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五話
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麻里絵は今朝の事を思い返していた。
何気ない会話をしながらいつも通り倫也と二人で朝食をとり、早朝出勤だった麻里絵は、見送ってくれた倫也と玄関でキスを交わした。
いつも通りの朝だった。
麻里絵は人生二度目の絶望感に苛まれていた。
一度目よりも更に酷いものだった。結婚を誓い合った恋人との別れではなく、実際に結婚していた夫が、離婚届を置いて出ていったのだから……。
あまりにも突然すぎて、涙も出ない。
昨夜は倫也とセックスもした。いつものように丁寧に愛され、麻里絵はこの上ない幸福感に満たされた。
倫也から『愛してる』とも言われた。
訳がわからない。
何故こんなことになったのか――麻里絵には全く見当がつかなかった。
倫也は今日仕事に行ったのだろうか。朝はスーツを着ていた。
麻里絵は徐に立ち上がって寝室へ行き、クローゼットを開けた。倫也の私物がゴッソリ消えている――ということはなかった。それからリビングに戻ってバッグを探り、スマホを取り出した。
映画やドラマなんかだと、こういう状況で相手に電話をかけた場合『現在使われておりません』というアナウンスが流れることがよくあるが――当たり前のように呼び出し音が鳴り、二回のコールで繋がった。
『はい』
と感情のない声で倫也が言った。
「倫くん? 私、麻里絵」
『わかってるよ』
「ねえ、どういうこと? ちゃんと説明してよ」
『麻里絵? 今から伝える番号に電話して』
「え?」
麻里絵は聞き返す。
『三條場さんの番号だよ』
「え?」
もう一度聞き返した。
『三條場寛人さんって言えばわかる?』
「え!? 何で――」
三條場寛人は、麻里絵の元カレの名前だ。
『電話したらわかるから。じゃあね』
プツンと電話が切れた。
麻里絵はとりあえず言われた番号に電話をかけてみた。
何気ない会話をしながらいつも通り倫也と二人で朝食をとり、早朝出勤だった麻里絵は、見送ってくれた倫也と玄関でキスを交わした。
いつも通りの朝だった。
麻里絵は人生二度目の絶望感に苛まれていた。
一度目よりも更に酷いものだった。結婚を誓い合った恋人との別れではなく、実際に結婚していた夫が、離婚届を置いて出ていったのだから……。
あまりにも突然すぎて、涙も出ない。
昨夜は倫也とセックスもした。いつものように丁寧に愛され、麻里絵はこの上ない幸福感に満たされた。
倫也から『愛してる』とも言われた。
訳がわからない。
何故こんなことになったのか――麻里絵には全く見当がつかなかった。
倫也は今日仕事に行ったのだろうか。朝はスーツを着ていた。
麻里絵は徐に立ち上がって寝室へ行き、クローゼットを開けた。倫也の私物がゴッソリ消えている――ということはなかった。それからリビングに戻ってバッグを探り、スマホを取り出した。
映画やドラマなんかだと、こういう状況で相手に電話をかけた場合『現在使われておりません』というアナウンスが流れることがよくあるが――当たり前のように呼び出し音が鳴り、二回のコールで繋がった。
『はい』
と感情のない声で倫也が言った。
「倫くん? 私、麻里絵」
『わかってるよ』
「ねえ、どういうこと? ちゃんと説明してよ」
『麻里絵? 今から伝える番号に電話して』
「え?」
麻里絵は聞き返す。
『三條場さんの番号だよ』
「え?」
もう一度聞き返した。
『三條場寛人さんって言えばわかる?』
「え!? 何で――」
三條場寛人は、麻里絵の元カレの名前だ。
『電話したらわかるから。じゃあね』
プツンと電話が切れた。
麻里絵はとりあえず言われた番号に電話をかけてみた。
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