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1話
1-3 ビーフシチューを作ったのは…
しおりを挟む「!!?」
そこにはヤクザ並みにコワモテな30代くらいの影のある男性が、
ビーフシチューをいれた陶器の皿をトレイに載せて立っていた。
この喫茶店にはおよそ似合わない風体の人だ…。
何とか驚きを声にださぬようにしてコクコクと頷きながら、目の前に右手を出してそこにシチューを置いてもらった。
出来立てで温かそうなビーフシチューから湯気がたくさんでている。
「当店自慢のビーフシチューです。ごゆっくりどうぞ。」
およそコワモテからは想像つかない素敵なイケボで、またまた驚きで変な声が出そうになる。
そこをぐっとこらえて、
「ありがとうございます」
とだけ伝えた。
これまた綺麗なお辞儀をして奥のカウンターのなかに消えるコワモテさん…
本当にバラエティーに飛んでるお店だな…
面白いんですけど。
あ、そうだ。
ビーフシチューをまず冷めないうちに食べなきゃ。
手を合わせて…
「いただきます」
スプーンで美味しそうな牛肉をすくってまず一口食べた。
「!!!」
とろとろに口の中で牛肉があっという間に溶けて消えていった。
ナニコレ!?
いままで食べたビーフシチューと全然違うんですけど~!!
シチューのソースもほどよい甘さと濃さでのど越しもよい。
ジャガイモもにんじんもホクホクに茹でてありソースと一緒に口に流し込む。
次から次にスプーンを口に運び、あっという間に完食してしまった。
「お…おいしすぎた!ご馳走さまです」
思わず手を合わせて大きな一人言を言ってしまった。
「ありがとうございます。作った甲斐があります」
さっきのコワモテイケボさんがすぐにテーブルに来て空になったお皿を下げてくれた。
「ええ!あなたがこのビーフシチューを作ってるんですか?」
「はい。そうです。」
ニコッとコワモテさんが笑った。
あら、笑うと意外と可愛らしい顔になるんだ。
うーん、この人も不思議な魅力がある人だ…
応援ありがとうございます!
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