向日葵のような輝く君に

和賀ミヲナ

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1話

1-13 手紙

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『篠原くんへ



これを読んでくれている頃には…
私はもう篠原くんには会えなくなっているかもしれないね。
書こうかどうか、手紙なんて残さない方が…と思ったけれど、やはり気持ちを伝えたくて。

私にとってこの夏休みは、人生最高のプレゼントでした。



私は…ずっと病気がちだったから
外で遊んだり友達もなかなか出来なくて…
本ばかり読んでて。

きっとそんな人生を最期まで送るんだと思ってた。

だけど、篠原くんのおかげでとても毎日が楽しかった。

一緒にいろんな話をして…花に水をあげたり、
学校でアイスを食べたり、ジュースを飲んだり。

ワンピースを着てデートもしたり。
そんな些細なことだけど…

本当に本当に楽しかったの。

ありがとう。

病気のこととか…ちゃんと言わなくてごめんなさい。

そのせいで迷惑もかけてしまったし…

あとクラスメイトにからかわれて謝ってくれたのに…何も返信しなくてごめんなさい。

これ以上篠原くんに何か言うと…
私、病気なのにもっと生きたいってどんどん欲張ってしまいそうで…怖かったの。

篠原くんとほんの少し一緒にいられただけでもう十分幸せだったのに、
篠原くんの優しさに甘えてしまいそうになりました…

ごめんなさい。

この夏休みの想い出は私にとってかけがえのないものでした。
いつも明るくて笑顔が素敵な篠原くんが、
私、初めて会ったときから大好きです。

でも、私のことで自分を責めたり泣いたりしないでね。
それは、自惚れすぎかな?大丈夫だよね(笑)

あなたの幸せをずっとずっと願っています。
ありがとう。
さようなら。



原田香織より





最後のほうは急に字がにじんで見えなくなった。

それで自分がぼろぼろと泣いてるのに気が付いた。



「なんで…こんな…ありがとうなんて…
ううっ。俺、全然優しくできなかったし、最後なんてひどいこと…言った…のに」



泣きじゃくる俺の前に喜代美先生がしゃがみこみ、両手を差し延べそっと俺の手を包みこんだ。

とても柔らかくて温かい手だ。
その優しさが伝わってまた涙がでる。

「原田さんはそんなこと少しも気にしてなかったわ。

あなたのこと、本当に大好きだったから。

私が最後に病院で会ったときも笑顔で…
篠原くんに、良かったらこの手紙を渡して欲しいって…」

「……。」

「そうやって自分を責めないで。
原田さんもそう手紙に書いてなかった?」



そうだ…そのとおりだ。

彼女の手紙には感謝の言葉しかない。

感謝したいのは俺のほうだ。

ちゃんとお礼を言わなければ。

「…喜代美先生、ありがとう。
俺こそ、ちゃんと原田にお別れとお礼と…気持ちを言わなきゃいけないよね。」

「…そうね。じゃあまずは教室に戻らないと。」

「…はい。」



後日、原田の葬儀には担任とクラス全員で訪れた。

原田の棺の中での安らかな死に顔は…
本当に綺麗で微笑んで眠っているかのようだった。

俺は原田の棺に自分の気持ちを書いた手紙と向日葵の形をした髪飾りを一緒にいれた。



天国でまたおさげに結うかな…と思って。

俺は髪をほどいたほうが女の子らしくて好きだけどね…

そう思ったらまた涙がじわっと溢れた。



周りに自分が泣いてるのを悟られたくなくて、
葬儀場からそっと出て、ふと空を仰ぐ。

雲ひとつない真っ青な綺麗な空だった。



手紙にはこれだけ書いた。



ありがとう原田。

俺…ずっと原田のこと忘れないから。



俺も原田の笑顔が…



大好きだ。





夏が来る度、
真夏に咲く向日葵を見る度、
俺は…
儚かったけれど、
どこか強くて明るかった笑顔の彼女を思い出す。

向日葵のように太陽の光りを浴びて
美しく輝いて全力で生きた彼女を…。





向日葵のような輝く君に

終。


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