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チュート殿下 3 目覚めてみれば……チュート殿下?
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あ~ん…でお粥(米じゃなくて麦?)を食べさせられた後、侍医による診察を受け、にっが~い何かを飲まされ、丸っと裸にむかれたら、身体中を拭きあげられてピラピラのワンピースのようなものを着せられた、何故かノーパンで……。
『俺』にははじめっから最後まで、とても耐えられないことのオンパレードだったので、現実逃避、なされるがまま…それはそのまま普段の『僕』だったようで、問題なく現在に至る。
飛ばしていた意識が戻ってきて、改めて色々と世話を焼く専属侍従と侍従長を見る。
これは『僕』の記憶。顔と役職の認識はしているのに、名前の記憶がない。
そして、ここからは『俺』の記憶。【設定資料集】の後ろの方、彩色の省かれた白黒の簡単な絵と共に紹介されていた名前と経歴と簡単な性格。
(あぁ~ここはやっぱり…)
今の俺なら10人転がっても余るベッドの真ん中で頭を抱える。
そんな俺の行動に慌てて若い方、専属侍従の…そう確かヘイル…リフル・ヘイルが飛んできた。
「殿下!まさか頭にご不快が?…あのヤブめどこにも異常がないなどと診察しやがって…」
……ん?なんだか言葉の終りの方随分と崩れていたような……
飛んでくるなり、額を触ったり、頬を触ったり、頭部は無論のこと全く関係ない身体中を撫でまわす。
スキンシップが多すぎないか?俺のみけんのしわに気が付いたのか付かないのか、見かねた侍従長マーシュ・スリートが止めるまで、撫でまわしが終わることはなかった。
【リフル・ヘイル 王太子専属侍従 8歳年上 王子2歳から側付きに 茶髪茶目 ヤンデレ】
彼に身体を触られている最中、ピコ~ンという電子音と共に音声が流れた、俺の頭の中だけに……。
そして、リフルの魔の手?から救い出されるときに、抱えあげられたマーシュの腕の中で、
【マーシュ・スリート 王太子侍従長 20歳年上 王の元専属侍従 黒髪濃茶目 王の忠臣】
と、先程と同じ様に音声が聞えた。
この音声は何?
『俺』の前世の記憶の一部?
それとも『僕』の魔法の一種?
そもそもこの世界は何?
『俺』がしていた【ゲーム】。それによく似た…イヤ、そっくりな登場人物が存在しているこの世界は……。
ゲームの中のキャラクターの一人である『僕』の子供時代の役をやっている『俺』の夢なのか?
夢でなければ、この頃流行りのラノベでよく見る、『ゲームの世界に転生しちゃった⁈』それも乙女ゲームの攻略対象に!ってやつか?
「……」
一言も口を開くことなく、ただ宙を見つめたまま思索にふけっている俺を、心配そうな面持ちで懸命に介助しようとしている二人の侍従を見ると、ただの夢とは到底思えず、さりとて自分を攻略キャラのそれもあの……チュート殿下であると認めることは……。
「ぐぬぬぬぬー……」
俺は優しく掛けられた、これでもかってほど肌触りの良い掛け布団に、思わずガブリっと歯を立ててしまった。
奇声と共に行われた王子と思えない奇行に、流石の侍従長も慌てて、先程異常なしと言って下がった、ヨボヨボ侍医を呼び戻しに走ったほどだ。
侍従長が居なくなり、一人になったリフルがどうしたらいいのかオロオロとする様子を眺めながら、この信じられない現実を何とか受け入れないと、と、視線の先天蓋の鏡に映った、金髪でよく見ると碧眼だった男の子と目を合わせた。
(15歳からの君の姿を、これでもかってほど見させられたよ)
そう、無理やり姉貴にやらされていた、所謂乙女ゲーム『ドキドキ☆恋の王立学園♡貴公子達と愛のエチュード』略して『ドキ恋』エチュード。
俺には、全くサッパリ1ミリもわからなかったが、やたら世間の乙女ゲームユーザーにウケ、それまで全く乙女ゲームに興味のなかった人種も掘り起こし、これまでのゲームソフト販売数を大きく更新し、続編・続々編の三部作と、それぞれ、全年齢対象、18禁、BL、と様々に展開され、二次創作も盛り上がり、アニメ版もできようかという勢いの、まさにモンスター乙女ゲームだった。
ブーム真っ盛りだった頃の俺は普通の男子高校生だったので、ドキ恋に全く興味はなかったのだが、一歳上の姉鬼がどっぷりハマって……
「私が浪人生になってもいいと思うの。兄上様とクリフ様のスチルをゲットしなければならないのよ!そのために下僕、全ルートクリアしなさい。命令よ!」
の脅しのもと、繰り返しゲームを体験させられ、漏れがないか確かめるため設定資料集はもとよりYou〇ubeの実況play、果ては創作小説まで読み込まされて、なりたくなかったけど俺はドキ恋のエキスパートだぜ……。
そんな俺が、そんな俺だから?よりにもよって第1作目エチュードのたった一人の攻略対象、アミュレット王国第一王子で王太子アースクエイク、通称チュート(リアル)殿下に……転生⁈
『俺』にははじめっから最後まで、とても耐えられないことのオンパレードだったので、現実逃避、なされるがまま…それはそのまま普段の『僕』だったようで、問題なく現在に至る。
飛ばしていた意識が戻ってきて、改めて色々と世話を焼く専属侍従と侍従長を見る。
これは『僕』の記憶。顔と役職の認識はしているのに、名前の記憶がない。
そして、ここからは『俺』の記憶。【設定資料集】の後ろの方、彩色の省かれた白黒の簡単な絵と共に紹介されていた名前と経歴と簡単な性格。
(あぁ~ここはやっぱり…)
今の俺なら10人転がっても余るベッドの真ん中で頭を抱える。
そんな俺の行動に慌てて若い方、専属侍従の…そう確かヘイル…リフル・ヘイルが飛んできた。
「殿下!まさか頭にご不快が?…あのヤブめどこにも異常がないなどと診察しやがって…」
……ん?なんだか言葉の終りの方随分と崩れていたような……
飛んでくるなり、額を触ったり、頬を触ったり、頭部は無論のこと全く関係ない身体中を撫でまわす。
スキンシップが多すぎないか?俺のみけんのしわに気が付いたのか付かないのか、見かねた侍従長マーシュ・スリートが止めるまで、撫でまわしが終わることはなかった。
【リフル・ヘイル 王太子専属侍従 8歳年上 王子2歳から側付きに 茶髪茶目 ヤンデレ】
彼に身体を触られている最中、ピコ~ンという電子音と共に音声が流れた、俺の頭の中だけに……。
そして、リフルの魔の手?から救い出されるときに、抱えあげられたマーシュの腕の中で、
【マーシュ・スリート 王太子侍従長 20歳年上 王の元専属侍従 黒髪濃茶目 王の忠臣】
と、先程と同じ様に音声が聞えた。
この音声は何?
『俺』の前世の記憶の一部?
それとも『僕』の魔法の一種?
そもそもこの世界は何?
『俺』がしていた【ゲーム】。それによく似た…イヤ、そっくりな登場人物が存在しているこの世界は……。
ゲームの中のキャラクターの一人である『僕』の子供時代の役をやっている『俺』の夢なのか?
夢でなければ、この頃流行りのラノベでよく見る、『ゲームの世界に転生しちゃった⁈』それも乙女ゲームの攻略対象に!ってやつか?
「……」
一言も口を開くことなく、ただ宙を見つめたまま思索にふけっている俺を、心配そうな面持ちで懸命に介助しようとしている二人の侍従を見ると、ただの夢とは到底思えず、さりとて自分を攻略キャラのそれもあの……チュート殿下であると認めることは……。
「ぐぬぬぬぬー……」
俺は優しく掛けられた、これでもかってほど肌触りの良い掛け布団に、思わずガブリっと歯を立ててしまった。
奇声と共に行われた王子と思えない奇行に、流石の侍従長も慌てて、先程異常なしと言って下がった、ヨボヨボ侍医を呼び戻しに走ったほどだ。
侍従長が居なくなり、一人になったリフルがどうしたらいいのかオロオロとする様子を眺めながら、この信じられない現実を何とか受け入れないと、と、視線の先天蓋の鏡に映った、金髪でよく見ると碧眼だった男の子と目を合わせた。
(15歳からの君の姿を、これでもかってほど見させられたよ)
そう、無理やり姉貴にやらされていた、所謂乙女ゲーム『ドキドキ☆恋の王立学園♡貴公子達と愛のエチュード』略して『ドキ恋』エチュード。
俺には、全くサッパリ1ミリもわからなかったが、やたら世間の乙女ゲームユーザーにウケ、それまで全く乙女ゲームに興味のなかった人種も掘り起こし、これまでのゲームソフト販売数を大きく更新し、続編・続々編の三部作と、それぞれ、全年齢対象、18禁、BL、と様々に展開され、二次創作も盛り上がり、アニメ版もできようかという勢いの、まさにモンスター乙女ゲームだった。
ブーム真っ盛りだった頃の俺は普通の男子高校生だったので、ドキ恋に全く興味はなかったのだが、一歳上の姉鬼がどっぷりハマって……
「私が浪人生になってもいいと思うの。兄上様とクリフ様のスチルをゲットしなければならないのよ!そのために下僕、全ルートクリアしなさい。命令よ!」
の脅しのもと、繰り返しゲームを体験させられ、漏れがないか確かめるため設定資料集はもとよりYou〇ubeの実況play、果ては創作小説まで読み込まされて、なりたくなかったけど俺はドキ恋のエキスパートだぜ……。
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