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「上達したじゃん。明日は次の工程に進もうか」
平野が笑みを浮かべた。
二日目も玉ねぎの微塵切りに励んだ後、閉店した店内で平野と二人遅い夕食をとった。
「なんか……夕食泥棒ですけどいいんですか?」
「いつもひとりだから、すげぇ嬉しいよ」
「平野さんは彼女いないんですか?」
「いないよ」
「そう……ですか」
菜々子の胸が高鳴った。
三日目と四日目は、飴色玉ねぎのレッスンだった。
「じゃあ玉ねぎ炒めようか」と菜々子の肩を叩いた平野がケラケラ笑っている。
「菜々子ちゃんの飴色玉ねぎの話、忘れられないよ。破壊力抜群。可愛すぎた」
そう言って菜々子の頭を撫でる。
このまま時間が止まって欲しいと菜々子は本気で願った。
地味な作業で時間がかかるくせに、少し油断すると焦がしてしまう。
結局のところ、『飴色』は、菜々子が思っていたべっこう飴よりも色が濃い、紅茶飴に近い色だった。
五日目にやっと形になったハンバーグは、平野の手を借りて七十点。ゴールは近いかもしれない、と菜々子は思った。
六日目。初めて菜々子ひとりで作ることになった。
途中、平野から指示されたスパイスをハンバーグだねに振りかけた。
「これはなんですか?」
「ん? ……惚れ薬」
「えっ!?」
「冗談。……魔法のスパイス」
白い歯を見せ、冗談に冗談を重ねる平野に目をやり、その笑顔を独り占めできる魔法のスパイスならいいのに、と菜々子は笑みを返した。
平野が笑みを浮かべた。
二日目も玉ねぎの微塵切りに励んだ後、閉店した店内で平野と二人遅い夕食をとった。
「なんか……夕食泥棒ですけどいいんですか?」
「いつもひとりだから、すげぇ嬉しいよ」
「平野さんは彼女いないんですか?」
「いないよ」
「そう……ですか」
菜々子の胸が高鳴った。
三日目と四日目は、飴色玉ねぎのレッスンだった。
「じゃあ玉ねぎ炒めようか」と菜々子の肩を叩いた平野がケラケラ笑っている。
「菜々子ちゃんの飴色玉ねぎの話、忘れられないよ。破壊力抜群。可愛すぎた」
そう言って菜々子の頭を撫でる。
このまま時間が止まって欲しいと菜々子は本気で願った。
地味な作業で時間がかかるくせに、少し油断すると焦がしてしまう。
結局のところ、『飴色』は、菜々子が思っていたべっこう飴よりも色が濃い、紅茶飴に近い色だった。
五日目にやっと形になったハンバーグは、平野の手を借りて七十点。ゴールは近いかもしれない、と菜々子は思った。
六日目。初めて菜々子ひとりで作ることになった。
途中、平野から指示されたスパイスをハンバーグだねに振りかけた。
「これはなんですか?」
「ん? ……惚れ薬」
「えっ!?」
「冗談。……魔法のスパイス」
白い歯を見せ、冗談に冗談を重ねる平野に目をやり、その笑顔を独り占めできる魔法のスパイスならいいのに、と菜々子は笑みを返した。
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