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番外編
ディカルド殿下に絡まれました
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とはいえ、私は体調不良で早退したことになっている。人目につくとマズいから…
そのまま貴族学院の中庭を抜け、どんどん奥へと進んでいく。そしてしばらく進むと。
「あったわ、王妃様がおっしゃっていた、大きな木。これは登りがいがあるわね」
早速気をスルスルと登っていく。貴族学院は部外者の侵入を防ぐため、四方八方を塀で覆われている為、景色が決して良い訳ではない。それでもやはり、木の上はいいわ。
ディーノ様が来るまで、ここでのんびり過ごしていよう。
ディーノ様、今頃気が気ではないでしょうね。動揺して新入生代表のスピーチで、失敗…なんてあの男がする訳ないわ。涼しい顔で、堂々とスピーチをしているところだろう。
そんな事を考えている時だった。何やら視線を感じる。ふと視線の感じる方に目をやると、そこには口をポカンと開けて立っている、ディカルド殿下の姿が。
「あなた様は、ボーレス王国のディカルド殿下ですね。今は入学式のお時間ですわよ。こんなところで何をなさっているのですか?」
この男、堂々と入学式をサボるだなんて、一体何を考えているのかしら?
「あなたこそ、あんな仮病を使って式を抜け出し、挙句の果てに、令嬢が木に登るだなんて」
「あら、令嬢が木に登ってはいけない法律なんて、我が国にはありませんわ。もしかしてボーレス王国には、その様な法律があるのですか?それは面倒ですわね」
「別に法律はないけれど。普通は令嬢は木になんて登らないものだ!」
「その普通は、誰が決めたのですか?そんな普通は、私には通用しません。私に文句を言いに来たのでしたら、お戻りください。私はうるさい人間は嫌いなのです」
シッシッと追い払う。本当に面倒な男ね。ただ、何を思ったのか、ディカルド殿下はそのまま木に登って来たのだ。
「殿下、先ほど散々木に登るのは良くないと、おっしゃっていたではありませんか?どうしてあなたが登って来るのですか?迷惑ですので、さっさとどこかに行ってください」
再びシッシッと追い払ってみるが、なぜか動かない。
「君はその…僕の顔を見ても、なんとも思わないのかい?さっき僕が中庭にいた時、嬉しそうにこちらに来ていたのに、僕の顔を見た瞬間、心底ガッカリしていただろう?だから、その…」
「あら、あの時の事が不満で、私に文句を言いに来たのですか?それなら、こっちが文句を言いたいくらいですわ。私はあんなに令嬢たちが集まっていたので、てっきり新作のお菓子の紹介か何かかと思って行ったのに。まさか皆様、人間に群がっていただなんて…足を運んで損しましたわ」
はぁっとため息をつく。
「君はその…僕の顔を見ても、なんとも思わないのかい?令嬢たちは僕を見ると、皆頬を赤らめるんだよ。無駄に美しいこの顔のせいで、令嬢たちは僕の顔しか見ていない」
顔が美しい?
じーっと殿下の顔を見つめた。
「ヴィクトリア嬢?」
「顔が美しいと、なぜみんな頬を赤らめるのですか?顔が美しいと、令嬢たちにとって何かメリットがあるのですか?例えば、美味しいお菓子のありかがすぐにわかるとか。薬草や毒の知識が一発で身につくとか。はたまた、稽古無しで物凄く強くなれるだとか」
殿下に向かって問いかけた。
「僕にはそんな特殊能力は、備わっていないよ。ただ…皆美しい僕の顔が好きなんだ。でも僕は、この顔が大嫌いだ!この顔のせいで、僕は今まで苦労してきたんだ。こんな顔、捨ててしまいたい!」
「よくわかりませんが、目もしっかりみえ、耳も聞こえ、お話しも出来る。美味しい匂いも嗅ぐことが出来るのでしょう?それなのに、どうしてご自分のお顔に不満があるのですか?しっかり機能しているのなら、問題ないではありませんか?」
コテンと首を傾げた。さらに
「あなたが美しい顔をしているかどうかは、私には分かりません。ただ、お顔なんて皆様、目・鼻・口・耳が付いておりますわ。鼻が高いだの低いだの、目が小さいだの大きいだの、そんな事生きていくうえでは、どうでもいい事だと私は思います。でも、口は大きい方がいいかもしれませんね。一度に沢山美味しいものを口に入れられますから」
ただ、クロハがあまり大きな口で食事をすると怒るのだ。もちろん、人前ではおちょぼ口で食べているのに。誰もいない時くらい、好きに食べさせて欲しいものだわ!
次の瞬間、殿下が何を思ったのか、声を上げて笑ったのだ。一体どうしたのだろう。
「ヴィクトリア嬢と話をしていると、なんだか僕の悩みなんて、どうでもいい様に感じるよ。君の様な令嬢は初めてだ。確かに顔なんて、それぞれしっかり機能していれば、見た目なんてどうでもいいのだよね…それなのに僕は、この美しい顔にコンプレックスを持っていたのだよ。でも、なんだかそんな事すら、バカバカしくなってきた。かつて人形王子なんて呼ばれていたディーノ殿下が、君に出会って変わった理由がよくわかる」
ディーノ様は、他国でもそんな変な名前で呼ばれていたのね。
「あなた様のおっしゃっている事が、よくわかりませんが、悩みが解消されたのならよかったですわ。私はこれから、やらなければいけないことがございますので」
再びシッシッと殿下を追いやると、通信機と携帯用モニターを取り出したのだった。
そのまま貴族学院の中庭を抜け、どんどん奥へと進んでいく。そしてしばらく進むと。
「あったわ、王妃様がおっしゃっていた、大きな木。これは登りがいがあるわね」
早速気をスルスルと登っていく。貴族学院は部外者の侵入を防ぐため、四方八方を塀で覆われている為、景色が決して良い訳ではない。それでもやはり、木の上はいいわ。
ディーノ様が来るまで、ここでのんびり過ごしていよう。
ディーノ様、今頃気が気ではないでしょうね。動揺して新入生代表のスピーチで、失敗…なんてあの男がする訳ないわ。涼しい顔で、堂々とスピーチをしているところだろう。
そんな事を考えている時だった。何やら視線を感じる。ふと視線の感じる方に目をやると、そこには口をポカンと開けて立っている、ディカルド殿下の姿が。
「あなた様は、ボーレス王国のディカルド殿下ですね。今は入学式のお時間ですわよ。こんなところで何をなさっているのですか?」
この男、堂々と入学式をサボるだなんて、一体何を考えているのかしら?
「あなたこそ、あんな仮病を使って式を抜け出し、挙句の果てに、令嬢が木に登るだなんて」
「あら、令嬢が木に登ってはいけない法律なんて、我が国にはありませんわ。もしかしてボーレス王国には、その様な法律があるのですか?それは面倒ですわね」
「別に法律はないけれど。普通は令嬢は木になんて登らないものだ!」
「その普通は、誰が決めたのですか?そんな普通は、私には通用しません。私に文句を言いに来たのでしたら、お戻りください。私はうるさい人間は嫌いなのです」
シッシッと追い払う。本当に面倒な男ね。ただ、何を思ったのか、ディカルド殿下はそのまま木に登って来たのだ。
「殿下、先ほど散々木に登るのは良くないと、おっしゃっていたではありませんか?どうしてあなたが登って来るのですか?迷惑ですので、さっさとどこかに行ってください」
再びシッシッと追い払ってみるが、なぜか動かない。
「君はその…僕の顔を見ても、なんとも思わないのかい?さっき僕が中庭にいた時、嬉しそうにこちらに来ていたのに、僕の顔を見た瞬間、心底ガッカリしていただろう?だから、その…」
「あら、あの時の事が不満で、私に文句を言いに来たのですか?それなら、こっちが文句を言いたいくらいですわ。私はあんなに令嬢たちが集まっていたので、てっきり新作のお菓子の紹介か何かかと思って行ったのに。まさか皆様、人間に群がっていただなんて…足を運んで損しましたわ」
はぁっとため息をつく。
「君はその…僕の顔を見ても、なんとも思わないのかい?令嬢たちは僕を見ると、皆頬を赤らめるんだよ。無駄に美しいこの顔のせいで、令嬢たちは僕の顔しか見ていない」
顔が美しい?
じーっと殿下の顔を見つめた。
「ヴィクトリア嬢?」
「顔が美しいと、なぜみんな頬を赤らめるのですか?顔が美しいと、令嬢たちにとって何かメリットがあるのですか?例えば、美味しいお菓子のありかがすぐにわかるとか。薬草や毒の知識が一発で身につくとか。はたまた、稽古無しで物凄く強くなれるだとか」
殿下に向かって問いかけた。
「僕にはそんな特殊能力は、備わっていないよ。ただ…皆美しい僕の顔が好きなんだ。でも僕は、この顔が大嫌いだ!この顔のせいで、僕は今まで苦労してきたんだ。こんな顔、捨ててしまいたい!」
「よくわかりませんが、目もしっかりみえ、耳も聞こえ、お話しも出来る。美味しい匂いも嗅ぐことが出来るのでしょう?それなのに、どうしてご自分のお顔に不満があるのですか?しっかり機能しているのなら、問題ないではありませんか?」
コテンと首を傾げた。さらに
「あなたが美しい顔をしているかどうかは、私には分かりません。ただ、お顔なんて皆様、目・鼻・口・耳が付いておりますわ。鼻が高いだの低いだの、目が小さいだの大きいだの、そんな事生きていくうえでは、どうでもいい事だと私は思います。でも、口は大きい方がいいかもしれませんね。一度に沢山美味しいものを口に入れられますから」
ただ、クロハがあまり大きな口で食事をすると怒るのだ。もちろん、人前ではおちょぼ口で食べているのに。誰もいない時くらい、好きに食べさせて欲しいものだわ!
次の瞬間、殿下が何を思ったのか、声を上げて笑ったのだ。一体どうしたのだろう。
「ヴィクトリア嬢と話をしていると、なんだか僕の悩みなんて、どうでもいい様に感じるよ。君の様な令嬢は初めてだ。確かに顔なんて、それぞれしっかり機能していれば、見た目なんてどうでもいいのだよね…それなのに僕は、この美しい顔にコンプレックスを持っていたのだよ。でも、なんだかそんな事すら、バカバカしくなってきた。かつて人形王子なんて呼ばれていたディーノ殿下が、君に出会って変わった理由がよくわかる」
ディーノ様は、他国でもそんな変な名前で呼ばれていたのね。
「あなた様のおっしゃっている事が、よくわかりませんが、悩みが解消されたのならよかったですわ。私はこれから、やらなければいけないことがございますので」
再びシッシッと殿下を追いやると、通信機と携帯用モニターを取り出したのだった。
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