転生したら当て馬王子でした~絶対攻略される王太子の俺は、フラグを折って幸せになりたい~

HIROTOYUKI

文字の大きさ
44 / 196

チュート殿下 29 情報は大切!でも知ってるだけでは使えない……

しおりを挟む
 忍者になった気分だぜ。

 俺以外にも潜んでいる奴がいたりするのも面白い。

 彼らは風属性の者が多いかな。認識阻害と気配遮断の魔法を使っているみたいだ。だから、そこに実体はあるんだよね。

 彼らから時々聞こえてくる言葉や、書いている文字から取りあえずこの国の人間みたいだからほっておくけど。

 大臣達や高官達の顔も名前も知らないら、どの派閥の人間かもわからないが、何人かで集まって使用人たちを人払いをして話をしているところに出くわしたことがあった。

 彼等はやはりこれから自身の身の振り方に大きく影響を及ぼすだろう、王の子供についてどのように対処していくべきか話し合っていた。

「見たであろうあの髪のいろを」

「薄くはあったが確かに『金』が入っている」

「陛下は……そのぉ……お子様はお一人だけだと……」

「貴殿は知らなかったのか、陛下が学園時代、まぁ色々あって、今の王妃殿下の姉君と婚約破……」

「んんんッ……そのことは城の中では禁呪だぞ。とにかく疑われていた子供が、ご落胤であると知れたのだ」

「そうだ、正当性は王妃様腹で間違いないが、あれは……あぁこれも禁呪でしたな」

「母の血筋に大きな問題があるが、とにかくまともな子供が一人、弱くても王たる資格の光の精霊と契約できたのだから、これからの身の置き方を考えませんとな」

「とにかく情報が少なすぎますな、このまま伯爵家で養育されるのか、引き取られて帝王学をまなばされるのか」

「養家の力が弱すぎますな、よければ我が家がお預かりすることもやぶさかではないにだが」

「あの時、手を挙げられることがなかった貴公がですかな?それならば我が家の方が格が高い」

「何をおっしゃるのやら……我が家は、3代前に王女様が降下して……」

「それを言われるならば我が家は、5代前に時の陛下の兄君が……」

「我が家は、帝国の……」

 それまで穏やか気味に話していた紳士たちが、自身の利益になりそうな話になると,口角泡立てて喚きあっている。これでは人払いした意味ないかも。

 建設的な情報はこれ以上得ることはできなさそうなので、その場から離れた。

 その他の場所でも、様々な派閥争いが行われていることがわかる。

 ただどこの話でも決定打となるようなものは聞くことはできなかった。

 結局どこの派閥でも最後は、『もう一人の王子』の精霊契約の結果待ち。という形に納まるのだ。

 両方を天秤にかけて、今この時点で片方のみに重さをかけるには情報がない。あの伯爵家に非常に近い位置にいるものは別にして、今は中立の立場にいる方がどちらに転んでも対処ができるのだから。

 俺と異母兄?は2歳違い。

 婚約者候補の娘を用意するにして、この世界では女性の方が年が上はあまり歓迎されない。俺と同い年かそれよりも下、あまり下過ぎると候補にはならない。

 側近候補も同じこと、こちらは最低俺と同い年。あまり上すぎるとこちらもいい顔はされないだろう。

 なんてことを、考えているのか、自分の子供もこの点ではただの持ち駒。とりあえずは年齢の合う合わないで、派閥内の子供の取り合いが始まるようだ。

 俺は特に黒い話をしている者達を、鑑定及び念写スキルを使って覚えておくことにして、帰りは一瞬で離宮の庭に帰る。

 こんなことを、度々おこなって、もしかしなくてもマーシュより沢山の情報を得てしまっている俺。

 ただ、個人のつながりとかか、表側の顔とか知らないから、情報を知っていてもそれを運用することができない。

「もったいない」

 元日本人の俺としては、もったいないお化けがそこここにフヨフヨ漂っているみたいな感じがして、腰が落ち着かない感じ。

 でも、このことマーシュに知らせたら、それこそ身体だけじゃなくて心もこの離宮に監禁状態になるかもしれないし。

 きっと、俺を守るためにはどんなことでもしようとすると思うから……。

 確かに、話を聞いていて、心が沈むこともあった。ただ、『僕』であった時のことは他人事だから、端から聞いているより平気なのだけど。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...