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4話
4-15 私の仕事
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その後、莉奈ちゃんはどうなったかというと、
さすがに高校はどんな形でもいいから卒業はしたほうがいいという母の紗和ちゃんの説得にうなずき。
製菓学校に入るお金を自分でも貯めるためにぱんだ喫茶店のバイトも続けているし、
不登校で遅れた一年分の授業を取り戻すために、個別塾に通って高校にはテストや部活だけ行っているらしい。
ちなみに部活は家庭科部だとか。
莉奈ちゃん、お菓子たくさん作ってるのかな。
紗和ちゃんも実家の白桜堂の和菓子製作には関わっているらしい。
「本来は長男の和樹がうちの和菓子屋、継ぐべきなのに。
アイツ、俺は洋菓子がいい!ケーキしか作らない!って母と大喧嘩して実家から逃げて喫茶店始めたからね…
仕方ないから長女の私と旦那が家業継いだの。
妹と妹の旦那までいま店を手伝ってくれてるのに…本当にカズは…」
じろっとカウンターにいるパンダ店長を紗和ちゃんが睨むと怒りを察知したのかすぐに厨房に引っ込むパンダ店長であった。
やれやれ。
それから時々、紗和ちゃんも、
莉奈ちゃんに和菓子の基礎を教えたり、また逆に莉奈ちゃんの作るお菓子の試作品を食べさせてもらっているらしい。
「マリリン、私、莉奈のせいで2キロも体重増えたよ」
とぱんだ喫茶店でお茶をしながら、愚痴をいうけれどその表情はとても嬉しそうだった。
あと、パンダ店長の愚痴をいう割りにはぱんだ喫茶店も気に入ったのかかなりよく来店する。
一年前まで不登校だった子が意思を固めて動き出したら突き進むんだな。
こんなに急に夢に向かってとてもアクティブに動き回れるとは。
若いってうらやましい。
私の若い頃、こんな情熱的になれることなんてあったかなあ…?
家に帰ってもパートの疲れでソファーに寝込んでボーッとしてしまっていた。
「母ちゃん…オイ!聞いてんのかよ、ババア!」
長男の淳司の声がふと耳に入り、
「ハア?誰がババアだコラ!!」
と鬼の形相で振り返る。
すると長男の手に
今、巷で大人気の「ウサきゃわ」というたれ耳ウサギのキャラクターのキーホルダーがぶら下がっていた。
「…コレ。ダチにもらったけど可愛すぎるから母ちゃんにやるわ。」
「え?えー!?
コレ大人気でグッズも入手が難しいんじゃないっけ…ありがとう。お友達ラッキーだね!」
「…おう。」
そのまま、変なしかめ面したまま淳司は自分の部屋に行ってしまった。
…何か相変わらずよくわかんない子だけど??
悪い子には育ってない、と思う。
これ、本当にもらったのかな。
いや、でも自分で買うようなこともしないだろう…彼女でもできたか??
いや、やっぱりわからない。
…子育ては本当にどうやるのが正解、不正解なんてないから迷う、迷いまくる。
でも、きっとどれも間違いなんてないと思う。
どんな親子も毎日、一生懸命、試行錯誤しながら生きてる。
それでいいんだと思う。
私は旦那のため、長男のため次男のために毎日パートで働いて美味しいご飯作って家事育児するのが仕事!
さて、明日もぱんだ喫茶店のパートだ!
明日のまかないは何かなあ…
色々考えながら私は重い腰をあげて、
晩御飯の調理をすることにした。
4話 完
さすがに高校はどんな形でもいいから卒業はしたほうがいいという母の紗和ちゃんの説得にうなずき。
製菓学校に入るお金を自分でも貯めるためにぱんだ喫茶店のバイトも続けているし、
不登校で遅れた一年分の授業を取り戻すために、個別塾に通って高校にはテストや部活だけ行っているらしい。
ちなみに部活は家庭科部だとか。
莉奈ちゃん、お菓子たくさん作ってるのかな。
紗和ちゃんも実家の白桜堂の和菓子製作には関わっているらしい。
「本来は長男の和樹がうちの和菓子屋、継ぐべきなのに。
アイツ、俺は洋菓子がいい!ケーキしか作らない!って母と大喧嘩して実家から逃げて喫茶店始めたからね…
仕方ないから長女の私と旦那が家業継いだの。
妹と妹の旦那までいま店を手伝ってくれてるのに…本当にカズは…」
じろっとカウンターにいるパンダ店長を紗和ちゃんが睨むと怒りを察知したのかすぐに厨房に引っ込むパンダ店長であった。
やれやれ。
それから時々、紗和ちゃんも、
莉奈ちゃんに和菓子の基礎を教えたり、また逆に莉奈ちゃんの作るお菓子の試作品を食べさせてもらっているらしい。
「マリリン、私、莉奈のせいで2キロも体重増えたよ」
とぱんだ喫茶店でお茶をしながら、愚痴をいうけれどその表情はとても嬉しそうだった。
あと、パンダ店長の愚痴をいう割りにはぱんだ喫茶店も気に入ったのかかなりよく来店する。
一年前まで不登校だった子が意思を固めて動き出したら突き進むんだな。
こんなに急に夢に向かってとてもアクティブに動き回れるとは。
若いってうらやましい。
私の若い頃、こんな情熱的になれることなんてあったかなあ…?
家に帰ってもパートの疲れでソファーに寝込んでボーッとしてしまっていた。
「母ちゃん…オイ!聞いてんのかよ、ババア!」
長男の淳司の声がふと耳に入り、
「ハア?誰がババアだコラ!!」
と鬼の形相で振り返る。
すると長男の手に
今、巷で大人気の「ウサきゃわ」というたれ耳ウサギのキャラクターのキーホルダーがぶら下がっていた。
「…コレ。ダチにもらったけど可愛すぎるから母ちゃんにやるわ。」
「え?えー!?
コレ大人気でグッズも入手が難しいんじゃないっけ…ありがとう。お友達ラッキーだね!」
「…おう。」
そのまま、変なしかめ面したまま淳司は自分の部屋に行ってしまった。
…何か相変わらずよくわかんない子だけど??
悪い子には育ってない、と思う。
これ、本当にもらったのかな。
いや、でも自分で買うようなこともしないだろう…彼女でもできたか??
いや、やっぱりわからない。
…子育ては本当にどうやるのが正解、不正解なんてないから迷う、迷いまくる。
でも、きっとどれも間違いなんてないと思う。
どんな親子も毎日、一生懸命、試行錯誤しながら生きてる。
それでいいんだと思う。
私は旦那のため、長男のため次男のために毎日パートで働いて美味しいご飯作って家事育児するのが仕事!
さて、明日もぱんだ喫茶店のパートだ!
明日のまかないは何かなあ…
色々考えながら私は重い腰をあげて、
晩御飯の調理をすることにした。
4話 完
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読みやすく、面白いキャラクター達なのでそれぞれが好きです。
ストーリーもゆるいながらも色々な驚きがあり、早く続きが読みたいです!楽しみにしてます😊
コメントありがとうございます(^-^)
キャラクターを少しでも気に入っていただけたら私も嬉しいです。
続き、ぼちぼちとですが書いていこうと思いますヽ(*´^`)ノ