転生したら当て馬王子でした~絶対攻略される王太子の俺は、フラグを折って幸せになりたい~

HIROTOYUKI

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チュート殿下 90 考察。やっぱりピンクは電波系⁉

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 ゲームでは、平民で在りながらも特待生でSクラス。非常に優秀であるはずの『ヒロイン』。

 ところが、ふたを開けてみれば、どうやら『ヒロイン』とみなされている人物は、一番下のクラス。

 このSクラスに該当する人物が居ないとすれば、やはり『ヒロイン』はあのクラスに居るピンク?

 ここでもゲームとの大きな相違があるが、これは安心材料なのかどうなのか……。

 『ヒロイン』が、一番下のクラスに居る原因は、もちろん成績が悪いことに他ならないが、この学園に入学できたことから考えて、とりあえず魔法は使うことができることは確かなのだろう。

 一般的にこの国においての魔法は精霊魔法であるのだが、どうなんだろう?

 もしも彼女の使っている魔法が、この国の精霊魔法なのだとすれば、彼女は何かしらの精霊と契約ができていることに成るのだが、そうするとあの彼女の色は何の精霊と契約したことになるのか?

 俺の瞳は一応青色、水属性ということになっているが、全属性が使用可能な特殊な色だ。いろいろな色に見えるらしいが、決して何かの属性が混じったような色はしていない。

 髪や瞳の色は、基本的にはこの国の人間は生まれた時の茶色から、契約した精霊の属性によって違ってくるのだが、その属性の色、金色・青色・緑色・赤色・黒色の五色が混じってなにか他の色になることは無い。色の濃淡はあるが混じったような色になることがないのだ。

 だから、ピンクはこの国の魔法使いにはいないはずだ。

 この国で特別視される金色は、髪でも瞳でも元の茶色にのせられるためか、あまりに弱い精霊との契約であると、茶色が薄くなったようにしか見えないことがあって、判断が難しいところもあるが、概ねこの国では髪と瞳の色で使える魔法の種類を判断することはそう難しくないことなのだ。

 しかし、魔法の種類やその理論が全く違う隣国では、生まれながらにカラフルな瞳や髪色が当たり前で、使う魔法から纏う色が変わるという考え方から存在しないらしい。

 また、前世の遺伝によって親の色が子供に受け継がれるようなものでもなく、外見の色から親子兄弟を判断することも難しいらしい。

 そもそも髪色や瞳の色をいじることができないとされているこの国で、ピンク色をどのように解釈すればいいのか?

 今までの常識から図ることができない色を、それでも常識の中に落とし込もうとしたときに起きることとして考えられること……。

 ピンクは赤色と白色が混ざったものだ。

 赤色は火属性の精霊から。

 白色は……すっごく薄く、弱い、光属性の精霊から。

 と、考えられはしないか?

 何とか自分たちの持てる知識の中から、魔法が使えることを考えて出すこの国の住人が出す結論は、このようなところに落ち着きはしないのか?

 『ヒロイン』が、この世界がゲームの「ドキ恋」の世界に非常によく似ている、いやそのものの世界であると感じていたら。

 そして、自分がこの世界の『ヒロイン』であると、思い込んでいたら。
 
 努力せずとも最終的にはこの国の上級貴族の誰か、もしかしたら、攻略対象者とされる全ての『イケメン』を、我がものにできると、そう考えていたら。

 現実的な努力をまるでしないで、今に至っているとしたならば、『ヒロイン』の成績が最底辺であることの説明になるかもしれない。

 特に、入園式での服装から考えられる結論が、この『ヒロイン』と目される人物は、現実のこの世界を受け入れることなく、自分の中のゲームの世界を現実であると認識し、ゲームを再現することで自分が知っている通りの結末を手に入れられると思い込んでいる、お花畑の電波系ピンクである可能性が非常に強くなったということだ。

「今すぐにでも鑑定してこようか?」

 というキールのとても魅力的な提案を拒む理由はないのだけれど、電波であったならばこちらの常識が通用しないことも十分あることで、絶対にキールの存在に気が付かれないとは言い切れないところが……。


「電波にはこの世界の頭の緩そうな女神が憑いている可能性もあるから、慎重にいかないといけない……と俺のそう冴えない勘が言っているんだよね……」

 関係を持たなくてよいならば全く関係を持ちたくない。

 しかし、そうもいかないことも俺のそう冴えない勘が言っていたりもする。

 教室の前方で繰り広げられている、偉そうな教師のオンステージももう直ぐ終わりそうな気配がしている。

 俺以外はすべてが顔見知りであるこのクラスでは流石に自己紹介は行われずに終わりそうだ。

 誰か初級学校の時の自己紹介で俺がやったことを知っている者でもいたのかな?

 もしかしたら、このクラスでの俺の扱いは、俺たちが行おうとしているお花畑に対するものと同じなのかもしれないな。

 『触らぬ神に祟りなし』
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