目指せへいおんライフ!……波乱万丈なんて望んでない!!

おいしいクルミ

文字の大きさ
2 / 64
プロローグ

プロローグ2

しおりを挟む
顔を上げた老人はやっと口を開いた。




「私は創造神、ファラウザー。この度はすまなかった。」




「え、あ、えっと、はぁ……?」




この老人は”そうぞうしん”だという。”しん”とは”神”だろうか?




・・・・・・ありえない。




急に言われて信じろと!?

私が今まで読んできた本には確かにそういう記述はある。

けれどもそれは宗教などの関係。実在するなんて……




そこまで考えてふと思う。

これは夢か?夢だとしたら覚めたら終わり。

本当だったとしても神様かどうかは定かではないし、今の状況からしてこの人から話を聞かないことには何も進まない。




今は”しん”の字がどうだとか考えてもらちが明かない!




「私は荒川英理菜です。これはどういう状況なのですか?」



私の自己紹介に老人、あー…神様(?)は目をしぱしぱと瞬いた。なぜだ?変なこと言ったか、私。



「どうしてそこまで落ち着いていられる……私の誤作動のせいで英理菜殿はなくなったのだぞ?」



そりゃあわててますよ、神様だっていうんだから。そんなことよりも、



「誤作動、とは?」


「大きな光に打たれたのを覚えていないか?」


「あー、確かに私雷に打たれました。」

「その、なんだ、えー、…その光、私が放ったものなんだ。”雷”ではなく魔力の塊なんだが、そのな、新しいギフトをつくろうとしていたんだが、熱中していて3年くらい寝てなくてな、眠くなってきてしまってうとうとしてしまったんだ…。そうしたらそれまで凝縮して容器に入れていた魔力が暴走してしまってな。下野世界に落ちて行ってしまったんだ。」




居眠り魔法か。居眠り〇〇って危険だからね。私の両親も居眠り運転の飛行機でだったし……。




あ、魔力とか3年徹夜(?)とかにつっこまないのかって?




神様いるんだ!もう何でもアリだよね!




「そうだったんですね。事情は分かりました。この後どうなるのでしょうか?」




「話が早くて助かる。英理菜殿には3つの選択肢があるのだ。1つめは、輪廻転生に基づいて生まれ変わること。2つめはその記憶を持ったまま別世界にて生まれ変わること。3つめは、ここ、天界で働くこと。生まれ変わることについては残念ながらもといた地球では行えない。申し訳ないが、それは決まりなのだ…」




天界で働く、というのはどういう感じなのだろうか。おもしろいのだろうか。仕事につく前に死んでしまったから気になる。けれど、




「2つ目の記憶をそのまま別世界に行ける、というものがいいです。」




別世界には私の知らないものがたくさんあるに違いない。仕事だってそこの世界に行って大人になったらできるだろう。今までの記憶をそのままに、というのはとてもおいしい。これまでのことが無駄になることはない。




「わかった。別世界に行くにあたって、何か欲しいもの、かなえてほしい願いはあるか?」




「そうですね…、”普通に、楽しく、面白く”過ごせるようにしてください!」




私にとっては前の世界はあまり面白いものではなかったように思う。それに、何よりも私は普通が欲しかった。天才だなんて騒がれて楽しいことが何もできなくなるのはもう嫌だ!




「たしかにかなえよう」




そうして私の体は死んだときの雷、もとい、魔力の塊よりもまぶしくて大きい光に包まれた。




遠のく意識の中で神様の「これで大神様に怒られないはずじゃ。下神落ちはないはずじゃ……」という情けない声が聴こえたのは気のせいだろうか?









この時、私はこの神様が上司からの首宣告回避のために力みすぎて、そして神様と人間の価値観の違いで、神様の与えた力が予想を大きく上回る力となっていることを知らずにただ”普通”な生活を送れることを夢見ていた










しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

処理中です...