44 / 56
第五番 〜光と風と氷の子守唄《アンジュ・ヴィーゲンリート》〜
第六楽章〜さつき色の子守唄《ニンアナンナ》
しおりを挟む黎、恋、砂歌の三人は朝早くから出かける準備を始めていた。
隣の部屋にいる男性陣はおそらく全員爆睡している。
「あれ、暁?」
「よく分からんが機嫌が悪そうだな」
城の方から険しい表情で全速力で駆け抜ける少年の姿が見えた。そして数分後
「ほーむーらー!!」
叫んだと思えば何かが落下した音。三人とも落とされたのだと察した。
「てめぇ、琥珀の電話無視してんじゃねぇ!」
暁の怒声に、普段は絶対にしない黎も含めてため息を吐いた。初心者中の初心者の火の真言使いである焔が、また自分で起きなかったのだと嫌でも分かった
そして部屋を出た恋と砂歌に睨みつけられ、焔は座禅を始めた。
「それで、いつ出かけるんだ?昼から?」
「朝から行こうと思っているのさ。朝何食べよっか」
「こんな三人がカフェに入ったらえらいことなるぞ、絶対。女子の顔面なんなんだよ」
一人無性別だけどな、という暁のツッコミは全員にスルーされてしまった。若干拗ねる暁を光紀が宥めた。
「さて、そろそろ行こうか」
「姫さん・・・」
「ん?」
「なんで露出一個もないんだ・・・こういう日だからこそ派手目にだな」
誰一人として露出しているものがいない。恋くらいは肩を出していてもいいものを、と思っている男子陣の心の中など知ったことではないとばかりの顔をする恋と砂歌
「出していてなんの得があると言うんだ」
「本当ですね」
下心丸出しの男を怪訝そうな顔で見つめる二人。
「では、行ってくる」
「お、おお」
「楽しんでこいよ、黎、姉貴、恋」
「うん。兄さんに迷惑かけちゃダメだよ?」
かけるのは主にこいつですと言わんばかりに焔を指す面々。
黎たちは琥珀がいる書斎に来た
寝顔を見るのは怪我をした手術後くらいなもので、普段の寝顔は知らない。
「新鮮だね」
寝ぼける琥珀に挨拶をして城の敷地をようやく出た。城の近くにもカフェも学校も塾もある。しばらく歩けば駅もある。黎たちが通う学校は城に近いが、琥珀と大誠が通う大学は行こうと思えば電車のみ。
「まずは朝ごはんだね」
「珈琲の香りがする。左の方からだ」
「九時だから開いてますね」
八時半から開店しているカフェだった。ちなみに、焔がバイトしている店である。
「焔のバイト先ってここよね、確か」
「わぁ、焔くんが?焔くんのこと聞いてみたいなぁ」
「しっかりやっているんだろうか」
寝坊していたりしてと思っている黎たち。しかし焔も焔でお小遣いが必要なのでしっかり働いている
「いいところだね」
「琥珀とは違う香りだ。珈琲も違うんだろう」
「珈琲の種類まで嗅ぎ分けられるんですね。バリスタみたい」
「兄さんって珈琲の香りなの?」
「うむ。フルーティーなタイプのコーヒーだ。焔はここのコーヒーの香りがする。しかし泥と汗の匂いもする」
一年にしてサッカー部エースである焔と犀は泥と汗という暁曰く、青春の香り。
「光紀は紅茶の香りがする」
「もはや貴族ね」
紅茶イコール貴族ではないが、光紀の纏う雰囲気が王子様だしというのが恋の談。
「大誠は餡子だ」
「さすが和菓子屋の息子・・・」
「大誠さんは作っていないはずなのだけどね」
子どもの頃から和菓子に触れていて、さらに和菓子を毎日のように食べるために染み付いたものだ。
「ヴェーダも汗だ汗」
「いい匂いでは・・・」
「ないない。制汗剤?の匂いもするぞ」
「シャロンさまに嫌われたくないが故の小さな努力ね」
黎は、砂歌がヴェーダによくシャワーを浴びろと言っているのを目撃する。おそらく汗と共に色々な匂いが混ざっているのだろう。どこか爽やかさを感じる学生たちとは違う。
「暁は?」
「ベッドの匂い」
「黎ちゃんがいなかったら寝てるのね」
寝すぎてベッドの匂いが染み付く。お日様のだぞと言った。しかし、「それは様々な成分を太陽の光が分解したことにより発生するもの。お日様の香りというのはある意味間違っていない」と「なんの香りでしょうね」と聞いた恋に大誠が言ったのだ。太陽の光の匂いだって言っておきなよと琥珀に突っ込まれていた。
「珈琲の匂いは好き嫌い別れそうですけど」
「あ、でも最近は砂糖の香りがする」
「砂糖って・・・」
琥珀は甘党だったことがここで発覚した。最近の読書中のおつまみが霧乃堂の金平糖であることは知らない。
「兄さんは辛いものが苦手なんだよね、確か。焔くんは大好きなんだけど一緒にラーメン屋に行った時に顔顰められたとのことさ」
「ラーメンとは?」
ラーメンなど食べたことも無い王。まず縁がないのね、と恋。黎もラーメンってなんだろうと思いながら聞いていた。
「焔くんは牛乳が好きって言ってたよ」
「犀もよ」
毎食お茶ではなく牛乳を飲んでいるのを学校で見ているため知っている。
「ヴェーダさんの好きなものは?」
「ステーキとワイン」
ヴェーダは、琥珀と大誠に酒を勧めているが、十九だからと断られ続けている。しかし最近ようやくちょっとだけだよ、と言うようになった。
「この国は十八だからな・・・ヴェーダは将来弁護士が言うからと騙されていたらしい」
「兄さんと大誠さんが飲みたくないだけだったのだね」
「琥珀さんがお酒弱いのよ。すっごく」
二杯でテーブルに伏せた。それを傍目にヴェーダは湯水のように飲み、大誠は顔を真っ赤にしながら何故か飲もうとした琥珀を宥めつつ飲んだ。暁の目撃談だ。
「琥珀は飲まない方がいいと思う・・・色んな意味で」
「弱いとか関係なくやめた方がいいよ」
少し病弱であることを最近知った黎たちなので、さらに心配になる
「黎ちゃん、激甘レモネードきたわよ」
「わあ、美味しそう。ありがとう」
店員にいつもの笑顔で言った。朝から癒された様子で戻って行った。
・・・この笑顔には誰も勝てないと思う
ほとんどの確率で癒される笑顔。
その後、その店員は美人に連続で微笑を向けられ満足げであった
「シャロンさまは、砂歌さまと黄玉さまどっちが好きでしたか?」
「・・・」
・・・かわいい
顔を真っ赤にしながらパンケーキを頬張る砂歌を、恋は微笑ましげに見つめた。ただし、実年齢どころか肉体年齢も歳上である。
「黄玉は・・・憧れだったな。届かないと思いながら沢山特訓したものだ。だから兄様だったのかな」
「じゃーあ、兄さんとヴェーダさんは?」
・・・黎ちゃん、そこ踏み込んじゃダメよ
二人の今後のモチベーションにも関わる話である。
「ヴェーダはずっと一緒にいたからとても信頼している。琥珀は一緒にいて楽しい。出かけに行った時に思った」
「へ、へぇ・・・」
「信頼している」と「たのしい」これをどう取るかと恋は悩んだ。
「ではそういう恋はどうだ?」
「は、はい?」
思わぬ不意打ちに恋が素っ頓狂な声を上げた。
「さ、さい・・・かなぁ」
「ほう」
「犀くん?いいじゃないか」
友人どころか相棒である犀に対して思いを寄せ始めていた。ただし、出会ったばかりなのでまだどんな人間なのかを知り尽くしている訳では無いため、全面的に思いを寄せているという訳では無い。
「じゃあこれからもっと好きになるのかな」
「それはどうかしら」
文武両道を絵に描いたような少女で、恋愛経験も乏しいどころか、好きな人が出来たこともほとんどない。
「光紀辺りかと思った」
「光紀も優しくていいんですけどね。焔も焔で良いですね。琥珀さんはまず釣り合いませんし、大誠さんは優しそうですけど、琥珀さんの保護者だしねぇ」
「ほ、保護者?」
「パルティータの保護者の保護者」
パルティータの兄のような存在である琥珀。その琥珀の保護者というかストッパーが大誠である。保護の範囲に暁も含まれる。
「釣り合わないかなぁ、問題ないと思うのだけど・・・」
「寧ろそう思っている子に好感を持つタイプだと思うぞ」
派手目な女性は苦手です。弁えましょう。ここは大学です。琥珀と大誠の談である。
「それにしても、焔はここ数日で一気に成長したな」
「やる気になったら急に強くなりだしたしね。昨日の勝負ビックリしたわ」
「琥珀兄さん、嬉しそうだった。わたしも嬉しかったよ」
あの剣技を意地で躱したことを誰もが称賛した。まぐれであったとしても、焔はものにする。そう確信した瞬間だった。
「だが、やる気になるのが遅い」
「前提が黎と兄貴を守るなのかしら。あいつなら有り得るわ」
「そのきっかけに気づくためのものが見つかったのだね。真言使いにとって一番大切なことだよ」
ただし、先に目覚めた四人は黎を守るから始まっている。大誠は?という疑問はあるが、保護者だからと片付けた。
「みんな大真言持ってるのかな・・・」
「焔など大真言の前にそれを発動するための詞がな」
考えられるのかという疑問がある。
「少なくとも光紀と琥珀さんはあるわね。一回も使ってないと思うけど」
「使っておいた方がいいよ。今度試してみた方がいいね、ジェード戦に向けて」
「確かにそうだな」
もはやカフェでする会話ではないと三人とも察しつつも続けた。
「剣崎家だけに二人とも剣を扱えたとは」
「確かあの二人のお父さんも使えたはずです。琥珀さんが言ってました」
「剣崎家凄い・・・」
「疲れるが理由で使わなかったとは」
「わたしが最初に拳銃を渡したから、剣は使わないと思って言わなかったって言われたよ」
「なんで決めつけちゃうかなぁ」
「絶対いるだろ」とヴェーダがグチグチ言っていたのを聞かされた砂歌は、うんざりしたような顔をした。
「好きにさせてやれよ、と暁に言われていたがな」
「焔も焔で運動のセンスはいいんだし、なんでも使えそうよね」
「真言はともかくな」
「ところでお姉ちゃんさ、この間また兄さんとお出かけしたらしいじゃないか。暁が不貞腐れてた」
「ケーキが食べたいって言ったら、ケーキバイキングに連れていってくれたのだ」
・・・ケーキバイキングねぇ
歴代の彼女といった場所なのか、それとも調べたのか、もしくは友人とノリで行ったのか
「ちなみにその時着た服がこれだ」
「水色の花柄膝丈フレアスカート・・・ホワイトのレーストップス・・・なるほど」
胸元が見えるどころかオフショルダーでもない。海に頼んで仕立ててもらった私服。美男美女が並んで歩いている場所に花でも咲きそうだなと思ってしまった恋である
「まずお昼ご飯を食べて、その後海の近くをドライブし、柔らかな潮風にあたりながら即興でデュエットし、おやつの時間にケーキバイキング、夕時にも即興でデュエットしながら、城に帰ってきた」
・・・よく即興でデュエットできたわね、琥珀さん
砂歌は、楽しかったぞと満足気に言った。ヴェーダ劣勢と恋は心の中で呟いた。
「じゃあわたしは焔くんにどこか連れて行ってもらおっかな」
「やめときなさい。焔が暁に殺されるわ。あと黎ちゃんに振り回されてる焔の未来が見える」
「すまん、わたしもだ」
四月の初めの頃はクールなタイプだと思っていた焔が、数週間経った頃には負けず嫌いの熱血快男児となってしまった。そこが学校で人気なのだが。そんな焔だが、黎にはタジタジ。手を引かれてあちこち連れて行かれ、弁当をあーんされているところを目撃。
「琥珀さんに連れて行ってもらったら?」
「兄さんにはお姉ちゃんだもん」
・・・黎ちゃんとシャロンさまだと意味が変わってくるわね
妹と出かける。好きな人と出かける。妹の好きな場所にいく。ただし保護者同伴。好きな人をおすすめの場所に連れていく。同伴者なし
「ピクニックもいいなぁ」
「完璧なやつね」
おにぎり崩れちゃったなどと言う黎ではない。料理上手である黎と砂歌がいれば何とかなるなと恋は考える。
「一昨日の焔くんのお弁当は琥珀兄さんが作ったんだって」
「冷凍でしょ・・・」
「カツサンドと、たまごサンドと、ハムチーズサンドと、レタスとトマトのサンドイッチと、ベリークリームサンドだった」
「・・・微熱の兄がねぇ」
「暁が盗んだ日だな」
「お母さんがお寝坊さんだったって」
恋は、サンドイッチを作ったから料理上手ではないため、おそらく作ってこないだろうと予想した。
「楽しみだなぁ」
「そうね。さ、そろそろ出ましょうか」
「そうだな。この後どうする?電車で遠出するか?」
車があれば浜辺にでも行ってゆったりしたり、ショッピングモールに時間に囚われず行けたりする。城があるのに若干田舎な首都。王が人混みや賑やかな場所が苦手であるため、首都が田舎。そもそも首都はとてつもなく狭い。琥珀と大誠が通う大学はギリギリ首都外にある。出かける時、首都住まいは少し不便な部分もある。不便なところを除けば暮らしやすい。
ただ、首都を出るためとはいえ電車を使ったことが一度もない砂歌。電車の人口密度と賑やかさは感覚神経がそこまで発達していない恋でも、想像するだけで吐きそうになる。
「えー、電車やだなぁ」
「じゃあタクシーで行くか?」
・・・タクシーで外に出るの?
恋はギョッとした。一体いくらになるのかと。しかし、割り勘にすれば何とかなるかと考えた。電車に乗るよりマシだろうと
結局タクシーで遠出することとなった。
カフェの会計を済ませ、「ありがとう。ごちそうさま」と笑顔で言って出た
「あ、温泉行こうよ」
「うん、いいわね。日帰りで」
「温泉か。それは癒されそうだ。負担の風呂も飽きたしな」
檜風呂にでも変えようかな、と言い出した。首都の一番外側の湖が見える旅館に行くことになった。
「卓球があるらしい」
「わたしもやるー、卓球って何?」
「黎ちゃん、ごめんだけど多分無理よ。わたしが相手になります」
「おお、それは楽しみだ」
スポーツは楽しむタイプのようだった。卓球も体力を使うがと心配になるが、砂歌はアンチを滅多打ちに出来るまで回復しているので問題ないと言った。
そこまで大きくは無いが、実は穴場な老舗旅館に来た。中でも広い部屋をとった。恋は、予約制ではないことに驚いた。
「あ、お土産。霧乃堂のひと口まんじゅうがあるよ。買って帰ろうよ」
「息子がいるのに?」
「た、食べたいなーと」
「あー、なるほど」
お出かけで旅館って聞いたら驚くだろうなと、焔たちの反応が目に浮かんだ恋である。
「ここあまり人が・・・」
「でもすごく居心地良いところですね」
「温泉行こうよ」
ニコニコご機嫌な黎を微笑ましそうに見つめる女将に藤の間という部屋に案内してもらった。とにかく広い。三人で過ごすには。この旅館は六部屋しかない。
浴衣に着替え、部屋に鍵を閉めてすぐに温泉に向かう。黎が初めて温泉にワクワクしていた
・・・普段のあれは温泉じゃないのね
ただの大風呂というのが黎と砂歌の認識だ。ほぼ貸切状態。
「この旅館知る人ぞ知る秘境スポットみたいよ」
「なるほど、落ち着く香りだ」
「湖目の前にあるよ」
露天風呂で身体を乗り出して眺めた。煩わしさなどひとつもない。一度来たら何度も来たくなる。次は焔たちと来よう
・・・琥珀さん知ってそうよねぇ
光聖国の地理を全て把握している男だ。そこにある店も知っているだろうとも思う
「湯加減もちょうどいい。このまま眠れそうだ」
「やめましょうね」
このあと、一時間以上温泉を堪能した。卓球場があることを思い出した。純和風な様式の旅館に卓球場にビリヤードにダーツもある。
「勝負しませんか?」
「ああ、受けて立とう」
先攻は恋。高速卓球が始まった。それを見ている黎は玉を追う猫のように右左と顔で追う。五メートル以上離れようとラリーが終わらない。ずっと追いかけていた黎は目が回ってきた。どれだけラリーを続けたのか。黎のお腹が鳴った
二人の集中力が切れ、苦笑を浮かべた。腕時計を見ると、十二時を回っていた
「あ!お昼ご飯もうすぐ運ばれてくるよ」
「マジで。やばっ、すぐいこう」
「そうだな。お預けということにして」
自分にはとてもできないなと黎は項垂れた。二秒後には機嫌が戻った。二人といられるのが楽しいのだ。
フワフワした雰囲気を醸し出しながら昼食を待った。
「失礼致します」
数人で来た。豪勢な昼食が並んだ。すぐそばの海で今朝取れた新鮮な刺身。野菜たっぷりの釜飯などなど。普段なら絶対食べられない料理が並び、恋の目が輝いた。
「いただきます」
新鮮な赤身を口に運ぶ。普段なら白身から食べるのだが。
「おいしい」
温泉の次は料理を堪能。贅沢な一日だ。ショッピングを想像していたのだが、まさかの旅行となった。
「もう日帰りのつもりだったが泊まるか」
「わたしも泊まりたい」
「同じく」
このあとはまた温泉に入った。砂歌の要望だ。意外にもかなり気に入った様子だった
「維持費出そうかな」
「でもこういうところを観光スポット認定すると治安が悪くなると聞きます」
「そうなんだ。景観?は残したいもんね」
「そうなのか。客が途絶えないのであれば心配ないだろう」
マイナーと女将が言っていたため心配したが、杞憂だった。
「ビーチに行けるみたいだよ」
「ここのビーチは敷地なのかしら・・・」
三人は私服に着替え湖に出た。透き通る湖。恋は、穢れない水を少し蹴った。飛沫がキラキラ輝いた。
「えい!」
「ちょっと黎ちゃん、おかえし」
「ついでにかかったじゃないか」
といいつつ、恋にかけた。普段は見られない無垢な少女の笑顔でくすくす笑う。お姉ちゃんにもえい!とかけた
遊んでいると、黎が城方面を見据えた。
「はぁ、本当にこことは違って煩わしいな」
「もう泊まろうと思ってたのに!」
「面倒ねぇ。しかも、男子陣気付いていなさそうだし」
三人ともため息を着くと、足を拭き旅館に戻った。女将にお礼をしまたきますと手を振り、呼んでいたタクシーに乗った
「あの旅館の近くの温泉街に抹茶の専門店があるんですよ」
「え?」
「抹茶あんみつが名物なんです。あまり知られていませんが」
「もう少し早く知っていたかった」
「もう任せようよ・・・あ、でもわたしがいないと」
浄化出来ないため、黎たちはどちらにせよ帰らなければならなかった。
「でも楽しかったからいいや」
満足そうな顔をした黎に励まされ、恋と砂歌も気を取り直した。
駅で降ろしてもらうと、そこから歩くことにした。悠長に
「人多い・・・」
「あそこをみたら余計ね・・・」
足が遅い黎を恋が抱き上げ、恋と砂歌は走り出した。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる