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お仕事頑張るぞ編
白い粉末と野良メイド
しおりを挟む クテシアス達を助けた。
大森林に火を付けた馬鹿野郎共だが、命に別状はないものの大火傷をして近くの村に何人も運び込まれたとも聞く。全く悪い事はするもんじゃないよ。
それから一ヶ月ぐらい経った頃だろうか。
「いらっしゃいませ~」
お店に二人の女性が入店する。
初めて会った時と変わらない温和な表情のフレアと。
「シノブ様」
ホーリーだ。
★★★
お店の奥の応接室。
「クテシアス様がお亡くなりになりました」
「……そうですか……」
クテシアスと会っていた時間は短い。それでも知り合った者が死ぬのは悲しい。
「でもクテシアス様は最後に少しでも生きる時間を延ばしてくださったシノブ様に感謝されていました。本人に代わりお礼を申し上げます。ありがとうございました」
ホーリーが言い、二人は頭を下げる。
「だったら良いんだけど」
「シノブ様」
フレアが小さな小箱をテーブルの上に出す。綺麗に細工が施されたその小箱。中にはガラスの小瓶。そしてガラスの小瓶の中には真っ白い粉末。
前世で見られたら、そのまま逮捕されそうな粉だぜぇ……
「これ……もしかして……」
「はい。クテシアス様の角の粉末です。これをシノブ様に」
と、ホーリー。
「良いんですか?」
「はい」
「……ありがとうございます。それと一つ疑問があるんですが……」
「何でしょうか?」
「クテシアスさんが簡単に刺されるなんて思えないんです。フレアさんもホーリーさんもいるわけですし」
それだけが気になった。
なぜ警戒心の強いユニコーンが、そんな事になったのか?
「理由は簡単です。相手が処女であった事もありますが、その見た目が幼く見えたのです」
「……ロリコン?」
「ち、違います!!」
「……私とホーリーは幼い時、クテシアス様に拾われました」
そのフレアの言葉にホーリーが続ける。
「私達姉妹はクテシアス様に救われたのです」
それは二人が幼い頃。
何の用事だったかは覚えていない。フレアとホーリー、そして両親を乗せた馬車。その馬車が盗賊に襲われた。そして両親は殺される前に二人を逃がした。
それを保護したのがクテシアスだったのだ。その時からずっとクテシアスは二人の面倒を見ていたという。
「それからです。クテシアス様は保護者の見えない子供を見ると、すぐに飛び出してしまいます。シノブ様とキオ様の姿を見て飛び出したのもそういう事なのでしょう。心配だったのです」
「そんなに私は子供っぽく見えたかな?」
「はい。失礼ながら」
ホーリーも小さく笑った。
もうあの面白ユニコーンと話す事も出来ないのか。残念だったな……クテシアスのセクハラ顔を思い出し、俺も笑った。
「……ところで何で二人ともメイドなんですか?」
「それはクテシアス様の趣味です。私達も慣れて、今ではこの姿が一番落ち着きます」
ホーリーの言葉にフレアも頷く。
それから色々と話し、これから俺の本題。クテシアスと会った時から考えていた。フレアもホーリーも有能だ。あの幾つも重ねられた防御魔法を見れば分かる。出会ったのも縁だ。だったら俺が雇いたい。
「お二人はこれからどうするつもりなんですか?」
「姉も私もメイド協会に登録するつもりです。さすがに野良メイドでは生きていけませんから」
「だったら私が雇います」
「……シノブ様は本当にこの商会の代表の方なのですね」
「信じられないけど本当なんです」
「申し訳ありません。この商会の名前は野良である私達でさえ聞いていましたから。まさか代表の方がこんな若い方とは思いませんでした」
「まぁ、私は新商品のアイディアを出すだけで、製作はミツバさんだし、商会の運営はお母さんの方が主なんです。でも私が人を雇うのに文句は言わないから大丈夫だと思います」
「……姉さん」
「……」
「そもそもクテシアスさんの角って、めちゃくちゃ高価で希少なんでしょう? このまま二人を帰すんじゃ私もコレを受け取れないです」
「……」
フレアの言葉をホーリーが黙って待つ。
「……シノブ様。よろしくお願いします」
そのフレアの言葉に、ホーリーも続いた。
「よろしくお願いします。私はホーリーと、姉はフレアとお呼び下さい」
「呼び捨てで良いんですか?」
「はい。それとシノブ様、私達に対しては気にせずいつもの言葉遣いでお話し下さいませ」
「分かったよ。その方が私も楽だからね。それと一つ、お願いがある。私の能力を秘密にして欲しいの」
もう二人には見せてしまった能力だ。隠そうとすれば逆に綻びが生まれるかも知れない。
俺の自分の能力を説明する。その特徴と弱点を。
ちなみにキオにもミツバにも、もう説明はしてある。
かしこまりました、と二人とも返事をしてくれるのだった。
こうして我が商会にまた仲間が二人増えるのである。
★★★
「キオ~キオ~ちょっとこっち来て~」
「は、はい、何でしょうか?」
「さっき店頭で会ったと思うけど、フレアとホーリー。うちで働いてもらう事になったよ」
「フレア・ファイファーです。キオ様、これからよろしくお願いします」
「妹のホーリー・ファイファーです。姉共々よろしくお願いします」
「キ、キオです……こ、こちらこそよろしくお願いします……で、でもキオ『様』って……あの、私、そんな呼ばれ方、な、慣れていないので、あの……」
「キオ様。キオ様はシノブ様の大事な友人でもあると聞いています。キオ様と呼ばせて下さい」
ホーリーに言われキオは……
「あ、は、はい……」
諦めた。
「それでキオ。これだよ!!」
俺は小瓶を取り出し見せる。
「それは……」
「シノブ様。その粉を少量、水に溶かして下さい」
「はいはい」
水の中に白い粉を混ぜると、粉は溶け消え、水が粘性を帯びる。まるで水飴。
「それを塗って下さい」
「はいはい、ほら、キオ」
俺はキオの前髪を上げて、その右目の傷口に塗り込んだ。すると……
「マジか……これ、化粧みたいに上塗りしているだけなんじゃ……」
指を滑らせた部分、傷跡が消えていた。一瞬だ。
凄ぇよ、これ、とんでもない効力じゃん。
「はい、鏡」
「鏡……」
キオは鏡を手に取り、そこに映る自分を覗き込む。すっかり傷の消えた右目。ただ閉じているだけのように見える。
「シ、シノブさん……あ、ありがとう、ございます……私……私、ううっ……」
「全く、泣くんじゃないよー」
「ご、ごめんなさい……でも、でも……」
キオの左目から涙がポロポロと落ちていた。
フレアはその様子を黙って微笑みながら見守る。
「でも眼球まで戻らないのは、カトブレパスの瞳だったからかな?」
「キオ様は右目もカトブレパスの瞳だったのですね? それはキオ様のモノではない。だから治せない。そういう事かも知れません」
ホーリーは言う。
それでも傷跡が綺麗サッパリと消えたのだ。良かった。これで……
「じゃあ、キオ。キオの右目を潰した連中をブッ殺しに行こうぜ!!」
「えっ!!?」
★★★
「シノブ……さすがに……さすがに……」
「ちょっとアバンセ。小さくなってちょっとこっち来て」
俺は小さくなったアバンセを抱き、アバンセだけに聞こえるよう小さく呟く。
「お前、俺は竜だぞ? 便利な乗り物じゃないんだぞ?」
「今度は私からキスしてあげる」
「ん? んん?」
「さすがに唇は駄目だけど、今度は私からアバンセの頬にキスしてあげるよ」
「そ、そんな事で俺は……」
俺は自分の唇をプニプニと指で触る。
「アバンセ……私の唇……柔らかいよ」
本当は嫌だけど、たまには飴をくれてやらんとな!!
そして少し離れた所では……
「っ!!」
さすがのフレアも驚いた表情。
ホーリーも驚き言う。
「あの時、確かにアバンセ様の声は聞こえていましたが……まさかシノブ様のお知り合いとは……」
「姐さんはアバンセの婚約者でもあるらしいぜ」
「あの、轟竜パルさんもシノブさんに求婚していると聞きました……」
「シノブはああ見えて悪女。今も人には言えない内容の話をしている」
「ちょっとヴォル!! 聞こえてるから!! 悪女じゃないから!! またアバンセの力を借りるからお願いしていたんだよ!!」
「絶対に違う。唇とか言ってた」
「ヴォルフラム、そんな事はどうでも良い!! 全員、俺の背中に乗れ!! しかし多いな!!」
俺、ヴォルフラム、キオ、フレア、ホーリー、ミツバ。計六人。確かに多い
この仲間で俺達はキオの生まれ故郷に向かうのだった。
大森林に火を付けた馬鹿野郎共だが、命に別状はないものの大火傷をして近くの村に何人も運び込まれたとも聞く。全く悪い事はするもんじゃないよ。
それから一ヶ月ぐらい経った頃だろうか。
「いらっしゃいませ~」
お店に二人の女性が入店する。
初めて会った時と変わらない温和な表情のフレアと。
「シノブ様」
ホーリーだ。
★★★
お店の奥の応接室。
「クテシアス様がお亡くなりになりました」
「……そうですか……」
クテシアスと会っていた時間は短い。それでも知り合った者が死ぬのは悲しい。
「でもクテシアス様は最後に少しでも生きる時間を延ばしてくださったシノブ様に感謝されていました。本人に代わりお礼を申し上げます。ありがとうございました」
ホーリーが言い、二人は頭を下げる。
「だったら良いんだけど」
「シノブ様」
フレアが小さな小箱をテーブルの上に出す。綺麗に細工が施されたその小箱。中にはガラスの小瓶。そしてガラスの小瓶の中には真っ白い粉末。
前世で見られたら、そのまま逮捕されそうな粉だぜぇ……
「これ……もしかして……」
「はい。クテシアス様の角の粉末です。これをシノブ様に」
と、ホーリー。
「良いんですか?」
「はい」
「……ありがとうございます。それと一つ疑問があるんですが……」
「何でしょうか?」
「クテシアスさんが簡単に刺されるなんて思えないんです。フレアさんもホーリーさんもいるわけですし」
それだけが気になった。
なぜ警戒心の強いユニコーンが、そんな事になったのか?
「理由は簡単です。相手が処女であった事もありますが、その見た目が幼く見えたのです」
「……ロリコン?」
「ち、違います!!」
「……私とホーリーは幼い時、クテシアス様に拾われました」
そのフレアの言葉にホーリーが続ける。
「私達姉妹はクテシアス様に救われたのです」
それは二人が幼い頃。
何の用事だったかは覚えていない。フレアとホーリー、そして両親を乗せた馬車。その馬車が盗賊に襲われた。そして両親は殺される前に二人を逃がした。
それを保護したのがクテシアスだったのだ。その時からずっとクテシアスは二人の面倒を見ていたという。
「それからです。クテシアス様は保護者の見えない子供を見ると、すぐに飛び出してしまいます。シノブ様とキオ様の姿を見て飛び出したのもそういう事なのでしょう。心配だったのです」
「そんなに私は子供っぽく見えたかな?」
「はい。失礼ながら」
ホーリーも小さく笑った。
もうあの面白ユニコーンと話す事も出来ないのか。残念だったな……クテシアスのセクハラ顔を思い出し、俺も笑った。
「……ところで何で二人ともメイドなんですか?」
「それはクテシアス様の趣味です。私達も慣れて、今ではこの姿が一番落ち着きます」
ホーリーの言葉にフレアも頷く。
それから色々と話し、これから俺の本題。クテシアスと会った時から考えていた。フレアもホーリーも有能だ。あの幾つも重ねられた防御魔法を見れば分かる。出会ったのも縁だ。だったら俺が雇いたい。
「お二人はこれからどうするつもりなんですか?」
「姉も私もメイド協会に登録するつもりです。さすがに野良メイドでは生きていけませんから」
「だったら私が雇います」
「……シノブ様は本当にこの商会の代表の方なのですね」
「信じられないけど本当なんです」
「申し訳ありません。この商会の名前は野良である私達でさえ聞いていましたから。まさか代表の方がこんな若い方とは思いませんでした」
「まぁ、私は新商品のアイディアを出すだけで、製作はミツバさんだし、商会の運営はお母さんの方が主なんです。でも私が人を雇うのに文句は言わないから大丈夫だと思います」
「……姉さん」
「……」
「そもそもクテシアスさんの角って、めちゃくちゃ高価で希少なんでしょう? このまま二人を帰すんじゃ私もコレを受け取れないです」
「……」
フレアの言葉をホーリーが黙って待つ。
「……シノブ様。よろしくお願いします」
そのフレアの言葉に、ホーリーも続いた。
「よろしくお願いします。私はホーリーと、姉はフレアとお呼び下さい」
「呼び捨てで良いんですか?」
「はい。それとシノブ様、私達に対しては気にせずいつもの言葉遣いでお話し下さいませ」
「分かったよ。その方が私も楽だからね。それと一つ、お願いがある。私の能力を秘密にして欲しいの」
もう二人には見せてしまった能力だ。隠そうとすれば逆に綻びが生まれるかも知れない。
俺の自分の能力を説明する。その特徴と弱点を。
ちなみにキオにもミツバにも、もう説明はしてある。
かしこまりました、と二人とも返事をしてくれるのだった。
こうして我が商会にまた仲間が二人増えるのである。
★★★
「キオ~キオ~ちょっとこっち来て~」
「は、はい、何でしょうか?」
「さっき店頭で会ったと思うけど、フレアとホーリー。うちで働いてもらう事になったよ」
「フレア・ファイファーです。キオ様、これからよろしくお願いします」
「妹のホーリー・ファイファーです。姉共々よろしくお願いします」
「キ、キオです……こ、こちらこそよろしくお願いします……で、でもキオ『様』って……あの、私、そんな呼ばれ方、な、慣れていないので、あの……」
「キオ様。キオ様はシノブ様の大事な友人でもあると聞いています。キオ様と呼ばせて下さい」
ホーリーに言われキオは……
「あ、は、はい……」
諦めた。
「それでキオ。これだよ!!」
俺は小瓶を取り出し見せる。
「それは……」
「シノブ様。その粉を少量、水に溶かして下さい」
「はいはい」
水の中に白い粉を混ぜると、粉は溶け消え、水が粘性を帯びる。まるで水飴。
「それを塗って下さい」
「はいはい、ほら、キオ」
俺はキオの前髪を上げて、その右目の傷口に塗り込んだ。すると……
「マジか……これ、化粧みたいに上塗りしているだけなんじゃ……」
指を滑らせた部分、傷跡が消えていた。一瞬だ。
凄ぇよ、これ、とんでもない効力じゃん。
「はい、鏡」
「鏡……」
キオは鏡を手に取り、そこに映る自分を覗き込む。すっかり傷の消えた右目。ただ閉じているだけのように見える。
「シ、シノブさん……あ、ありがとう、ございます……私……私、ううっ……」
「全く、泣くんじゃないよー」
「ご、ごめんなさい……でも、でも……」
キオの左目から涙がポロポロと落ちていた。
フレアはその様子を黙って微笑みながら見守る。
「でも眼球まで戻らないのは、カトブレパスの瞳だったからかな?」
「キオ様は右目もカトブレパスの瞳だったのですね? それはキオ様のモノではない。だから治せない。そういう事かも知れません」
ホーリーは言う。
それでも傷跡が綺麗サッパリと消えたのだ。良かった。これで……
「じゃあ、キオ。キオの右目を潰した連中をブッ殺しに行こうぜ!!」
「えっ!!?」
★★★
「シノブ……さすがに……さすがに……」
「ちょっとアバンセ。小さくなってちょっとこっち来て」
俺は小さくなったアバンセを抱き、アバンセだけに聞こえるよう小さく呟く。
「お前、俺は竜だぞ? 便利な乗り物じゃないんだぞ?」
「今度は私からキスしてあげる」
「ん? んん?」
「さすがに唇は駄目だけど、今度は私からアバンセの頬にキスしてあげるよ」
「そ、そんな事で俺は……」
俺は自分の唇をプニプニと指で触る。
「アバンセ……私の唇……柔らかいよ」
本当は嫌だけど、たまには飴をくれてやらんとな!!
そして少し離れた所では……
「っ!!」
さすがのフレアも驚いた表情。
ホーリーも驚き言う。
「あの時、確かにアバンセ様の声は聞こえていましたが……まさかシノブ様のお知り合いとは……」
「姐さんはアバンセの婚約者でもあるらしいぜ」
「あの、轟竜パルさんもシノブさんに求婚していると聞きました……」
「シノブはああ見えて悪女。今も人には言えない内容の話をしている」
「ちょっとヴォル!! 聞こえてるから!! 悪女じゃないから!! またアバンセの力を借りるからお願いしていたんだよ!!」
「絶対に違う。唇とか言ってた」
「ヴォルフラム、そんな事はどうでも良い!! 全員、俺の背中に乗れ!! しかし多いな!!」
俺、ヴォルフラム、キオ、フレア、ホーリー、ミツバ。計六人。確かに多い
この仲間で俺達はキオの生まれ故郷に向かうのだった。
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