逆行した公爵令嬢!2度目の人生は絶対に失敗しないことを誓う

Karamimi

文字の大きさ
64 / 81

第63話:レオの看病は私がします!

レオが、事件の詳細を話し始めた。

「俺が稽古から帰るため馬車に乗っていると、ぐらりと揺れる感覚と共に、凄い衝撃に包まれたんだ。どうやら車輪に誰かが弓矢で穴をあけた様で、そのはずみで馬車が横転してしまった。足を怪我した俺は、何とか外に這って出たのだが、そこには剣を持った男が5人立っていたよ」

それって、1度目の生で第二王子が王太子様を暗殺した方法によく似ているわ。やっぱり、第二王子の仕業だったのね。

「既に俺に付いていた護衛騎士たちはやられていたよ。俺もやられる!そう思った時、どこからともなく騎士が3人やって来て、そいつらを倒した。それで俺は命拾いしたって訳だ」

ここで、なぜか私の方を向くレオ。

「ミシェル、あの騎士はお前が雇ったのだろう?俺は自分に付けられた騎士はすべて把握しているんだ。でも、彼らは見た事が無い奴らだった。それに、異常な程強かったし」

レオの言葉に、皆が一斉に私の方を向いた。

「ミシェル、それは本当なのか?そう言えば、お前の通帳から随分お金が引き出されていた。元々物欲の少ないお前が、一体何に使っているのかずっと気になっていたんだよ」

お金を使っていた事もバレていたのね。これはもう、正直に話すしかないわね。

「そうよ、シュミナに頼んで私が影の護衛騎士を付けさせたの。レオが心配だったから…」

勝手な事をしたって怒られるかしら?
そう思ったのだが…

「ミシェル、ありがとう。お前のおかげで命拾いしたよ。それに、今回の実行犯も捕まえる事が出来た」

そう言って頭を撫でてくれるレオ。

「ミシェル、俺からもお礼を言うよ。レオを助けてくれてありがとう」

アレックス様が珍しくお礼を言ってきた。

「おバカなミシェルが自分で考えたとは思えないな。おい、元豚。どうせガーディアン侯爵家の次女に指示されたんだろう。あそこはみんな優秀だからな」

う…図星だけれど、そうはっきり言われると腹が立つ!やっぱりキースはキースね。

「コラ、キース、たとえそうであっても、今回はミシェルの手柄だ!ミシェル、レオを助けてくれてありがとう」

レオの両親にも頭を下げられた。

「私はただ、レオを守りたかっただけよ。婚約者として当然のことをしただけ。それより、捕まえた実行犯は何と言っているの?」

きっと、トカゲのしっぽ切りの様に、いくら調べても上まではたどり着けないだろう。それでも気になるのだ。

「そうだ、それでどうなったんだ?」

レオが近くに控えていた執事に確認を取った。

「今取り調べを行っているところですが、ただ…金で雇われただけだからわからないの一点張りでして…」

まあ、そうだろうね。

「それにしても、走っている馬車の車輪に弓を的確に射貫くなんて、相当技術がいるぞ。もしかしたら、かなり大きな組織が絡んでいる可能性もあるな。とにかく今後はさらに警護を強化しよう。レオ、お前はとにかく治す事だけを考えろ。今学期はもう学院を休む様手続きをしておくから」

「わかったよ!でも、ミシェルが心配だ」

「私は大丈夫よ。シュミナやジル様も居るし。何とかなるわ!」

きっと第二王子が絡んでくるだろうけれど、後1ヶ月程度だから何とかなる。

「とにかく今は、レオには休んでもらう事が先決ね。私たちが長居したら、レオがゆっくりできないわ。とりあえずこの話は終わりにしましょう。レオ、ゆっくり休んでね」

レオのお母様に促され、皆が部屋から出て行く。

「ミシェル、あなたもいらっしゃい。帰るわよ」

お母様に手を引かれたが、それを振り払った。

「嫌よ、レオが怪我をしたのよ!今夜は熱が出る可能性があるって先生も言っていたわ。レオが苦しむかと思うと心配で…お願い、お母様。今日はレオの側に居させて」

「ミシェル、お前は何を言っているんだ。結婚前の男女を2人きりに出来る訳ないだろう。何かあったらどうするんだ?」

「お父様、何を言っているの?レオのこの怪我を見て何も思わないの?とにかく、私はここに残るわ。おじ様、おば様、いいでしょう?お願い!」

「まあ、いいんじゃねえの?ミシェルが面倒を見たいって言っているんだから、けち臭い事言わずに見させてやれよ。メイドを付けておけば問題ないだろう」

珍しく私の味方をしてくれたのはキースだ。

「そうね、ミシェルちゃんが側にいてくれたら、レオも嬉しいだろうし。ミシェルちゃん、お願いできるかしら?」

「ええ、任せておいて」

「おい、勝手な事を…」

不満そうなお父様を、お母様達がさっさと連れて行ってくれた。皆、ありがとう。

「レオ、今日はずっと一緒よ。さあ、とにかく休んで」

レオに布団を掛けた。

「ミシェル、お前が居るとなんだか落ち着かないんだけれど…」

苦笑いしつつも、薬が効いて来たのかあっという間に眠ってしまったレオ。

「お嬢様、簡易のベッドを準備いたしました。とりあえず、お嬢様もここで休んでください」

「ありがとう、でも、心配だからもう少し様子を見ているわ」

私は一度寝るとなかなか起きない。もしレオが熱でうなされていても、きっと気づかない自信がある。

レオが寝やすいように、部屋を薄暗くした。しばらくイスに座ってレオを見ていたのだが、どうやらウトウトとしてしまった様だ。気が付いたら夜中になっていた。

ふとレオをみると、あり得ない程汗をかいている。額に手を当てると、熱い…
どうやら熱が出ている様だ。

「ルシアナ、すぐに冷たい水とタオル、それから氷枕を準備して。レオが熱を出したみたい」

「かしこまりました。すぐに準備します」

急いで部屋から出て行くルシアナ。しばらくすると、他のメイドと共に戻って来た。氷枕を使うため、レオの頭を持ち上げると、うっすら目を開けるレオ。

「ごめんね、起こしちゃった?今氷枕を入れるからね」

すぐに氷枕をレオの頭の下に入れた。辛いのか、何も答えず目を閉じるレオ。

ふと1度目の生の時、最後に見たレオの姿を思い出した。目を閉じたレオの姿を見て、一瞬フラッシュバックを起こしたのだ。

「お嬢様、大丈夫ですか?少しお休みになった方が宜しいかと」

ふらつく私を心配してくれたルシアナ。

「大丈夫よ、ありがとう」

とにかく、レオの汗を拭かないと。濡れたタオルで顔を拭く。そうだわ、熱が出た時に飲ませろって、先生に言われていた解熱薬があったわ。

でも、起こすのはちょっとね。次に起きたら、飲ませましょう。
しばらくすると、また目をうっすら開けたレオ。

「ミシェル…水…」

喉が渇いたようだ。

「ルシアナ、お水を頂戴。あと、薬も準備して」

私の指示で、急いで水を持ってくるルシアナ。

レオをゆっくり起こし、水を手渡す。

「レオ、これを飲んだら、薬を飲みましょうね」

一気に水を飲みほしたレオに、再び水と薬を渡す。

「薬は苦いから嫌だ!でも…ミシェルが口移しで飲ませてくれるなら、飲んでもいいぞ」

そう言うと、ニヤッと笑うレオ。熱が高いのか、目がうつろだ。こいつ、こんな時に何を言っているのよ!でも、薬を飲んでくれないと困るし…

ふとルシアナの方を見ると、私は見ていません!と言わんばかりに、背中を向けている。これは、口移しで飲ませてやれという事ね。仕方ないわね。

薬と水を口に含むと、そのままレオの唇に自分の唇を重ね、薬と水をレオの口に流しこんでいく。

「ミシェル、薬苦い。もっと水をくれ」

水ね。慌てて水を手渡すが、なぜか受け取ろうとしない。これも口移しで飲ませろって事か。

「もう、今回だけだからね」

そう言って、口移しで飲ませた。調子に乗ったレオに、ベッドに引きずり込まれる。

「ちょっと、レオ」

さすがに抗議の声を上げるが

「ミシェル、苦しいし熱い、側にいて…」

そう言われては、これ以上抵抗できない。完全に抱き枕になった私をがっちり抱きしめ、レオはスヤスヤ眠ってしまった。こいつ、一体何考えているのよ。そう思いつつ、結局私もそのまま眠ってしまった様だ。



「…シェル、ミシェル。起きろよ」

「う~ん。もう少し…」

誰かに頬を突かれている気がするが…そう言えば私…

急いで起き上がると、隣ではニヤニヤ顔のレオが。

「お前、結構大胆なんだな。俺のベッドに入り込むなんて」

「違うわよ!レオが私を引きずり込んで来たんでしょう?忘れたの?」

「はっ?そんな事俺はしていないぞ。変な言いがかりはよせ!」

嘘でしょう!なんで覚えていないのよ!

「ルシアナ、あなた見ていたわよね」

側で控えていたルシアナに助けを求めるが…

「お嬢様、私は何も見ておりませんし聞いておりません」

そう言って、背を向けてしまった。

ちょっとルシアナ、何で背中を向けるのよ!ちゃんと誤解を解いてよ!そう叫ぼうとした時

「ミシェル、そんなに照れなくてもいいよ!でもベッドに潜り込むのは、結婚してからにしような」

そう言って口付けをするレオ。
だから、違うんだってばーーーー!!!

でも、どうやら熱は下がったみたいでよかったわ。かなり誤解されているのは気になるが、ひとまずレオの熱が下がった事にホッとするミシェルであった。



~あとがき~
レオは意外と甘えん坊です。末っ子ですからね。そんなレオ、本当に夜中の事は覚えていないのでしょうか?
いいえ、しっかり覚えています。ミシェルをからかっているだけです(*'▽')

あなたにおすすめの小説

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

夫婦戦争勃発5秒前! ~借金返済の代わりに女嫌いなオネエと政略結婚させられました!~

麻竹
恋愛
※タイトル変更しました。 夫「おブスは消えなさい。」 妻「ああそうですか、ならば戦争ですわね!!」 借金返済の肩代わりをする代わりに政略結婚の条件を出してきた侯爵家。いざ嫁いでみると夫になる人から「おブスは消えなさい!」と言われたので、夫婦戦争勃発させてみました。

どうしてあなたが後悔するのですか?~私はあなたを覚えていませんから~

クロユキ
恋愛
公爵家の家系に生まれたジェシカは一人娘でもあり我が儘に育ちなんでも思い通りに成らないと気がすまない性格だがそんな彼女をイヤだと言う者は居なかった。彼氏を作るにも慎重に選び一人の男性に目を向けた。 同じ公爵家の男性グレスには婚約を約束をした伯爵家の娘シャーロットがいた。 ジェシカはグレスに強制にシャーロットと婚約破棄を言うがしっこいと追い返されてしまう毎日、それでも諦めないジェシカは貴族で集まった披露宴でもグレスに迫りベランダに出ていたグレスとシャーロットを見つけ寄り添う二人を引き離そうとグレスの手を握った時グレスは手を払い退けジェシカは体ごと手摺をすり抜け落下した… 誤字脱字がありますが気にしないと言っていただけたら幸いです…更新は不定期ですがよろしくお願いします。

赤貧令嬢の借金返済契約

夏菜しの
恋愛
 大病を患った父の治療費がかさみ膨れ上がる借金。  いよいよ返す見込みが無くなった頃。父より爵位と領地を返還すれば借金は国が肩代わりしてくれると聞かされる。  クリスタは病床の父に代わり爵位を返還する為に一人で王都へ向かった。  王宮の中で会ったのは見た目は良いけど傍若無人な大貴族シリル。  彼は令嬢の過激なアプローチに困っていると言い、クリスタに婚約者のフリをしてくれるように依頼してきた。  それを条件に父の医療費に加えて、借金を肩代わりしてくれると言われてクリスタはその契約を承諾する。  赤貧令嬢クリスタと大貴族シリルのお話です。

【完結】白い結婚成立まであと1カ月……なのに、急に家に帰ってきた旦那様の溺愛が止まりません!?

氷雨そら
恋愛
3年間放置された妻、カティリアは白い結婚を宣言し、この結婚を無効にしようと決意していた。 しかし白い結婚が認められる3年を目前にして戦地から帰ってきた夫は彼女を溺愛しはじめて……。 夫は妻が大好き。勘違いすれ違いからの溺愛物語。 小説家なろうにも投稿中

侯爵家の婚約者

やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。 7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。 その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。 カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。 家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。 だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。 17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。 そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。 全86話+番外編の予定

2度目の結婚は貴方と

朧霧
恋愛
 前世では冷たい夫と結婚してしまい子供を幸せにしたい一心で結婚生活を耐えていた私。気がついたときには異世界で「リオナ」という女性に生まれ変わっていた。6歳で記憶が蘇り悲惨な結婚生活を思い出すと今世では結婚願望すらなくなってしまうが騎士団長のレオナードに出会うことで運命が変わっていく。過去のトラウマを乗り越えて無事にリオナは前世から数えて2度目の結婚をすることになるのか? 魔法、魔術、妖精など全くありません。基本的に日常感溢れるほのぼの系作品になります。 重複投稿作品です。(小説家になろう)

一途な皇帝は心を閉ざした令嬢を望む

浅海 景
恋愛
幼い頃からの婚約者であった王太子より婚約解消を告げられたシャーロット。傷心の最中に心無い言葉を聞き、信じていたものが全て偽りだったと思い込み、絶望のあまり心を閉ざしてしまう。そんな中、帝国から皇帝との縁談がもたらされ、侯爵令嬢としての責任を果たすべく承諾する。 「もう誰も信じない。私はただ責務を果たすだけ」 一方、皇帝はシャーロットを愛していると告げると、言葉通りに溺愛してきてシャーロットの心を揺らす。 傷つくことに怯えて心を閉ざす令嬢と一途に想い続ける青年皇帝の物語