一皿の温かな牛乳

空野瑠理子

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Prologue

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 ある一匹の白猫が、激しい雪が降る中で必死に歩いていた。

 白猫の足跡が、点々とついて行く。

 顔に雪が当たっても、倒れそうになっても、短い足でしっかりと立ち、前を向いて歩く白猫。

 白猫は、信じていた。

 歩き続ければ、絶対何かが見えてくる、希望の光は必ず存在するという事を。


 歩き始めてから5時間が経過した。

 白猫は、とうとう希望の光を見つけた。

 古びた小屋を発見したのだ。

 白猫は、小屋に近づいて行く。


 ゆっくり。

 ゆっくりと。


 あともう少し! と白猫は思った瞬間、力が抜け、その場で白猫は倒れてしまった。

 白猫の体の上に、雪が降り積もる。


 もう、私は終わりなのか……。


 白猫はゆっくりと目をつぶった。
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