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チュート殿下 129 タリスマン帝国の旅 5
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しかし、ただランクを上にあげれば良いというものでも無い。
冒険者のランクが、社会的信用度も表すものとして受け止められるようになって、それは貴族の階級にも似て、どの国おいてもそれは共通認識として扱われるものとなった。
それに付随して受けられる恩恵は大きくなり、特に商店や宿に於いては、Sランクの贔屓ともなれば、どこどこ王国御用達と同じような意味も持つようになって、受ける方も与える方にも美味しいものとなっていった。
ただここで上位ランクの冒険者に負わされた義務というものも存在していることを忘れてはいけない。
まず、Cランク以上の冒険者は、非常呼集を拒否することはできない。どのような理由があろうとも必ず非常呼集を発した国、町、村。とにかくその地に居た冒険者は、近くの冒険者ギルドに出頭する義務があるのだ。
その非常呼集がたとえ自分の出身国との戦であっても拒否できない。冒険者の所在に関しては、その仕事柄ギルドに赴かず行うことは難しい性質を持っていることから、比較的簡単に把握できるのだ。
基本的には冒険者ギルドはどこの国にも所属しない事が大前提であるが、そのギルドが所在する国からの要請を断ることは難しく、過去に何度か対国同士の戦に参加させられた経緯もある。
その他にもBランク以上の冒険者は指名依頼を断ってはいけないという規則もある。もちろん全ての指名依頼を断ってはいけないということではなく、ギルドが承認した指名依頼については、余程のできない理由が無い限り拒否することができない。
この規則の面倒臭い所は、Bランクの指名依頼となると結構高額な依頼料になることから、このような依頼をするのは国(王家あたり)か上位貴族、豪商、などなかなか片手間にできるようなものでなく、面倒臭いことは最初から想像できる所だ。
だからキールは程よいところのランクまで上げて、そこでそれ以上は上げないことにした。
「Cランクが程よいランクですよ」
Cランクまでは依頼などのポイントで勝手に上がっていくものだが、Bランクに上がるためにはギルドが行う試験に合格する必要があり、本人の希望意思が無ければBランクには上がる事はないという事だ。
「確かにね、キールがその気になったらSランクどころかSSSランクだってなんとかなっちゃうかもしれないもんな。でも面倒くささで言えばCランクでも面倒くさくないの?」
「確かに、非常呼集は面倒ですけど、スタンビートとかそういうしょっちゅうあるものでもないですし、もしそのような事が起こったとしても、たくさんいる中の一人でしかないので、大丈夫でしょ」
他の国に行ったりするのであればランクがCくらいは無いと面倒臭いことが増えそうだ。という。
Cランクといえばギリ上位冒険者扱いもあるかな、くらいだが。それがキールくらい若い冒険者であればまた話は違ってきて、ギルド側からも目ざとい商人や貴族にしても、これから化けるかもしれないという超新星になりうる期待から、悪い扱いは受けない可能性が高いのだ。
冒険者として一箇所に留まるつもりがない俺たちにしてみれば、何かと腹を探られる前にその場から去るつもりであるから、それほど面倒なことにはならないという、キールの推測だ。
俺は最低他国に出国することに障害がないランクになれればよかったので、キールほど自由に動けなかったし、ギルドの登録した年齢いもギルドに登録できるギリギリの年齢だったのでまだEランクだ。
そもそもキールは登録した年齢も俺の保護者的立場になる必要もあり、成人年齢であったし、アミュレット王国ではなく、時々1人で遠征した時に、この国やもっと遠い国でちょこちょこ依頼をこなしていたそうだ。
アミュレット王国を離れて、俺としては堂々と冒険者活動をしようという意気込みもある。
キールもそれは同じで、あくまでも真理の探究が第一目的ではあるが、今ここでは冒険者であるから、それを楽しまなくでどうする、という気持ちもある。
今回は、このムウリカの町で常時討伐が出ている魔獣や害獣を討伐したとして、俺のギルドランクを上げる。
俺たちは二人でギルドパーティを組んでいる。パーティでの討伐依頼ランクは基本パーティ構成員の平均ランクということになっている。
だだし、少人数のパーティは1番下のランクに合わせてしか依頼を受けることができないため、今のままでは俺に合わせてEランクの依頼までしか受けることができない。
Eランクではほぼ討伐依頼のようなものを受けることはできないから、旅費を稼ぎながら旅をすることは実質難しい。
俺たちは別に旅費を稼ぐ必要はない訳だが、旅費も稼がない奴らが移動をしていることは奇異な事として記憶されるのも困った事なので、おかしくしないようにしなければいけない。
つまり俺のランクをできるだけ速やかにDランクへ上げる事だ。目立たずに……。
今の状態であれば、Cランクのキールが一人で依頼をこなす方が儲け的にも理に叶っているのだが、そうなるとパーティから外れたEランクの俺は城壁の外に出ることすら難しいことになりかねないらしいのだ。
キール的には記憶をいじるなどの力技でなんとかできなくもないが、行った町の人全員をとなると、それはそれで面倒なので、できるだけ正攻法で行くことにした。
力技には歪みが生まれやすいから。
冒険者のランクが、社会的信用度も表すものとして受け止められるようになって、それは貴族の階級にも似て、どの国おいてもそれは共通認識として扱われるものとなった。
それに付随して受けられる恩恵は大きくなり、特に商店や宿に於いては、Sランクの贔屓ともなれば、どこどこ王国御用達と同じような意味も持つようになって、受ける方も与える方にも美味しいものとなっていった。
ただここで上位ランクの冒険者に負わされた義務というものも存在していることを忘れてはいけない。
まず、Cランク以上の冒険者は、非常呼集を拒否することはできない。どのような理由があろうとも必ず非常呼集を発した国、町、村。とにかくその地に居た冒険者は、近くの冒険者ギルドに出頭する義務があるのだ。
その非常呼集がたとえ自分の出身国との戦であっても拒否できない。冒険者の所在に関しては、その仕事柄ギルドに赴かず行うことは難しい性質を持っていることから、比較的簡単に把握できるのだ。
基本的には冒険者ギルドはどこの国にも所属しない事が大前提であるが、そのギルドが所在する国からの要請を断ることは難しく、過去に何度か対国同士の戦に参加させられた経緯もある。
その他にもBランク以上の冒険者は指名依頼を断ってはいけないという規則もある。もちろん全ての指名依頼を断ってはいけないということではなく、ギルドが承認した指名依頼については、余程のできない理由が無い限り拒否することができない。
この規則の面倒臭い所は、Bランクの指名依頼となると結構高額な依頼料になることから、このような依頼をするのは国(王家あたり)か上位貴族、豪商、などなかなか片手間にできるようなものでなく、面倒臭いことは最初から想像できる所だ。
だからキールは程よいところのランクまで上げて、そこでそれ以上は上げないことにした。
「Cランクが程よいランクですよ」
Cランクまでは依頼などのポイントで勝手に上がっていくものだが、Bランクに上がるためにはギルドが行う試験に合格する必要があり、本人の希望意思が無ければBランクには上がる事はないという事だ。
「確かにね、キールがその気になったらSランクどころかSSSランクだってなんとかなっちゃうかもしれないもんな。でも面倒くささで言えばCランクでも面倒くさくないの?」
「確かに、非常呼集は面倒ですけど、スタンビートとかそういうしょっちゅうあるものでもないですし、もしそのような事が起こったとしても、たくさんいる中の一人でしかないので、大丈夫でしょ」
他の国に行ったりするのであればランクがCくらいは無いと面倒臭いことが増えそうだ。という。
Cランクといえばギリ上位冒険者扱いもあるかな、くらいだが。それがキールくらい若い冒険者であればまた話は違ってきて、ギルド側からも目ざとい商人や貴族にしても、これから化けるかもしれないという超新星になりうる期待から、悪い扱いは受けない可能性が高いのだ。
冒険者として一箇所に留まるつもりがない俺たちにしてみれば、何かと腹を探られる前にその場から去るつもりであるから、それほど面倒なことにはならないという、キールの推測だ。
俺は最低他国に出国することに障害がないランクになれればよかったので、キールほど自由に動けなかったし、ギルドの登録した年齢いもギルドに登録できるギリギリの年齢だったのでまだEランクだ。
そもそもキールは登録した年齢も俺の保護者的立場になる必要もあり、成人年齢であったし、アミュレット王国ではなく、時々1人で遠征した時に、この国やもっと遠い国でちょこちょこ依頼をこなしていたそうだ。
アミュレット王国を離れて、俺としては堂々と冒険者活動をしようという意気込みもある。
キールもそれは同じで、あくまでも真理の探究が第一目的ではあるが、今ここでは冒険者であるから、それを楽しまなくでどうする、という気持ちもある。
今回は、このムウリカの町で常時討伐が出ている魔獣や害獣を討伐したとして、俺のギルドランクを上げる。
俺たちは二人でギルドパーティを組んでいる。パーティでの討伐依頼ランクは基本パーティ構成員の平均ランクということになっている。
だだし、少人数のパーティは1番下のランクに合わせてしか依頼を受けることができないため、今のままでは俺に合わせてEランクの依頼までしか受けることができない。
Eランクではほぼ討伐依頼のようなものを受けることはできないから、旅費を稼ぎながら旅をすることは実質難しい。
俺たちは別に旅費を稼ぐ必要はない訳だが、旅費も稼がない奴らが移動をしていることは奇異な事として記憶されるのも困った事なので、おかしくしないようにしなければいけない。
つまり俺のランクをできるだけ速やかにDランクへ上げる事だ。目立たずに……。
今の状態であれば、Cランクのキールが一人で依頼をこなす方が儲け的にも理に叶っているのだが、そうなるとパーティから外れたEランクの俺は城壁の外に出ることすら難しいことになりかねないらしいのだ。
キール的には記憶をいじるなどの力技でなんとかできなくもないが、行った町の人全員をとなると、それはそれで面倒なので、できるだけ正攻法で行くことにした。
力技には歪みが生まれやすいから。
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