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チュート殿下 26 本当は王子は2人いた?
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天中に太陽が昇ってからしばらくしてマーシュが帰ってきた。
直接俺のところに帰ってくるのではなく、マーシュの執務室に入っていくのが魔力の動きでわかった。
結界が掛かっているこの離宮にも、城内のざわめきが伝わってくるほど、今城の中は大騒ぎなのだろう。
まことしやかな噂が現実であったことが判明したのだ。
直接的に関係している者は勿論のこと、この国に暮らしている者ならば誰しもが関係者になり得る案件。
『次の王が誰になるか』ということなのだから……。
表向き伯爵令息が、王の子供であることがハッキリと分かった瞬間、本人含めどう感じたのだろう?
「王は喜ぶかな……」
ゲームの中の説明では、ヴォーテックスが異母兄としか表現されていなかったため、その母親が誰か、俺は知らない。ウインド伯爵令嬢だったのかそうでないのかも。
しかし、彼の年齢からして、学園時代に生まれた子供なのだから、きっと好きな人との間にできた子供なのだろう、俺とは違って……。
「王妃は勿論喜ばないだろうけど……」
このネグレクト状態から見ても、俺の立場を慮ってっというよりも、自分の立場が穢されることに怒りを感じている、というところだろうか。その怒りの矛先が、出来損ないと思われている俺の方に向かないことを祈るのみだな。
「ヴォーテックスはどうかな、大喜びってタイプではないことを祈るか……」
ここで、俺王太子になるぜヒャッホーっていう感じだったら、こっちが精霊契約で、彼よりものすっごく上位の光の精霊と契約した事がわかったら、速攻命狙われそうだしな。
ゲームではそんな感じではなかったけど、俺がこれだし……何も言えないな。
ただわかるのは、これまで以上に俺の周りにいる俺を大切に思ってくれている人は、神経を尖らせて、俺の世話をしなければならなくなったということだ。
きっと今まで以上に俺に死んでほしと思っている人の数は増えたことだろう。
取りあえずの命の期限は、二年後の俺の精霊契約の儀式まで。
俺が光の精霊と契約する事は確かなのだから、王妃様が不倫してない限り。
だから、その契約した精霊の核の高さで、俺のことを判断するだろうから、それまでは生かしておくだろうねストックとして。
でも……、中には俺の核云々でなく、俺に居なくなってほしいと思っている者もいるだろう、例の暗殺未遂の奴らとか、今回のことで利益を得る立場になったものとかも。
「ウインド家も武よりだったっけ……」
朝から読んでいたふりの本のページをペラペラめくりながら、思索に耽る。
まぁ、考えても仕方がないものだとわかっているが、こちとら命が掛かっている。
俺も生まれたばかりで死にたくないし、俺の周りにいる誰一人死んでほしくないのだから……。
「情報は必要だよね」
俺が死んだら『ドキ恋』は始まらないのだから、『ハイ!一番大きいフラグ折ってやったぜ‼』ってことになるかもしれないが、それはこっちがお断り‼
神の力に抗うつもりガンガンだけど、一番ブチ折りたいのは、【死亡フラグ】だから、あの暗殺(未遂)は俺の意識が戻る前に喰らっちゃったけど、これからは一切喰らうつもりはありません!
「この閉じられた離宮の中でどのようにして情報を得るか」
有能なマーシュが、このまま手をこまねいて観ていることはないと思うが、如何せん駒がないだろう。
彼の身分はそう高くなく、ミソッカス王子の侍従長でしかないのだから。
「目立つことは論外。でも、生き残るために手段を選べるほど選択肢もないな」
この国では、とにかく精霊契約の年齢になるまで子供が表立って働いたりすることはないのだ、貴族では特に。
それとこの外見。この世界では色がすべてだから、このままの色ではどこにも行けない。
だから、その二つを逆手に取れば、俺自身で必要な情報を得ることも容易くなるかもしれないのだ。
つまり……。
直接俺のところに帰ってくるのではなく、マーシュの執務室に入っていくのが魔力の動きでわかった。
結界が掛かっているこの離宮にも、城内のざわめきが伝わってくるほど、今城の中は大騒ぎなのだろう。
まことしやかな噂が現実であったことが判明したのだ。
直接的に関係している者は勿論のこと、この国に暮らしている者ならば誰しもが関係者になり得る案件。
『次の王が誰になるか』ということなのだから……。
表向き伯爵令息が、王の子供であることがハッキリと分かった瞬間、本人含めどう感じたのだろう?
「王は喜ぶかな……」
ゲームの中の説明では、ヴォーテックスが異母兄としか表現されていなかったため、その母親が誰か、俺は知らない。ウインド伯爵令嬢だったのかそうでないのかも。
しかし、彼の年齢からして、学園時代に生まれた子供なのだから、きっと好きな人との間にできた子供なのだろう、俺とは違って……。
「王妃は勿論喜ばないだろうけど……」
このネグレクト状態から見ても、俺の立場を慮ってっというよりも、自分の立場が穢されることに怒りを感じている、というところだろうか。その怒りの矛先が、出来損ないと思われている俺の方に向かないことを祈るのみだな。
「ヴォーテックスはどうかな、大喜びってタイプではないことを祈るか……」
ここで、俺王太子になるぜヒャッホーっていう感じだったら、こっちが精霊契約で、彼よりものすっごく上位の光の精霊と契約した事がわかったら、速攻命狙われそうだしな。
ゲームではそんな感じではなかったけど、俺がこれだし……何も言えないな。
ただわかるのは、これまで以上に俺の周りにいる俺を大切に思ってくれている人は、神経を尖らせて、俺の世話をしなければならなくなったということだ。
きっと今まで以上に俺に死んでほしと思っている人の数は増えたことだろう。
取りあえずの命の期限は、二年後の俺の精霊契約の儀式まで。
俺が光の精霊と契約する事は確かなのだから、王妃様が不倫してない限り。
だから、その契約した精霊の核の高さで、俺のことを判断するだろうから、それまでは生かしておくだろうねストックとして。
でも……、中には俺の核云々でなく、俺に居なくなってほしいと思っている者もいるだろう、例の暗殺未遂の奴らとか、今回のことで利益を得る立場になったものとかも。
「ウインド家も武よりだったっけ……」
朝から読んでいたふりの本のページをペラペラめくりながら、思索に耽る。
まぁ、考えても仕方がないものだとわかっているが、こちとら命が掛かっている。
俺も生まれたばかりで死にたくないし、俺の周りにいる誰一人死んでほしくないのだから……。
「情報は必要だよね」
俺が死んだら『ドキ恋』は始まらないのだから、『ハイ!一番大きいフラグ折ってやったぜ‼』ってことになるかもしれないが、それはこっちがお断り‼
神の力に抗うつもりガンガンだけど、一番ブチ折りたいのは、【死亡フラグ】だから、あの暗殺(未遂)は俺の意識が戻る前に喰らっちゃったけど、これからは一切喰らうつもりはありません!
「この閉じられた離宮の中でどのようにして情報を得るか」
有能なマーシュが、このまま手をこまねいて観ていることはないと思うが、如何せん駒がないだろう。
彼の身分はそう高くなく、ミソッカス王子の侍従長でしかないのだから。
「目立つことは論外。でも、生き残るために手段を選べるほど選択肢もないな」
この国では、とにかく精霊契約の年齢になるまで子供が表立って働いたりすることはないのだ、貴族では特に。
それとこの外見。この世界では色がすべてだから、このままの色ではどこにも行けない。
だから、その二つを逆手に取れば、俺自身で必要な情報を得ることも容易くなるかもしれないのだ。
つまり……。
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