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第二章―魔法国家フォルトゥナ 『魔導師に潜む闇』
32-3.実践練習
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一通り説明を終えたところでノアが一つ手を打った。
「さーて、そんなもんかな! 案外単純でしょ」
「……そうね」
手練れの魔導師の技術だと思って身構えていた分、正直に言えば拍子抜けしている。
素直に頷くクリスティーナの考えている事を察してか、目の前の魔導師はやや意地悪く笑った。
「単純な作業だけど、感覚を掴むまでが長い。そういう訓練なんだ。諦めず地道に経験を積んでくれたまえ」
さあさあどうぞと促され、クリスティーナとリオは互いに顔を見合わせた。
そしてそれぞれが手元の石ころを眺め、徐に訓練を開始する。
エリアスとノアは腰を掛けて見学。
暢気に世間話をする二人の様子を視界の端に捉えながら、クリスティーナは目を閉じて石を強く握りしめた。
(普段魔法を使うように、魔力を集中させる……)
ノアの説明を反芻させながら握りしめた掌の中に魔法をぶつけるイメージを持つ。
僅かに体から力が抜けていくような感覚。循環する魔力の動きとやらは把握できないが、魔法を使う際いつも感じる、漠然とエネルギーが放出されている感覚が生まれた。
しかしこれではいつも通りだ。魔法を使っている時と何ら変わらない現象に過ぎない。
(もう少し鮮明に想像しなければならないのかしら。それとも魔力の消費を増やすことでわかりやすくなる……?)
魔力の流れとやらを掴むべく、今度は更に消費魔力の多い魔法を使うイメージを働かせる。
握った指先に僅かに灯るような熱。意識を深く潜り込ませれば、それが指の根元から流れてきているものだと理解する。
しかし魔力が循環しているという前提がある以上、熱の発生源は指の根元ではないはずだ。もっと体の奥まで、魔力の流れを感じなければならない。
自身の指先へ流れる熱の動きに逆らうようにその根源を意識で辿ろうとする。
その時。
パァンと乾いた破裂音と共に掌の中の石が弾けた。
驚いて目を開ける。
破裂の反動で開かれた手の中には何も残っておらず、その代わりとでも言う様にクリスティーナの周辺には細かな光がきらきらと宙に浮いている。
そしてそれがもとは自身が握っていた石の残骸であることに気付くと同時に、微細な粒子たちは空気中に溶け込むように姿を消した。
どういうことか。説明を求めようと胡坐を掻いていたノアへ視線を寄越す。
「……うん?」
しかし返ってきたのは疑問符のついた間の抜ける声。
笑顔を張り付けた彼の顔が強張っていることに、クリスティーナは気付いてしまった。
「さーて、そんなもんかな! 案外単純でしょ」
「……そうね」
手練れの魔導師の技術だと思って身構えていた分、正直に言えば拍子抜けしている。
素直に頷くクリスティーナの考えている事を察してか、目の前の魔導師はやや意地悪く笑った。
「単純な作業だけど、感覚を掴むまでが長い。そういう訓練なんだ。諦めず地道に経験を積んでくれたまえ」
さあさあどうぞと促され、クリスティーナとリオは互いに顔を見合わせた。
そしてそれぞれが手元の石ころを眺め、徐に訓練を開始する。
エリアスとノアは腰を掛けて見学。
暢気に世間話をする二人の様子を視界の端に捉えながら、クリスティーナは目を閉じて石を強く握りしめた。
(普段魔法を使うように、魔力を集中させる……)
ノアの説明を反芻させながら握りしめた掌の中に魔法をぶつけるイメージを持つ。
僅かに体から力が抜けていくような感覚。循環する魔力の動きとやらは把握できないが、魔法を使う際いつも感じる、漠然とエネルギーが放出されている感覚が生まれた。
しかしこれではいつも通りだ。魔法を使っている時と何ら変わらない現象に過ぎない。
(もう少し鮮明に想像しなければならないのかしら。それとも魔力の消費を増やすことでわかりやすくなる……?)
魔力の流れとやらを掴むべく、今度は更に消費魔力の多い魔法を使うイメージを働かせる。
握った指先に僅かに灯るような熱。意識を深く潜り込ませれば、それが指の根元から流れてきているものだと理解する。
しかし魔力が循環しているという前提がある以上、熱の発生源は指の根元ではないはずだ。もっと体の奥まで、魔力の流れを感じなければならない。
自身の指先へ流れる熱の動きに逆らうようにその根源を意識で辿ろうとする。
その時。
パァンと乾いた破裂音と共に掌の中の石が弾けた。
驚いて目を開ける。
破裂の反動で開かれた手の中には何も残っておらず、その代わりとでも言う様にクリスティーナの周辺には細かな光がきらきらと宙に浮いている。
そしてそれがもとは自身が握っていた石の残骸であることに気付くと同時に、微細な粒子たちは空気中に溶け込むように姿を消した。
どういうことか。説明を求めようと胡坐を掻いていたノアへ視線を寄越す。
「……うん?」
しかし返ってきたのは疑問符のついた間の抜ける声。
笑顔を張り付けた彼の顔が強張っていることに、クリスティーナは気付いてしまった。
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