大好きだった旦那様に離縁され家を追い出されましたが、騎士団長様に拾われ溺愛されました

Karamimi

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第1章

第2話:騎士団長様に拾われました

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しばらく玄関前で泣いていると、玄関のドアが開いた。中から出て来たのは、デビッドだ。
 
「よかった、まだいたんだな」
 
ホッとした顔のデビッドを見て、やっぱりデビッドは私を愛してくれていたのだわ、そう確信した。嬉しくてデビッドに抱き着こうとしたのだが
 
「これにサインしてくれ。さあ、早く」
 
突き付けられたのは離縁届だ。そんな…やっぱりデビッドは私と離縁するつもりなのね…
そう思ったら再び涙が込み上げて来た。
 
「ビービー泣くな。面倒な奴だな。俺はお前の泣き顔が、一番嫌いなんだよ。ほら、さっさと書け!」
 
無理やりペンを持たされ、泣きながらサインをする。
 
「へったクソな字だな。まあいい。これで俺とお前は晴れて他人だ。それじゃあ、元気で暮らせよ」
 
そう言うと、勢いよく扉が閉められた。これで正真正銘、私とデビッドは赤の他人になったのだ。その事実を受け入れる事が出来ないが、これ以上ここに居たらデビッドに迷惑がかかる。そんな思いから、フラフラと歩き出した。
 
既に両親と一緒に住んでいた家は売り払ってしまったから、帰る家もない。トボトボと歩いていると、雪が降り出した。なんだか寒いと思ったら、雪が降っていたのね。手に握っていたコートを急いで羽織る。
 
ここは住宅街だ。ちょうど夕食時。窓からは幸せそうな家族が、食事をしている風景が目に飛び込んできた。本当なら今頃、デビッドと一緒に結婚1年記念のお祝いをしていたはずなのに…
 
そう思ったら、再び涙が込み上げて来た。ポロポロと溢れる涙をこらえる事が出来ず、泣きながら歩く。特に行く当てがある訳ではないが、ここに留まっていても仕方がない。とにかく、お店がある場所を目指して歩き出した。
 
しばらく歩くと、お店が立ち並んでいる場所に着いた。ここでも親子連れや夫婦、恋人たちが幸せそうに歩いている。その姿を見たら、自分が物凄く惨めに思えてきて、どうしようもない気持ちになった。
 
幸せそうな人たちがいる場所から立ち去りたくて、その場を走って立ち去った。もう嫌、どうしてこんな事になってしまったの?確かに私は幸せだったはずなのに…
 
そんな思いから、涙がとめどなく溢れる。とにかく遠くに行きたくて、必死に走った。でも、次の瞬間
 
「キャッ」
 
思いっきり躓いて転んでしまった。あまりにも豪快に転んだため、周りの人がこちらをチラチラ見ている。転んだ拍子に足と手を怪我したのか、ジンジン痛む。恥ずかしさと痛み、さらに虚しさでその場から動く事が出来ず、座り込んでポロポロと涙を流して泣いた。
 
その時だった。
 
「おい、大丈夫か?」
 
誰かが私に声をかけて来た。ゆっくり顔をあげると、そこにいたのは、茶色い髪に紺色の瞳をした男性。この人は確か、この街の騎士団を束ねている騎士団長様だわ。
 
「君は、食堂で働いているスカーレット殿ではないか?確か今日は、結婚記念日で早く食堂を上がったのではなかったのか?」
 
どうして騎士団長様がそんな事を知っているのかしら?あぁ、そうか。うちの食堂に毎日食べに来ていらしているから、きっと誰かに聞いたのだろう。
 
私の働いている食堂は、騎士団の稽古場のすぐそばにある。その為、騎士団関係の人がよく食事に来るのだ。とにかく、騎士団長様の手を煩わせる訳には行かない。
 
「ご心配いただきありがとうございます。でも、何でもありませんわ。ちょっと転んだだけです。それでは、私はこれで」
 
痛む足を何とか引きずり起こし、立ち上がると、騎士団長様に頭を下げた。
 
「待て。足を怪我しているではないか?とにかく、家まで送っていこう。すまないが、ちょっと失礼する」
 
そう言うと、私を抱きかかえ歩き出した騎士団長様。
 
「あの、大丈夫です。自分で歩いて帰れますから」
 
そう伝えたのだが
 
「足を引きずっていたではないか。とにかく、大人しくしていろ。それにしても、旦那は一体何をしているんだ。妻をこんなところに放置するなんて」
 
旦那…その言葉が胸に突き刺さる。もう私には、旦那様はいないのだ。再び涙が溢れ出した。
 
「おい、どうしたんだ?急に泣き出して。足が痛いのか?待っていろ。急いで家に連れて帰ってやるからな」
 
そう言うと、速足で歩きだした騎士団長様。
 
「お待ちください、騎士団長様。私にはもう帰る家などないのです。ですから、どうか私の事は放っておいてください」
 
「帰る家がないだと?それは一体どういう事だ…」
 
夫に離縁されたのです。そう言いたいが、完全にスイッチが入ってしまった私は、泣きすぎてうまく話すことが出来ない。
 
「とりあえず家に行こう。とにかく、怪我の手当てもしないといけないからな」
 
そう言って私を抱きかかえたまま、騎士団長様は歩き出したのであった。
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