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第2章 「ドグロブニク攻防戦」
112話:「顔合わせ」
しおりを挟む「別に戻ってこなくても私は良かったんですがねぇー」
言葉の端々に嫌味な色を含みながらリナが数センチまで顔を近づけて
フレイヤを睨みつけながら悪態をつく。
「いやいや、お前のような小娘に我が主を任せておくには
主が不便で仕方がない故、こうして急いで戻ってきたのだ。
寧ろ感謝してほしいくらいだ」
彼女も負けじとリナに反撃するかのように言葉をぶつける。
この時二人の額は互いに密着し、目からは雷のような光線が飛び交い
バチバチと音を立てている様子が浮かんだ。 あくまでも大和が見る限りではあったが。
なぜこのような状況になっているのかというと、事の発端は10分ほど前に遡る。
フレイヤを連れてアイゼンの屋敷に戻った大和とマーリンはとりあえず他の仲間に
事情説明をするため仲間全員をパーティー会場に集め事の成り行きを話した。
リナ以外の他のメンバーは彼女がドラゴンしかも七大龍族の一柱である
【フレア・ドラゴン】だと言うことに驚愕の色を浮かべていたが、もうすでに
フレイヤを知っていたリナはまるでお邪魔虫が戻ってきたと言わんばかりの態度で
彼女に突っかかって来たのだった。
「ヤマト様はあたしの物です。 あなたのようなトカゲの親戚に渡すつもりは
ありません!」
「ほうー、この七大龍族と謳われたフレア・ドラゴンである我をトカゲ扱いとは
身の程を教えてやらねばなるまいのぉー」
よくある話で本気になった女は何をするかわからない恐ろしいものだと
ラブコメ系の小説ではよく描かれているがどうやらその表現もあながち嘘ではなかったのだと
大和はこのとき思った。
「二人ともいい加減にしろ!」
そう言いながらまるで小学生のように喧嘩する両者を小学校の先生のように
諭す形で言葉を続けた。
「まず最初にリナ、いつから俺がお前の物になったんだ?
俺はお前とそう言う関係になるつもりは毛頭ないぞ!
フレイヤと仲良くできないというならジェスタの町に帰ってもらうが構わないか?」
そう吐き捨てると今度はフレイヤに視線を向け同じように説教する。
「お前もお前だフレイヤ、俺の旅の使命は魔王討伐と前に言ったはずだ。
その旅の仲間を卑下するような行為は感心しないな。
これ以上俺の仲間と面倒事を起こすってぇなら主従の関係を解消させてもらうからな!!」
大和の目に影が差したのを敏感に察知した二人は、彼が本気で怒っていると理解し
即座に敵対を止めお互いの体を抱きながら頭を撫で始めた。
「そっそんなことないじゃないですか! 今のはちょっとしたじゃれ合いですよじゃれ合い!」
「この娘の言う通りでございます我が主、再会の喜びを互いに分かち合っていただけでございます!!」
二人の笑顔が明らかに無理くりに笑っているのだろうなとわかるほど
実に分かり易い苦笑いを浮かべながら大和の言葉に弁明する両者だったが心の声はというと。
(あなたのせいでヤマト様に叱られてしまったじゃないですか! このトカゲ女!!)
(何だと! それはこっちのセリフだ。 たかだか数十年しか生きておらぬ小娘が
生意気な口を聞きおって!!)
口は歯をむき出しにして笑ってはいるもののどうやら目で何らかの会話をしていることに
気付いた大和は彼女たちに歩み寄り二人の肩に手をポンと置くと営業スマイルで言葉を発する。
「どうやらまだ心の中で口喧嘩をしているようですねぇ~あなたたち。
どうやらこれはお仕置きが必要なようです・・・・・・」
そう言いながら肩に置いた手に徐々に力が籠っていくのを感じた両者は
背中にゾクゾクという悪寒が走るももうすでに手遅れであった。
「ばあちゃん直伝、あいあんくろおおおおおおお!!!!!!」
肩に置かれていた手が二人の顔面を鷲掴みにし、メキメキと音を立てながら
二人の体が床から離れて宙づりの状態になっていた。
「ああうあああうあうああううあうああああ!!!!」
「いいぃいいいぃぃぃいいいいぃいいいい!!!!」
あまりの痛みに声にならない声を上げながら、大和の手を振りほどこうと
両手を大和の手に持ってゆくが、彼のがっちりとホールドされた手は
生半可な力ではほどくことができず、二人とも大和が離してくれるまで
地獄の苦しみを味わうこととなてしまった。
余談だが、大和が解放したあと二人とも恍惚の表情を浮かべながら
「もっとぉ、もっとくださいぃ・・・・・・」とうわ言のように呟いていたとかいないとか。
そんな些細な(?)トラブルがありつつも大和たちが仕入れてきた食材を使い
エルノアとマチルダが料理を完成させていった。
ちなみに料理作りを担当するはずだったリナは結局フレイヤと仲良く料理が完成するまで
起き上がってくることはなかった。
こうして新たにマチルダとフレイヤという旅の仲間が加わり
6人パーティーという構成にはなってしまったが心強い味方が増えたということで
自分を納得させる大和だったが、のちにこの二人の加入によってとんでもない大事件に
巻き込まれることになるのだがそんなことを今の大和が知る由もなかったのであった。
第2部第2章 「ドグロブニク攻防戦」 完
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