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第20話:早く何とかしないと~ワイアーム視点~
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「殿下、セーラ様も、よかった。ご無事だったのですね」
目を覚ますと、そこには今にも泣きそうな顔の執事が。そうだ、セーラ。
ふと隣を見ると、スヤスヤと眠るセーラの姿が。よかった、セーラも傍にいる。それよりも、ここは…
辺りを見渡す。ここはセーラと一緒に来た海だ。元の場所に戻って来たのだな…ただ。
眠るセーラをそっと抱き起した。
「本当にご無事でよかったです。殿下とセーラ様が波にさらわれたとき、生きた心地がしませんでした。もしかして、海の神にお会いしたのですか?」
執事がポツリと呟いたのだ。
「ああ、会った。やはりあの男は、セーラを連れて行くつもりらしい。もちろん、渡すつもりはない。もう二度と、あの男の元にはいかせない。ちなみに僕たちが海にさらわれて、何日過ぎた?」
確かマレディア侯爵が、セーラは一度あの男に連れて行かれると、1週間~10日程度帰ってこないと言っていた。きっと今回も、何日か空いているはずだ。ただ、感覚では30分程度話しただけの様な気がするが…
「はい、2週間程、行方不明になれておりました。マレディア侯爵が“海の神に連れて行かれたのだとすれば、しばらくすればどこかの海岸で発見される”とおっしゃっておりました。毎日海岸沿いを捜索していたのです。正直信じられませんでしたが、まさか本当に見つかるだなんて」
「2週間も行方不明になっていただって?もしかして、セーラの年齢が上がれば上がるほど、海にいれる時間が長くなるのか?」
とにかく、もう二度とあの男の元に、セーラを行かせてたまるか。セーラには海に行かない様に、強く伝えよう。セーラは海が好きだ。もしかしたらセーラを悲しませてしまうかもしれないが、今はそんな事は言っていられない。
その後意識の戻ったセーラに、海に行く事を禁止する旨を伝えた。海の代わりに湖に連れて行ったり、森に連れて行ったりして、少しでもセーラの気を紛らわした。
また僕は、少しでもセーラが僕を好きになってくれる様に、紳士を演じ続けた。本当はセーラを僕の腕の中に閉じ込めておきたい。でも、そんな事をしたら、きっと嫌われるだろう。そんな思いから、必死に自分の感情を押し殺し続けた。
その甲斐あってか、セーラは次第に僕に心を開いてくれる様になったのだ。このままうまく行けば、セーラはきっと僕の傍にいてくれるはずだ。そう思っていた。
でも、そううまくは行かなかった。
セーラが15歳の誕生日を迎えたほぼ同時期に、あの女が現れたのだ。そう、レイリス・クレイジーだ。クレイジー家は長年、激しい後継者争いを繰り広げていたが、やっと決着がついたらしい。新しく爵位を継いだクレイジー公爵は、かなりの野心家で、後継者争いでもかなりきな臭い話もある。
そんな娘、レイリスは、帰国早々僕にすり寄って来たのだ。あの女に触れられた瞬間、体中から嫌悪感が沸き上がった。この女、普通の女ではない。一瞬にして、そう理解した。
案の定、クレイジー公爵家は、大蛇の子孫だったのだ。警戒心が強く、欲しいものは何でも手に入れたがる特徴も持った、大蛇の子孫。どうやらクレイジー公爵は自分の娘を、僕の妻にしたいようなのだ。
その為、娘を僕に近づかせたのだろう。大蛇の一族の事だ、きっと手段を択ばないだろう。それも用心深い習性から、きっとそう簡単には証拠を掴ませてはくれない。
「殿下、私が掴んだ情報によりますと、やはりクレイジー公爵は娘をあなた様の婚約者にさせたいようです。ですが、用心深く、盗聴器等も全く使えません。これは一筋縄ではいきませんぞ」
「そうか…あの家の事だ。きっと手段を択ばないだろう。そういえばクレイジー元公爵を事故に見せかけて殺したという噂もあるが…」
「ええ、ありますね。ですが、決定的な証拠がないため、彼らを裁く事は出来なかった様ですよ。実の兄さえ手に掛ける男です。もしかしたら、セーラ様も…」
「セーラをだって?そんな事はさせない!すぐにセーラを守らないと!でも…」
あいつらを生かしておけば、ずっとセーラは危機に晒され続ける。そうなると、セーラは安心して暮らせないだろう。もし僕の目を盗んで、セーラに危害を加えられたら…
「君に頼みがある。僕はあの女…レイリスに近づくよ。そして、龍の力を使い、証拠を手に入れる」
「殿下、それは危険です。龍の力を使うためには、負の感情を爆発させなければいけません。それに、お体にもかなりの負担になります。あなた様のお命にかかわるのですよ」
「分かっている、だから、命を削らない程度に力を使うから大丈夫だ。ただ…龍の力を使うためには、セーラに会う事が出来なくなる。僕はセーラの傍にいる事が、何よりも幸せな事だから…」
龍の力を使えば、相手の心を読むことが出来るのだ。そして、過去の記憶を遡る事も出来る。ただ、過去の記憶を遡るためには、相当な力を使わないといけない。それこそ、命に係わる事なのだ。
その為、極力あの女といて、あの女の心の内を読み、悪事の尻尾を掴むことにしたのだ。そして龍の力を発揮させるためには、悲しみや苦しみ、怒りのパワーが必要になる。
「いいか?長くても半年で決着をつけるぞ。とにかく、極力短期間でケリをつけたい。そうしないと、僕の心が持たない」
セーラに触れられない事は、僕にとって何よりも苦痛だ。いくら感情をコントロールし、理性の磨いたとしても、さすがに長期間セーラに触れあえないのは辛すぎる。
それでも僕は、長期にわたり有害因子になりうるクレイジー公爵とレイリスを排除する事を、優先させることにしたのだ。未来の為に…
目を覚ますと、そこには今にも泣きそうな顔の執事が。そうだ、セーラ。
ふと隣を見ると、スヤスヤと眠るセーラの姿が。よかった、セーラも傍にいる。それよりも、ここは…
辺りを見渡す。ここはセーラと一緒に来た海だ。元の場所に戻って来たのだな…ただ。
眠るセーラをそっと抱き起した。
「本当にご無事でよかったです。殿下とセーラ様が波にさらわれたとき、生きた心地がしませんでした。もしかして、海の神にお会いしたのですか?」
執事がポツリと呟いたのだ。
「ああ、会った。やはりあの男は、セーラを連れて行くつもりらしい。もちろん、渡すつもりはない。もう二度と、あの男の元にはいかせない。ちなみに僕たちが海にさらわれて、何日過ぎた?」
確かマレディア侯爵が、セーラは一度あの男に連れて行かれると、1週間~10日程度帰ってこないと言っていた。きっと今回も、何日か空いているはずだ。ただ、感覚では30分程度話しただけの様な気がするが…
「はい、2週間程、行方不明になれておりました。マレディア侯爵が“海の神に連れて行かれたのだとすれば、しばらくすればどこかの海岸で発見される”とおっしゃっておりました。毎日海岸沿いを捜索していたのです。正直信じられませんでしたが、まさか本当に見つかるだなんて」
「2週間も行方不明になっていただって?もしかして、セーラの年齢が上がれば上がるほど、海にいれる時間が長くなるのか?」
とにかく、もう二度とあの男の元に、セーラを行かせてたまるか。セーラには海に行かない様に、強く伝えよう。セーラは海が好きだ。もしかしたらセーラを悲しませてしまうかもしれないが、今はそんな事は言っていられない。
その後意識の戻ったセーラに、海に行く事を禁止する旨を伝えた。海の代わりに湖に連れて行ったり、森に連れて行ったりして、少しでもセーラの気を紛らわした。
また僕は、少しでもセーラが僕を好きになってくれる様に、紳士を演じ続けた。本当はセーラを僕の腕の中に閉じ込めておきたい。でも、そんな事をしたら、きっと嫌われるだろう。そんな思いから、必死に自分の感情を押し殺し続けた。
その甲斐あってか、セーラは次第に僕に心を開いてくれる様になったのだ。このままうまく行けば、セーラはきっと僕の傍にいてくれるはずだ。そう思っていた。
でも、そううまくは行かなかった。
セーラが15歳の誕生日を迎えたほぼ同時期に、あの女が現れたのだ。そう、レイリス・クレイジーだ。クレイジー家は長年、激しい後継者争いを繰り広げていたが、やっと決着がついたらしい。新しく爵位を継いだクレイジー公爵は、かなりの野心家で、後継者争いでもかなりきな臭い話もある。
そんな娘、レイリスは、帰国早々僕にすり寄って来たのだ。あの女に触れられた瞬間、体中から嫌悪感が沸き上がった。この女、普通の女ではない。一瞬にして、そう理解した。
案の定、クレイジー公爵家は、大蛇の子孫だったのだ。警戒心が強く、欲しいものは何でも手に入れたがる特徴も持った、大蛇の子孫。どうやらクレイジー公爵は自分の娘を、僕の妻にしたいようなのだ。
その為、娘を僕に近づかせたのだろう。大蛇の一族の事だ、きっと手段を択ばないだろう。それも用心深い習性から、きっとそう簡単には証拠を掴ませてはくれない。
「殿下、私が掴んだ情報によりますと、やはりクレイジー公爵は娘をあなた様の婚約者にさせたいようです。ですが、用心深く、盗聴器等も全く使えません。これは一筋縄ではいきませんぞ」
「そうか…あの家の事だ。きっと手段を択ばないだろう。そういえばクレイジー元公爵を事故に見せかけて殺したという噂もあるが…」
「ええ、ありますね。ですが、決定的な証拠がないため、彼らを裁く事は出来なかった様ですよ。実の兄さえ手に掛ける男です。もしかしたら、セーラ様も…」
「セーラをだって?そんな事はさせない!すぐにセーラを守らないと!でも…」
あいつらを生かしておけば、ずっとセーラは危機に晒され続ける。そうなると、セーラは安心して暮らせないだろう。もし僕の目を盗んで、セーラに危害を加えられたら…
「君に頼みがある。僕はあの女…レイリスに近づくよ。そして、龍の力を使い、証拠を手に入れる」
「殿下、それは危険です。龍の力を使うためには、負の感情を爆発させなければいけません。それに、お体にもかなりの負担になります。あなた様のお命にかかわるのですよ」
「分かっている、だから、命を削らない程度に力を使うから大丈夫だ。ただ…龍の力を使うためには、セーラに会う事が出来なくなる。僕はセーラの傍にいる事が、何よりも幸せな事だから…」
龍の力を使えば、相手の心を読むことが出来るのだ。そして、過去の記憶を遡る事も出来る。ただ、過去の記憶を遡るためには、相当な力を使わないといけない。それこそ、命に係わる事なのだ。
その為、極力あの女といて、あの女の心の内を読み、悪事の尻尾を掴むことにしたのだ。そして龍の力を発揮させるためには、悲しみや苦しみ、怒りのパワーが必要になる。
「いいか?長くても半年で決着をつけるぞ。とにかく、極力短期間でケリをつけたい。そうしないと、僕の心が持たない」
セーラに触れられない事は、僕にとって何よりも苦痛だ。いくら感情をコントロールし、理性の磨いたとしても、さすがに長期間セーラに触れあえないのは辛すぎる。
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