから、彼らだけ二人一緒なの」
もはや貴族牢ですらなかった。王家、容赦ないですね。
これ以上は関わりたくありませんでしたが、最後にくらいは。
私が頷くと、姉はにっこりと微笑んだ。
ランドルト侯爵家邸のサロン。
そこで私は姉から今後のことを聞かれていました。
侯爵家の当主は父ですが、姉は王家に嫁ぎ、今は王妃陛下です。
姉は、決定権は私にあるような言い方をしていますが、大丈夫なのでしょうか。
「婚約は解消されるのではないのですか?」
「ええ、あの双子との婚約は白紙となるわね」
結果は出ているのでは?と、いう意味を込めて首を傾げると姉が続けた。
「いずれ公表されることだから言うけれど、例の男爵家の庶子に誑かされた男性はそれなりに……いいえ、大分いるの」
姉は溜め息をついて、額を押さえた。
「不貞の事実も確認したわ。証拠もある。ただね、数があまりにも多いのよ。もうこれは我が家だけの問題ではないの。王家としては、貴族同士のパワーバランスを考慮して今回に限り王家主導での政略結婚を発令するわ」
「パワーバランス……そんなにですか?」
「そうよ。よくもまぁ、あれだけの数と関係を持ったものだと感心しているくらいよ。……なかには遊び感覚の者もいたでしょうけどね。でも、遊びとか本気とかの問題ではないのよ。まったく……。信じられないわ」
姉は「嘆かわしいわ」と頭を振った。
どうやら王家が動いたのには別の理由があったようだ。
王家主導での政略結婚に漕ぎつけるために、敢えて情報を公開すると踏み切ったのだろう。
「どんな理由であれ、男爵家の庶子と関係を持った男性は全員例外なく、廃嫡させる。これは決定事項よ」
「なにかあるんですか?」
「それは言えないわ。王家に関わることだから」
姉はそう言って口を閉ざした。
これ以上は聞くな、ということなのだろう。
「それで、どうするの?」
「……公爵家との縁組を解消して、ランドルト侯爵家が不利益を被らないのであれば、白紙を望みます。……でも、そうなると私の結婚相手はどうなるのでしょうか?」
「言ったでしょう。大々的に王家が主導すると」
「はい」
「それだけの数の婚約見直しが行われるということよ。上位貴族の半数は婚約の見直しがされると思ってちょうだい。だから貴女の相手は問題ないわ。寧ろ、貴女の場合は嫁ぐことも婿入りも両方可能だもの。引く手あまたよ」
「はぁ……」
私はあまりのことに言葉を失った。
王家は何を考えているのでしょうか。
それに、姉は随分と楽しそうです。
「これでもう二度と会うことは無いわ。最後に一度だけ会っておく?地下牢だけど個別にしてあるし、双子という配慮もしているから、彼らだけ二人一緒なの」
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私が頷くと、姉はにっこりと微笑んだ。
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