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第5話:どうしても無理です
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「伯爵、マーガレットと2人で話がしたいのですが、よろしいですか?」
2人だなんて、絶対に嫌よ!そんな私の思いとは裏腹に
「ジェファーソン殿は、いつもマーガレットに寄り添ってくれているのだね。それなのにマーガレットは!本当にどうしようもない娘だけれど、どうかよろしく頼むよ。ゆっくり2人で話してくれ。マーガレット、醜い嫉妬心から、あまりジェファーソン殿を困らせるなよ。分かったな!」
お父様とお母様が部屋から出ていく。醜い嫉妬心ですって…結局お父様もお母様も、私の事なんて見てくれていないのだ…
そう思ったら、目の前が真っ暗になった。
「マーガレット」
ふと声の方を向くと、すぐ傍までジェファーソン様が来ていた。
「いや…来ないで下さい…お願いします。どうか来ないで…」
涙を流しながら、必死に訴える。
「辛い思いをさせてしまってすまなかった。確かにマリン譲とはその…色々とあったが、でもほんの出来心だったんだよ。僕はマーガレットの前では常に完璧な男でいたくて。万が一初夜の時、失敗したから嫌だと思ってそれで、マリン嬢に協力してもらっただけだから…僕が心から愛しているのは、君だけだよ」
常に完璧な男でいたい?失敗したらいや?この人は何を言っているの?
「ふざけないで下さい。この国では、婚前での行為はもちろん、パートナー意外との不貞行為はタブーとされているはずです。それなのに、まるで私の為みたいな言い方をして。申し訳ございませんが、マリンと愛し合っている姿を見た今、あなたを受け入れる事は出来ません!あなたの顔を見るだけで、吐き気がするのです」
あの姿を見てしまった今、どうしてもジェファーソン様を受け入れる事など出来ないのだ。これだけは譲れない。
「いくら君が僕を受け入れられないと訴えたところで、僕たちが婚約破棄する事はないよ。君の両親だって、さっきはっきりと言っていたではないか。ただ、君の気持ちを裏切ってしまったのは確かだ。もう二度とマリン譲とは会わないし、これからはずっと、君の傍にいるよ。今は辛いかもしれないけれど、きっといつか笑い話に出来る日が来るはずだ」
笑い話に出来る日が来るですって。そんな日は二度と来ないわ。でも、これ以上この人に何か言っても無駄だろう。
「ジェファーソン様、申し訳ございませんが、あのような光景を目の当たりにして今、私は混乱しております。どうか少し、頭を整理するお時間を頂けないでしょうか?体調も良くありません。ですから、どうか今日はお帰り下さい」
「わかったよ。ただ、これだけは分かって欲しい。僕が好きなのは、マーガレットただ1人だけだから。それじゃあ、今日はゆっくりお休み」
私の頭を撫でて去っていくジェファーソン様。
「リリアン、悪いのだけれど、今すぐ湯あみをしたいの。お願い…」
「かしこまりました。すぐに準備をいたします」
全てを察したリリアンが、すぐに湯あみの準備をしてくれた。そして、体中を磨き上げてくれる。心なしか、さっきジェファーソン様に触れられた頭を重点的に洗ってくれた気がした。
「リリアン、あなたも私の言うことが嘘だと思っている?」
ポツリとリリアンに問いかけた。メイドでもあるリリアンにこんな事を聞くだなんて、きっと返答に困るだろう。分かってはいるが、誰か1人でも、私の言う事を信じてくれる人がいてくれたら…そう思ったのだ。
「私はお嬢様の言う事を信じますわ。そもそもお嬢様は、虚偽をおっしゃる人ではありません。それにさっきのお2人の会話を聞いていましたし。お嬢様、辛かったですね。私はどんな時でも、お嬢様の味方ですわ」
「リリアン…私、本当に辛くて…でも、あなただけでも信じてもらえて嬉しいわ」
リリアンが私の言う事を信じてくれたことが嬉しくて、涙がポロポロと溢れ出る。
「それにしても、さまかジェファーソン様が不貞行為を働くだなんて。正直お嬢様がジェファーソン様を拒絶する理由がよくわかります。お嬢様、証拠が全てです。とにかく、ジェファーソン様とマリン様が不貞を働いている映像をまずは入手しないと」
確かにリリアンの言う通り、2人の不貞の証拠がどうしても必要だ。あの2人がやっぱり許せないし、何よりもこのままジェファーソン様と結婚するなんて出来ない。その為にも、証拠をそろえないと。
「そうよね、ありがとう、リリアン。私、2人の不貞の証拠を必ず手に入れるわ。そして婚約破棄を目指すことにする。でも、後7ヶ月しかないし、今回私にバレたことで、2人が警戒してもう会わないかもしれないわよね。もし7ヶ月以内に証拠が揃えられなければ…」
考えただけで、胸が苦しくなる。あんな2人の姿を見てしまった以上、やっぱり私はなかったことにしてジェファーソン様と結婚するなんてできない。そうなると、修道院に行くくらいしか…
「お嬢様、まだ7ヶ月もあるのです。そんな悲しそうな顔をしないで下さい。微力ながら、私も協力いたしますわ」
「リリアン、あなたって人は。ありがとう、あなたがいてくれるだけで、なんだか頑張れる気がする。そうよね、今から諦めても仕方がないわよね。私、婚約破棄出来る様に頑張るわ」
2人だなんて、絶対に嫌よ!そんな私の思いとは裏腹に
「ジェファーソン殿は、いつもマーガレットに寄り添ってくれているのだね。それなのにマーガレットは!本当にどうしようもない娘だけれど、どうかよろしく頼むよ。ゆっくり2人で話してくれ。マーガレット、醜い嫉妬心から、あまりジェファーソン殿を困らせるなよ。分かったな!」
お父様とお母様が部屋から出ていく。醜い嫉妬心ですって…結局お父様もお母様も、私の事なんて見てくれていないのだ…
そう思ったら、目の前が真っ暗になった。
「マーガレット」
ふと声の方を向くと、すぐ傍までジェファーソン様が来ていた。
「いや…来ないで下さい…お願いします。どうか来ないで…」
涙を流しながら、必死に訴える。
「辛い思いをさせてしまってすまなかった。確かにマリン譲とはその…色々とあったが、でもほんの出来心だったんだよ。僕はマーガレットの前では常に完璧な男でいたくて。万が一初夜の時、失敗したから嫌だと思ってそれで、マリン嬢に協力してもらっただけだから…僕が心から愛しているのは、君だけだよ」
常に完璧な男でいたい?失敗したらいや?この人は何を言っているの?
「ふざけないで下さい。この国では、婚前での行為はもちろん、パートナー意外との不貞行為はタブーとされているはずです。それなのに、まるで私の為みたいな言い方をして。申し訳ございませんが、マリンと愛し合っている姿を見た今、あなたを受け入れる事は出来ません!あなたの顔を見るだけで、吐き気がするのです」
あの姿を見てしまった今、どうしてもジェファーソン様を受け入れる事など出来ないのだ。これだけは譲れない。
「いくら君が僕を受け入れられないと訴えたところで、僕たちが婚約破棄する事はないよ。君の両親だって、さっきはっきりと言っていたではないか。ただ、君の気持ちを裏切ってしまったのは確かだ。もう二度とマリン譲とは会わないし、これからはずっと、君の傍にいるよ。今は辛いかもしれないけれど、きっといつか笑い話に出来る日が来るはずだ」
笑い話に出来る日が来るですって。そんな日は二度と来ないわ。でも、これ以上この人に何か言っても無駄だろう。
「ジェファーソン様、申し訳ございませんが、あのような光景を目の当たりにして今、私は混乱しております。どうか少し、頭を整理するお時間を頂けないでしょうか?体調も良くありません。ですから、どうか今日はお帰り下さい」
「わかったよ。ただ、これだけは分かって欲しい。僕が好きなのは、マーガレットただ1人だけだから。それじゃあ、今日はゆっくりお休み」
私の頭を撫でて去っていくジェファーソン様。
「リリアン、悪いのだけれど、今すぐ湯あみをしたいの。お願い…」
「かしこまりました。すぐに準備をいたします」
全てを察したリリアンが、すぐに湯あみの準備をしてくれた。そして、体中を磨き上げてくれる。心なしか、さっきジェファーソン様に触れられた頭を重点的に洗ってくれた気がした。
「リリアン、あなたも私の言うことが嘘だと思っている?」
ポツリとリリアンに問いかけた。メイドでもあるリリアンにこんな事を聞くだなんて、きっと返答に困るだろう。分かってはいるが、誰か1人でも、私の言う事を信じてくれる人がいてくれたら…そう思ったのだ。
「私はお嬢様の言う事を信じますわ。そもそもお嬢様は、虚偽をおっしゃる人ではありません。それにさっきのお2人の会話を聞いていましたし。お嬢様、辛かったですね。私はどんな時でも、お嬢様の味方ですわ」
「リリアン…私、本当に辛くて…でも、あなただけでも信じてもらえて嬉しいわ」
リリアンが私の言う事を信じてくれたことが嬉しくて、涙がポロポロと溢れ出る。
「それにしても、さまかジェファーソン様が不貞行為を働くだなんて。正直お嬢様がジェファーソン様を拒絶する理由がよくわかります。お嬢様、証拠が全てです。とにかく、ジェファーソン様とマリン様が不貞を働いている映像をまずは入手しないと」
確かにリリアンの言う通り、2人の不貞の証拠がどうしても必要だ。あの2人がやっぱり許せないし、何よりもこのままジェファーソン様と結婚するなんて出来ない。その為にも、証拠をそろえないと。
「そうよね、ありがとう、リリアン。私、2人の不貞の証拠を必ず手に入れるわ。そして婚約破棄を目指すことにする。でも、後7ヶ月しかないし、今回私にバレたことで、2人が警戒してもう会わないかもしれないわよね。もし7ヶ月以内に証拠が揃えられなければ…」
考えただけで、胸が苦しくなる。あんな2人の姿を見てしまった以上、やっぱり私はなかったことにしてジェファーソン様と結婚するなんてできない。そうなると、修道院に行くくらいしか…
「お嬢様、まだ7ヶ月もあるのです。そんな悲しそうな顔をしないで下さい。微力ながら、私も協力いたしますわ」
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