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第1部
8:生まれ変わりの生まれ変わり
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馬車に揺られること2時間半。
窓からの景色から建物が減っていき、木が増えていった。
今まで見たことのない景色にわくわくする。思わず窓から身を乗り出していた。顔に風があたって、あれ?、と思う。
私ってこんなに子供っぽかったっけ?精神年齢24+6歳だよね?……え、もう31!
(体に精神が引っ張られて、今はその年の人間と同じようになっている。まだ若いぞ?)
え!そうなの!?
初めて知る衝撃的な事実に驚きながら乗り出した身を定位置に戻す。
おかーさまの言っていた崖にもうすぐさしかかる。
崖沿いに進むのは少し足がすくむ。高さもそれなりにある。
下を見ないように馬車の中で身を縮める。普段家族で乗る馬車は、一人で乗るとさみしく思えた。
そのときだった。
大きな振動があったかと思うと、次の瞬間には視界が反転していた。
「ん゛ーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」
声にならない叫び。
崖から落ちる時に最後に見たものは、よく見知ったものの顔だった、
xxxxxxxxxx
……
目を開けると、体にひどい痛みが走る。
回復魔法をかけ、動けるようになるとひどい状況だった。
乗っていた馬車はぐちゃぐちゃに壊れ、馬はいなくなっていた。逃げたのだろうか?
私は、治療魔法で体の傷はなくなったものの、服はところどころ破れてしまっている。
この後どうしよう。
落ちる時に見た顔、あれは兄、ローベルだった。
兄が私の洗礼式の後から、たまに暗く怖い笑顔を浮かべていたのは知っている。まさか、こんな風になるとは。
兄のあの表情の原因は私だったのか…。
きっと兄は、私はもう死んでいると思っている。兄は馬車ごと風魔法で吹き飛ばしたのだ。
そういえば、御者さんはどうしたのだろうか。私の周りにはいない。
一緒に落ちたら無事では済まないだろう。兄の仲間だったのか?
落とす時に、御者台と切り離したのかもしれない。それならば馬がいないことにも納得がいく。
家には帰れない。家に帰れば、兄はまた隙を狙ってくるだろう。
かーさまやとーさまは、私の証言だけで兄を処罰することはできない。
私も兄も同じくらいかわいがられてると思う。
だから、私の言うことだけが信じてもらえるわけじゃない。
でも……。
この後どうやって生きていく?
所詮6歳の子供。魔法がうまく使えても、体力は多いわけではないし、仕事ができるわけでもない。
――――――あれは、人??
崖から落ちたところは森になっている。
木の陰になっていて見えていなかったが50メートルくらい先で、人が動物と戦っている。人の方が押され気味だ。
よく見ると倒れている人もいた。
私の魔法なら役に立てるかも!
そう思うといてもたってもいられなくなり、今後のことはひとまず置いておくことにして、近づいて行った。
「ファイヤーボール!」
動物……にしては奇妙なオーラを放つ奴の後ろに回り込むと、火魔法を打ち込む。
初級魔法だったが、魔力を少し多めに込めたことで、一撃で気絶させることに成功した。
戦っていた人たちは疲労が濃く浮かんでいたが、急に倒れた敵に驚いて、動きが止まっていた。
「……。えっと?討伐成功?」
「よくわからないけど助かった……。」
倒れている人が2人、ケガをしている人が3人。
治療魔法をかけてあげよう。あ、でもなんて説明すればいいんだろう。どうしてこんなところに?、って聞かれて、殺されかけまして、実の兄に、とか言えないよね??
うーん……。
でも、ケガを治してあげたい。なるようになれ、だね!
「あのっ……!」
「あなたが倒してくれたの!?」
「ありがとう、ほんとにありがとう!」
すごく感謝された。ちょっとうれしい。
一発魔法出しただけなんだけどね。
「エリアエクストラヒール!」
うん、全員回復!
「「「「「……何者!?」」」」」
え??なんか、怖いんですけど?
思わず一歩下がってしまってもしょうがないよ。
自分より10歳くらい年上の人がいきぴったりに鋭い視線を向けてきたんだよ?
「あ、ごめんね。怖がらせるつもりじゃなかったんだけど、今の魔法がすごすぎて」
「うん、すごかった!エクストラヒールって上級魔法だし、範囲指定だったし…。」
「えっと、大丈夫でしたか?」
「おかげさまで最初より元気だよー。あ、私ミカ!」
「あ、名前言ってなかったね。わたしは、サラだよ!」
「俺は、ソラ」
「僕は、ネラ」
「カイン。」
「私は、エレナ・ディベ…、私はエレナです!」
私は、ただのエレナ。生きていくために、生まれ変わったんだ。
窓からの景色から建物が減っていき、木が増えていった。
今まで見たことのない景色にわくわくする。思わず窓から身を乗り出していた。顔に風があたって、あれ?、と思う。
私ってこんなに子供っぽかったっけ?精神年齢24+6歳だよね?……え、もう31!
(体に精神が引っ張られて、今はその年の人間と同じようになっている。まだ若いぞ?)
え!そうなの!?
初めて知る衝撃的な事実に驚きながら乗り出した身を定位置に戻す。
おかーさまの言っていた崖にもうすぐさしかかる。
崖沿いに進むのは少し足がすくむ。高さもそれなりにある。
下を見ないように馬車の中で身を縮める。普段家族で乗る馬車は、一人で乗るとさみしく思えた。
そのときだった。
大きな振動があったかと思うと、次の瞬間には視界が反転していた。
「ん゛ーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」
声にならない叫び。
崖から落ちる時に最後に見たものは、よく見知ったものの顔だった、
xxxxxxxxxx
……
目を開けると、体にひどい痛みが走る。
回復魔法をかけ、動けるようになるとひどい状況だった。
乗っていた馬車はぐちゃぐちゃに壊れ、馬はいなくなっていた。逃げたのだろうか?
私は、治療魔法で体の傷はなくなったものの、服はところどころ破れてしまっている。
この後どうしよう。
落ちる時に見た顔、あれは兄、ローベルだった。
兄が私の洗礼式の後から、たまに暗く怖い笑顔を浮かべていたのは知っている。まさか、こんな風になるとは。
兄のあの表情の原因は私だったのか…。
きっと兄は、私はもう死んでいると思っている。兄は馬車ごと風魔法で吹き飛ばしたのだ。
そういえば、御者さんはどうしたのだろうか。私の周りにはいない。
一緒に落ちたら無事では済まないだろう。兄の仲間だったのか?
落とす時に、御者台と切り離したのかもしれない。それならば馬がいないことにも納得がいく。
家には帰れない。家に帰れば、兄はまた隙を狙ってくるだろう。
かーさまやとーさまは、私の証言だけで兄を処罰することはできない。
私も兄も同じくらいかわいがられてると思う。
だから、私の言うことだけが信じてもらえるわけじゃない。
でも……。
この後どうやって生きていく?
所詮6歳の子供。魔法がうまく使えても、体力は多いわけではないし、仕事ができるわけでもない。
――――――あれは、人??
崖から落ちたところは森になっている。
木の陰になっていて見えていなかったが50メートルくらい先で、人が動物と戦っている。人の方が押され気味だ。
よく見ると倒れている人もいた。
私の魔法なら役に立てるかも!
そう思うといてもたってもいられなくなり、今後のことはひとまず置いておくことにして、近づいて行った。
「ファイヤーボール!」
動物……にしては奇妙なオーラを放つ奴の後ろに回り込むと、火魔法を打ち込む。
初級魔法だったが、魔力を少し多めに込めたことで、一撃で気絶させることに成功した。
戦っていた人たちは疲労が濃く浮かんでいたが、急に倒れた敵に驚いて、動きが止まっていた。
「……。えっと?討伐成功?」
「よくわからないけど助かった……。」
倒れている人が2人、ケガをしている人が3人。
治療魔法をかけてあげよう。あ、でもなんて説明すればいいんだろう。どうしてこんなところに?、って聞かれて、殺されかけまして、実の兄に、とか言えないよね??
うーん……。
でも、ケガを治してあげたい。なるようになれ、だね!
「あのっ……!」
「あなたが倒してくれたの!?」
「ありがとう、ほんとにありがとう!」
すごく感謝された。ちょっとうれしい。
一発魔法出しただけなんだけどね。
「エリアエクストラヒール!」
うん、全員回復!
「「「「「……何者!?」」」」」
え??なんか、怖いんですけど?
思わず一歩下がってしまってもしょうがないよ。
自分より10歳くらい年上の人がいきぴったりに鋭い視線を向けてきたんだよ?
「あ、ごめんね。怖がらせるつもりじゃなかったんだけど、今の魔法がすごすぎて」
「うん、すごかった!エクストラヒールって上級魔法だし、範囲指定だったし…。」
「えっと、大丈夫でしたか?」
「おかげさまで最初より元気だよー。あ、私ミカ!」
「あ、名前言ってなかったね。わたしは、サラだよ!」
「俺は、ソラ」
「僕は、ネラ」
「カイン。」
「私は、エレナ・ディベ…、私はエレナです!」
私は、ただのエレナ。生きていくために、生まれ変わったんだ。
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