オンラインゲームしてたらいつの間にやら勇者になってました(笑)

こばやん2号

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第2章:パーティーができあがるまで

45話:「旅の支度」

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リリスの不審な行動を首を傾げながら見届けた後
大和はテーブルに戻り残った朝食を平らげた。

リナとエルノアにこの後の予定を聞かれたので
本格的に旅に出る準備をするということを伝えた。

「それでさ、今回は3人で行動するのもなんだし
それぞれ役割分担を決めて別行動にしないか?」

そう言うと二人が目を見開き即座に異を唱える。

「そんなのダメに決まっているじゃないですか!
このエルノアいかなる時もヤマト様のおそばを離れません!!」


「そうですよ、せっかくデートしようと思ったのに・・・・・・」


【デート】という言葉に敏感に反応したのはエルノアだった。


「リナ様? デートとはどういうことなのでしょうか?
今聞き捨てならないお言葉が聞こえたようですが・・・・」


眉を吊り上げながら食って掛かる彼女に対し
リナもここぞとばかりに応戦する。

二人の間にゴングが打ち鳴らされた瞬間だった。


「そのままの言葉ですけど・・・・何か?」


「仮にも神殿にお仕えするお方がそのような欲にまみれた
よこしまな考えをお持ちになっていいのでしょうかね?」


「わたしはやることはしっかりとやっているつもりですが?
 それにエルノアさんだってヤマト様に対して慣れ慣れしすぎやしませんか?
 仮にも主人と仰ぐ人なら身の程をわきまえるべきじゃなくて?」


お互い一歩も引かず大和に付いていくと主張する。
そんな状況だったが大和はもう慣れているのか
二人がいがみ合っている隙に扉をそっと開け気付かれないよう町に繰り出した。

因みに彼女たちが大和がいなくなったことに気付いたのは
彼が部屋を後にして20分も経った後だった。


「はあ~、やっと一人になれた・・・・」


そう呟きながら、重荷から解放されたと言わんばかりに身体を伸ばす。
久しぶりに一人になった解放感で満たされながらジェスタの町を散策する。

相変わらず町は往来する人々で活気に満ち溢れており。
所狭しと出店が建ち並んでいる。
主に野菜や果物、あるいは生活必需品などを取り扱う出店が多く
色とりどりに陳列された品々は見ているだけ心が沸き立った。

たまに自分のことを見知っている人たちが声を掛けてきたが
それはもう大和の中では通例行事となっているため
自然な笑顔で対応できるようになっていた。

(政治家が笑顔を振りまく理由がなんとなくわかった気がする・・・・)

そして、旅に必要なものを次々と買い揃えていった。
リナとエルノアはどうせ自分を探すことに躍起やっきになると予想されたため
自分一人で旅の準備をしていくことにした。


(ったくあいつらはしょうのないやつだ・・・・)


この時大和は一人くらいまともな仲間が欲しいと思った。



ある程度買い揃えたところで
薬草などの道具を買い揃えるため大和はマーリンの店に顔を出すことにした。

店に到着すると扉に掛けられた札は【準備中】となっており
店の中を見ても彼女の姿はどこにもなかったため
ひとまず自分の家に購入したものを持ち帰ることにした。


余談だが、この時の帰り道でリナとエルノアに見つかってしまった。




大和が旅の支度に精を出していたころマーリンは自宅で荷物をまとめていた。
彼女が営む道具屋と実際に寝食をする場所は別々なので
店の営業が終わると彼女は自宅に戻ることになる。

今その自宅で旅の準備を整えていた彼女は
現在ジェスタの町に滞在している大和のもとに行き
魔王討伐の一行に参加すべく荷物をまとめていたのだ。

きっかけはもちろんエルノアとの出会いがそうさせたのは
言うまでもないことなのだが、もともと彼女も旅に参加したい意思はあった。

しかし、いつ戻れるかもわからない危険な旅に身を置くことを
ためらいながらも結局のところ残ることにしたという葛藤があったが
エルノアという宿敵が現れた今もはや彼女の中にあったためらいは消え失せていた。


(あんな女の好きにはさせないですのん・・・・)


長き時を生きてきた彼女がいつの間にか封印してきたもの
異性に対してときめく心、いわゆる恋心というものだ。

その封印が数百年ぶりに解き放たれてしまった彼女を止める者は誰もいない。

恋というのはそれだけ強力な起爆剤となりうるということだ。


荷物をまとめ終わり、身の丈よりも大きなリュックを背負いながら
いざ彼のもとへ出発しようとしたとき、ある考えに至る。


「あっ! まだ荷物は持っていかなくてもいいですのん・・・・」


大和たちがいつまでジェスタにいるかわからないが
少なくとも荷物を取りに戻る暇はあるはずだ。


マーリンはリュックを家のど真ん中に下ろすと
大和のもとに向かうべく、自宅を後にした。





一方、買い物から戻った大和は手に入れてきた物を
自分のアイテムボックスへとしまい込んでいく。


アイテムボックスはどんな大きさのものでも
どんな重さのものでもしまうことができるようにできている。
本来であれば買った時にしまうのが一番だが、人の目がある所では
やるべきではないと判断した大和は面倒だが自宅に戻って
アイテム整理をすることにしたのだ。

「不思議ですね・・・・ヤマト様一体それはどんな仕組みなのですか?」


「そこにあった物が無くなるなんて聞いたことないです・・・・」


大和がアイテム整理をしているのを見ていたリナとエルノアは
今自分の目の前で起こっている摩訶不思議な現象を見て
その現象の説明を当人である彼に求めてきたのだ。


「うーん、俺も詳しいことはわからないけど
 俺の見解としては別の次元に転送されている感じかな?
 無くなったように見えるけど、実際は別の空間に保存されてて
 必要になった時に任意で取り出すことができるみたいな?」


さらに詳しい説明をすると、大和の持つアイテムボックスに保存された物は
保存された時の状態を維持し続ける仕様になっている。

例えば、リンゴを普通の袋などに入れて保存すると時が経てば
リンゴは腐ってしまうのに対し、大和の持つアイテムボックスは
保存された時点の状態のまま時が止まり
取り出すときに再び時が進むという感じになっているようだ。


「一か月以上前にアイテムボックスに入れた食べ物が
腐らずに残ってる、って言えばわかるかな?」


その説明を聞いて大和の持つアイテムボックスの凄さにようやく理解の色を示す二人。
二人の反応に満足した大和は彼女たちも旅の支度をするように促す。


三人が旅の支度をしていると突然扉がノックされる。
その音に三人の視線が扉に集まると部屋の主が声を掛ける。

「はい、どちら様ですか?」


一呼吸あった後に鈴を転がしたような声が響き渡る。

「マっマーリンですの・・・・」


少し緊張しているのか、声が硬くなっているのが扉の向こうにいても伝わってくる。
そして、扉を開けるとそこには亜緑色あつかいろの服を身に纏った魔女が佇んでいた。

「どうしたの?」

彼女の急な訪問に戸惑ったが、知らぬ仲ではないので
訪問の理由を尋ねる。

すると言い出しづらいことなのか、少しの間躊躇したのち
意を決して彼女が大和に口を開いた。


「私をヤマトさんの旅に連れて行ってくださいですの!!」
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