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第37話:運命の日を迎えます
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「セーラ、明日はいよいよ君の16歳の誕生日だね。悪いが明日は、この部屋から出ないでくれるかい?君の誕生日パーティーは、この部屋で行おう」
「ええ、分かっておりますわ。それにしても、物々しい警備ですわね。そんなに警戒しなくても大丈夫ですわ。あの歌を歌わなければ、あのお方は私を連れ去る事は出来ませんから」
「それはどうかな?正直僕は、なんだか胸騒ぎがするのだよ。とにかく、油断はできない。とはいえ、君の大切なお誕生日だ。僕だけだけれど、盛大にお祝いをするつもりでいるからね」
「ありがとうございます。私はワイアーム様に祝って頂ければ、満足ですわ」
明日はいよいよ、私の16歳のお誕生日なのだ。その為、今王宮では、物々しい警備が敷かれている。王宮の外はもちろん、私たちの部屋の外にも、沢山の騎士たちが待機しているのだ。
そんなに警戒しなくても、大丈夫だと思うのだが…とにかく明日は、大人しくこの部屋でワイアーム様と過ごす予定だ。
「そろそろ寝ようか。おやすみ、セーラ」
「おやすみなさい、ワイアーム様」
いつもの様に、ワイアーム様に抱きしめられて眠る。ちなみにこうやって一緒に寝るのも、あと少しだ。
私が無事16歳のお誕生日を迎えられたら、マレディア侯爵家に帰る事になっているのだ。ワイアーム様は猛反対していたが、まだ正式に結婚をしていない私が、王宮にずっと暮らす訳にも行かない。
幸いワイアーム様の体調も随分よくなってきている為、そろそろ本格的に公務にも参加する事になっているらしい。とはいえ、体調がよくないときも、外出を伴う公務はすべてこなしていたらしいが…
ワイアーム様は非常に優秀で、普通の人が1時間かかる仕事を、10分で終わらせてしまうらしい。さすが龍の血を、色濃く受け継ぐだけの事はある。
とにかく明日を無事乗り切ったら、私たちも通常の生活に戻る。ちなみに私には一体どんな力が目覚めるのか、密かに楽しみにしているのだ。私もアナ叔母様の様に、お魚とお話しできる力だといいな。
でも、ワイアーム様の性格上、キース様がいる海には、きっともう二度と近づく事は許さないだろう。私は能力を発揮する事なく終わるだろう。でも、それならそれでいい。私はワイアーム様との未来を、選んだのだから。
さて、そろそろ寝よう。さすがに眠くなってきたわ。
ゆっくりと瞳を閉じ、眠りについたのだった。
*****
“セーラ…迎えに来たよ。さあ、私と一緒に行こう”
この声は…
眠い目をこすり、瞼を上げると、そこにいたのは…
「キース様…」
透けてはいるが、間違いなくキース様だ。
「キース様、私は…」
“さあ、いこう。こっちにおいで”
そう言うと、キース様は消えてしまった。次の瞬間、勝手に体が動き出したのだ。一体どうなっているの?ワイアーム様!声を出そうとしても、出すことが出来ない。どうして?どうして体が言う事を聞かないの?
ベッドから起き上がり、そのまま歩き出したのだ。
「セーラ!どこへ行くつもりだい?セーラ」
後ろでワイアーム様の声が聞こえるが、振り向く事など出来ない。
「お嬢様、どちらへ行かれるのですか?止まってください」
近くに控えていた専属使用人たちが私を必死に止めようとするが、簡単に振り払われていく。
「セーラ!しっかりするんだ。もしかして、あの男に操られているのか?」
私の目の前に現れたのは、ワイアーム様だ。助けて、ワイアーム様。
「た…す…け…か…ら…だ…」
ワイアーム様に触れられた瞬間、少しだけ声を発する事が出来たのだ。
「セーラ、体が思う様に動かないのだね。あの男に操られているのだな。なんて事だ、すぐにセーラを…わぁ」
あろう事か、ワイアーム様を突き飛ばしてしまったのだ。なんて力なの?あのワイアーム様を、突き飛ばすだなんて。
必死に抵抗しようとするが、全く体が言う事を聞かない。そのまま部屋から出る。すると外で待機していた護衛たちが
「セーラ様、一体どこへ向かわれるのですか?すぐにセーラ様を止めろ」
大勢の騎士たちが私を取り押さえようとするが、全く歯が立たない。皆、ごめんなさい。
「セーラ様が泣いておられる。もしかして、操られているのか?これが海の神の力なのか?」
近くにいた騎士団長様が呟いた。どうやら騎士団長様は、私の状況を理解できている様だ。
「セーラ!行くな!セーラ」
「ワイアーム殿下、一体どうされたのですか?」
「分からない、ただ、体が思うように動かないのだ。これが海の神の力なのか?クソ、僕をセーラの元に担いで行ってくれ」
「かしこまりました」
後ろで騎士団長様とワイアーム様の声が聞こえる。ワイアーム様の身にまで、変化が起こっているだなんて。私のせいで、ごめんなさい。
キース様、お願いします。どうか私を連れて行かないで下さい。お願いします。私が愛しているのは、ワイアーム様ただ1人なのです。あなたと海で暮らすつもりはありません。どうか分かってください。
必死に心の中でお願いするが、体は相変わらず動かない。それどころか、あり得ないスピードで動き出したのだ。
私を必死に止めようとする護衛たちを、一気になぎ倒していく。どうして?どうしてこんなに体がいう事を聞かないの?お願い、助けて…
「ええ、分かっておりますわ。それにしても、物々しい警備ですわね。そんなに警戒しなくても大丈夫ですわ。あの歌を歌わなければ、あのお方は私を連れ去る事は出来ませんから」
「それはどうかな?正直僕は、なんだか胸騒ぎがするのだよ。とにかく、油断はできない。とはいえ、君の大切なお誕生日だ。僕だけだけれど、盛大にお祝いをするつもりでいるからね」
「ありがとうございます。私はワイアーム様に祝って頂ければ、満足ですわ」
明日はいよいよ、私の16歳のお誕生日なのだ。その為、今王宮では、物々しい警備が敷かれている。王宮の外はもちろん、私たちの部屋の外にも、沢山の騎士たちが待機しているのだ。
そんなに警戒しなくても、大丈夫だと思うのだが…とにかく明日は、大人しくこの部屋でワイアーム様と過ごす予定だ。
「そろそろ寝ようか。おやすみ、セーラ」
「おやすみなさい、ワイアーム様」
いつもの様に、ワイアーム様に抱きしめられて眠る。ちなみにこうやって一緒に寝るのも、あと少しだ。
私が無事16歳のお誕生日を迎えられたら、マレディア侯爵家に帰る事になっているのだ。ワイアーム様は猛反対していたが、まだ正式に結婚をしていない私が、王宮にずっと暮らす訳にも行かない。
幸いワイアーム様の体調も随分よくなってきている為、そろそろ本格的に公務にも参加する事になっているらしい。とはいえ、体調がよくないときも、外出を伴う公務はすべてこなしていたらしいが…
ワイアーム様は非常に優秀で、普通の人が1時間かかる仕事を、10分で終わらせてしまうらしい。さすが龍の血を、色濃く受け継ぐだけの事はある。
とにかく明日を無事乗り切ったら、私たちも通常の生活に戻る。ちなみに私には一体どんな力が目覚めるのか、密かに楽しみにしているのだ。私もアナ叔母様の様に、お魚とお話しできる力だといいな。
でも、ワイアーム様の性格上、キース様がいる海には、きっともう二度と近づく事は許さないだろう。私は能力を発揮する事なく終わるだろう。でも、それならそれでいい。私はワイアーム様との未来を、選んだのだから。
さて、そろそろ寝よう。さすがに眠くなってきたわ。
ゆっくりと瞳を閉じ、眠りについたのだった。
*****
“セーラ…迎えに来たよ。さあ、私と一緒に行こう”
この声は…
眠い目をこすり、瞼を上げると、そこにいたのは…
「キース様…」
透けてはいるが、間違いなくキース様だ。
「キース様、私は…」
“さあ、いこう。こっちにおいで”
そう言うと、キース様は消えてしまった。次の瞬間、勝手に体が動き出したのだ。一体どうなっているの?ワイアーム様!声を出そうとしても、出すことが出来ない。どうして?どうして体が言う事を聞かないの?
ベッドから起き上がり、そのまま歩き出したのだ。
「セーラ!どこへ行くつもりだい?セーラ」
後ろでワイアーム様の声が聞こえるが、振り向く事など出来ない。
「お嬢様、どちらへ行かれるのですか?止まってください」
近くに控えていた専属使用人たちが私を必死に止めようとするが、簡単に振り払われていく。
「セーラ!しっかりするんだ。もしかして、あの男に操られているのか?」
私の目の前に現れたのは、ワイアーム様だ。助けて、ワイアーム様。
「た…す…け…か…ら…だ…」
ワイアーム様に触れられた瞬間、少しだけ声を発する事が出来たのだ。
「セーラ、体が思う様に動かないのだね。あの男に操られているのだな。なんて事だ、すぐにセーラを…わぁ」
あろう事か、ワイアーム様を突き飛ばしてしまったのだ。なんて力なの?あのワイアーム様を、突き飛ばすだなんて。
必死に抵抗しようとするが、全く体が言う事を聞かない。そのまま部屋から出る。すると外で待機していた護衛たちが
「セーラ様、一体どこへ向かわれるのですか?すぐにセーラ様を止めろ」
大勢の騎士たちが私を取り押さえようとするが、全く歯が立たない。皆、ごめんなさい。
「セーラ様が泣いておられる。もしかして、操られているのか?これが海の神の力なのか?」
近くにいた騎士団長様が呟いた。どうやら騎士団長様は、私の状況を理解できている様だ。
「セーラ!行くな!セーラ」
「ワイアーム殿下、一体どうされたのですか?」
「分からない、ただ、体が思うように動かないのだ。これが海の神の力なのか?クソ、僕をセーラの元に担いで行ってくれ」
「かしこまりました」
後ろで騎士団長様とワイアーム様の声が聞こえる。ワイアーム様の身にまで、変化が起こっているだなんて。私のせいで、ごめんなさい。
キース様、お願いします。どうか私を連れて行かないで下さい。お願いします。私が愛しているのは、ワイアーム様ただ1人なのです。あなたと海で暮らすつもりはありません。どうか分かってください。
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