大海は何処

葉風 葵

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大海は何処

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「明日を願っていたはずなのに明日を見させてくれない。」
凛とした姿の彼女が椿を落とした。冬の日だった。曇天の空に似合う絶望の声。私の居場所である森の中でも彼女には明日が見えない。見えるものは昨日か、今日の椿か、それとも遥か昔の庭園か。
私も彼女の前で椿を落とした。人は腹を見せないと腹は見せてくれぬ。彼女は私に腹を見せてくれた。不謹慎だがそれが喜びである。
私も彼女も悲しみも憎しみも抱えながら許した。そうでもしなければ正気を保てない。いや、私は正気など遠に失っている。彼女は保てているかは分からない。森の中の席でしか彼女との会話はない。文通と時々の会話。それでも彼女の胃の中を知っている。私の胃の中も彼女は知っている。知って捕捉しても、お互いの井の中は知る由も無い。
不可思議な森である。囀りだけが木霊する広い森。集まるには狭く広い教室。
椿や向日葵や桜を見られる豊かな森。共存する荒んだ森。荒野の森。
「荒野に立っている、それがなんだ。」
これが私の新たな椿。彼女に文を出さなければ。囀りの森への文を出そう。
空の高さを知る私たちの胃の中を文にしたため届けよう。
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