15 / 47
第15話:イリとの再会を夢見て~アドレア視点~
しおりを挟む
イリが旅立った翌日。僕は無意識に王都の街に出ていた。でも…
いつもいるはずのイリは、もういない。それが無性に辛かった。イリの代わりに僕が悪党たちを、そう思ったが、今の僕にはまだそんな力はない。
その日から僕は、寝る間も惜しんで魔力をコントロールする事に集中した。確かイリはこんな風に力を使っていたはず。
そう、僕にはイリがどのように魔力を使っているのか、なぜかわかったのだ。イリは無意識に魔力を一か所に集めていた。そしてその魔力が光となって体を覆った時、魔力の力を発揮できる。
ただ、どうやらあの光は僕にしか見えないようだ。一緒にいたイリの手下たちに聞いても、イリが光る姿なんて見た事ないと言っていた。
僕だけが知っている、イリの秘密。僕とイリだけが持っている、魔力。僕とイリは、魔力で繋がっている。僕はずっと、魔力が大嫌いだった。魔力のせいで、僕はずっと孤独だったのだ。でも今は、イリと僕だけが持っている魔力が、愛おしいとさえ思える様になった。
こんな風に変えてくれたのは、まぎれもないイリだろう。
そしてもっともっと魔力の事を理解したいと思う様になった。魔力を理解するという事は、イリの事も理解するという事、なんだかそんな気がしたのだ。
そんな僕の心の変化に応える様に、魔力も僕の体の中で暴走する事がなくなった。それどころか、今まで全くと言っていいほど扱えなかった魔力を、どんどんうまく扱える様になったのだ。
そしてある日、僕は魔力を完全にマスターする事が出来たのだ。魔力をマスターするだなんて、一生無理だと思っていた。そんな僕が、魔力を使いこなすことが出来るようになるだなんて。
それが嬉しくてたまらない。魔力を使いこなせるようになった僕は、今までが嘘のように、体は丈夫になり、勉強がはかどる様になった。
それでも僕は、今まで以上に武術の稽古に挑み、勉学に励んだ。それこそ、何かに憑りつかれた様に…
そんな日々を送っているうちに、気が付けばイリと別れて2年が過ぎていた。この2年、週に1回は街に足を運んでいる。荒くれ者がいれば、僕がイリの代わりに締め上げ、新たに仕事や住む場所を提供してきた。
少しでもイリに近づきたくて、イリと同じことをして過ごす。でも…
イリがいないこの場所は、虚しいだけ…
「イリ…会いたいよ。僕、イリの様に魔力を使いこなせるようになったよ。イリ、僕に言ったよね。イリより強くなったら、結婚してくれるって…イリ、今どこにいるの?」
イリがよくいた裏路地を見つめながら、イリへの想いが溢れ出す。
イリ、会いたい、会いたくてたまらない。
今君はどこにいるのだい?僕はこんなに強くなったのに。今の僕を見て欲しいのに…
この2年、溜まっていた気持ちが一気にあふれ出す。感情がコントロールできなくなった僕の魔力が、一気に放出しようとした時だった。
「アドレア、落ち着きなさい。魔力が暴走しようとしているよ」
僕に声をかけてきたのは、父上だ。
「父上がこんな場所に来るだなんて、一体どういうつもりですか?」
「2年間、本当によく頑張ったアドレアに、私からささやかなアドバイスをあげようと思ってね。さあ、家に帰ろう」
僕にアドバイスだって?いつも僕を突き放してきた父上が、僕に?正直信じられない。何を企んでいるのだろう。
そう思いつつも、父上と一緒に屋敷に戻ってきた。
「そんな怪訝そうな顔をしないでくれ。君はこの2年、本当によく頑張ったね。まさか魔力をマスターするだなんて。それもこれも、イリさんのお陰かな?」
「どうして父上が、イリの事を?」
「私は君の事なら何でも知っているよ。それで、アドレアはこれからどうしたいのだい?イリさんが帰って来るのを、ずっと指をくわえて待っているつもりかい?」
父上が真っすぐ僕を見つめた。
僕は…
いつもいるはずのイリは、もういない。それが無性に辛かった。イリの代わりに僕が悪党たちを、そう思ったが、今の僕にはまだそんな力はない。
その日から僕は、寝る間も惜しんで魔力をコントロールする事に集中した。確かイリはこんな風に力を使っていたはず。
そう、僕にはイリがどのように魔力を使っているのか、なぜかわかったのだ。イリは無意識に魔力を一か所に集めていた。そしてその魔力が光となって体を覆った時、魔力の力を発揮できる。
ただ、どうやらあの光は僕にしか見えないようだ。一緒にいたイリの手下たちに聞いても、イリが光る姿なんて見た事ないと言っていた。
僕だけが知っている、イリの秘密。僕とイリだけが持っている、魔力。僕とイリは、魔力で繋がっている。僕はずっと、魔力が大嫌いだった。魔力のせいで、僕はずっと孤独だったのだ。でも今は、イリと僕だけが持っている魔力が、愛おしいとさえ思える様になった。
こんな風に変えてくれたのは、まぎれもないイリだろう。
そしてもっともっと魔力の事を理解したいと思う様になった。魔力を理解するという事は、イリの事も理解するという事、なんだかそんな気がしたのだ。
そんな僕の心の変化に応える様に、魔力も僕の体の中で暴走する事がなくなった。それどころか、今まで全くと言っていいほど扱えなかった魔力を、どんどんうまく扱える様になったのだ。
そしてある日、僕は魔力を完全にマスターする事が出来たのだ。魔力をマスターするだなんて、一生無理だと思っていた。そんな僕が、魔力を使いこなすことが出来るようになるだなんて。
それが嬉しくてたまらない。魔力を使いこなせるようになった僕は、今までが嘘のように、体は丈夫になり、勉強がはかどる様になった。
それでも僕は、今まで以上に武術の稽古に挑み、勉学に励んだ。それこそ、何かに憑りつかれた様に…
そんな日々を送っているうちに、気が付けばイリと別れて2年が過ぎていた。この2年、週に1回は街に足を運んでいる。荒くれ者がいれば、僕がイリの代わりに締め上げ、新たに仕事や住む場所を提供してきた。
少しでもイリに近づきたくて、イリと同じことをして過ごす。でも…
イリがいないこの場所は、虚しいだけ…
「イリ…会いたいよ。僕、イリの様に魔力を使いこなせるようになったよ。イリ、僕に言ったよね。イリより強くなったら、結婚してくれるって…イリ、今どこにいるの?」
イリがよくいた裏路地を見つめながら、イリへの想いが溢れ出す。
イリ、会いたい、会いたくてたまらない。
今君はどこにいるのだい?僕はこんなに強くなったのに。今の僕を見て欲しいのに…
この2年、溜まっていた気持ちが一気にあふれ出す。感情がコントロールできなくなった僕の魔力が、一気に放出しようとした時だった。
「アドレア、落ち着きなさい。魔力が暴走しようとしているよ」
僕に声をかけてきたのは、父上だ。
「父上がこんな場所に来るだなんて、一体どういうつもりですか?」
「2年間、本当によく頑張ったアドレアに、私からささやかなアドバイスをあげようと思ってね。さあ、家に帰ろう」
僕にアドバイスだって?いつも僕を突き放してきた父上が、僕に?正直信じられない。何を企んでいるのだろう。
そう思いつつも、父上と一緒に屋敷に戻ってきた。
「そんな怪訝そうな顔をしないでくれ。君はこの2年、本当によく頑張ったね。まさか魔力をマスターするだなんて。それもこれも、イリさんのお陰かな?」
「どうして父上が、イリの事を?」
「私は君の事なら何でも知っているよ。それで、アドレアはこれからどうしたいのだい?イリさんが帰って来るのを、ずっと指をくわえて待っているつもりかい?」
父上が真っすぐ僕を見つめた。
僕は…
622
あなたにおすすめの小説
白い結婚で結構ですわ。殿下より、私の自由のほうが大事ですので
鍛高譚
恋愛
「第二王子との婚約? でも殿下には平民の恋人がいるらしいんですけど?
――なら、私たち“白い結婚”で結構ですわ。お好きになさってくださいな、殿下」
自由気ままに読書とお茶を楽しむのがモットーの侯爵令嬢・ルージュ。
ある日、突然“第二王子リオネルとの政略結婚”を押しつけられてしまう。
ところが当の殿下は平民の恋人に夢中で、
「形式上の夫婦だから干渉しないでほしい」などと言い出す始末。
むしろ好都合とばかりに、ルージュは優雅な“独身気分”を満喫するはずが……
いつしか、リナという愛人と妙に仲良くなり、
彼女を巡る宮廷スキャンダルに巻き込まれ、
しまいには婚約が白紙になってしまって――!?
けれどこれは、ルージュが本当の幸せを掴む始まりにすぎなかった。
自分を心から大切にしてくれる“新しい旦那様”候補が現れて、
さあ、思い切り自由に愛されましょう!
……そして、かの王子様の結末は“ざまぁ”なのか“自業自得”なのか?
自由気ままな侯爵令嬢が切り開く、
“白い結婚破談”からの痛快ざまぁ&本当の恋愛譚、はじまります。
大好きな婚約者に「距離を置こう」と言われました
ミズメ
恋愛
感情表現が乏しいせいで""氷鉄令嬢""と呼ばれている侯爵令嬢のフェリシアは、婚約者のアーサー殿下に唐突に距離を置くことを告げられる。
これは婚約破棄の危機――そう思ったフェリシアは色々と自分磨きに励むけれど、なぜだか上手くいかない。
とある夜会で、アーサーの隣に見知らぬ金髪の令嬢がいたという話を聞いてしまって……!?
重すぎる愛が故に婚約者に接近することができないアーサーと、なんとしても距離を縮めたいフェリシアの接近禁止の婚約騒動。
○カクヨム、小説家になろうさまにも掲載/全部書き終えてます
前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします
柚木ゆず
恋愛
※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。
我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。
けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。
「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」
そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。
悪意しかない王命結婚、確かに承りました。
ミズメ
恋愛
父が事業に失敗し、第一王子からは婚約破棄されてしまった侯爵令嬢アメリアは侯爵家没落五秒前の危機を迎えていた。そんな時、周囲を不幸にするという噂のある呪われた王子ユリシスと王命で結婚することになってしまう。
勝手に幸せになりますのでお気になさらず。
[完結]不実な婚約者に「あんたなんか大っ嫌いだわ」と叫んだら隣国の公爵令息に溺愛されました
masato
恋愛
アリーチェ・エストリアはエスト王国の筆頭伯爵家の嫡女である。
エストリア家は、建国に携わった五家の一つで、エストの名を冠する名家である。
エストの名を冠する五家は、公爵家、侯爵家、伯爵家、子爵家、男爵家に別れ、それぞれの爵位の家々を束ねる筆頭とされていた。
それ故に、エストの名を冠する五家は、爵位の壁を越える特別な家門とされていた。
エストリア家には姉妹しかおらず、長女であるアリーチェは幼い頃から跡取りとして厳しく教育を受けて来た。
妹のキャサリンは母似の器量良しで可愛がられていたにも関わらず。
そんな折、侯爵家の次男デヴィッドからの婿養子への打診が来る。
父はアリーチェではなくデヴィッドに爵位を継がせると言い出した。
釈然としないながらもデヴィッドに歩み寄ろうとするアリーチェだったが、デヴィッドの態度は最悪。
その内、デヴィッドとキャサリンの恋の噂が立ち始め、何故かアリーチェは2人の仲を邪魔する悪役にされていた。
学園内で嫌がらせを受ける日々の中、隣国からの留学生リディアムと出会った事で、
アリーチェは家と国を捨てて、隣国で新しい人生を送ることを決める。
『婚約破棄されたので王太子女となります。殿下より上位です』
鷹 綾
恋愛
「君は王太子妃に相応しくない」
その一言で、私は婚約を破棄されました。
理由は“真実の愛”。選ばれたのは、可憐な令嬢。
……ええ、どうぞご自由に。
私は泣きません。縋りません。
なぜなら——王家は、私を手放せないから。
婚約は解消。
けれど家格、支持、実務能力、そして民の信頼。
失ったのは殿下の隣の席だけ。
代わりに私は、王太子女として王政補佐の任を命じられます。
最初は誰もが疑いました。
若い、女だ、感情的だ、と。
ならば証明しましょう。
怒らず、怯えず、排除せず。
反対も忠誠も受け止めながら、国を揺らさずに保つことを。
派手な革命は起こしません。
大逆転も叫びません。
ただ、静かに積み上げます。
そして気づけば——
“殿下の元婚約者”ではなく、
“揺れない王”と呼ばれるようになるのです。
これは、婚約破棄から始まる静かな逆転譚。
王冠の重みを受け入れた一人の女性が、
国を、そして自分の立場を塗り替えていく物語です。
【完結】ブスと呼ばれるひっつめ髪の眼鏡令嬢は婚約破棄を望みます。
はゆりか
恋愛
幼き頃から決まった婚約者に言われた事を素直に従い、ひっつめ髪に顔が半分隠れた瓶底丸眼鏡を常に着けたアリーネ。
周りからは「ブス」と言われ、外見を笑われ、美しい婚約者とは並んで歩くのも忌わしいと言われていた。
婚約者のバロックはそれはもう見目の美しい青年。
ただ、美しいのはその見た目だけ。
心の汚い婚約者様にこの世の厳しさを教えてあげましょう。
本来の私の姿で……
前編、中編、後編の短編です。
わたしとの約束を守るために留学をしていた幼馴染が、知らない女性を連れて戻ってきました
柚木ゆず
恋愛
「リュクレースを世界の誰よりも幸せにするって約束を果たすには、もっと箔をつけないといけない。そのために俺、留学することにしたんだ」
名門と呼ばれている学院に入学して優秀な成績を収め、生徒会長に就任する。わたしの婚約者であるナズアリエ伯爵家の嫡男ラウルは、その2つの目標を実現するため2年前に隣国に渡りました。
そんなラウルは長期休みになっても帰国しないほど熱心に勉学に励み、成績は常に学年1位をキープ。そういった部分が評価されてついに、一番の目標だった生徒会長への就任という快挙を成し遂げたのでした。
《リュクレース、ついにやったよ! 家への報告も兼ねて2週間後に一旦帰国するから、その時に会おうね!!》
ラウルから送られてきた手紙にはそういったことが記されていて、手紙を受け取った日からずっと再会を楽しみにしていました。
でも――。
およそ2年ぶりに帰ってきたラウルは終始上から目線で振る舞うようになっていて、しかも見ず知らずの女性と一緒だったのです。
そういった別人のような態度と、予想外の事態に困惑していると――。そんなわたしに対して彼は、平然とこんなことを言い放ったのでした。
「この間はああ言っていたけど、リュクレースと結んでいる婚約は解消する。こちらにいらっしゃるマリレーヌ様が、俺の新たな婚約者だ」
※8月5日に追記させていただきました。
少なくとも今週末まではできるだけ安静にした方がいいとのことで、しばらくしっかりとしたお礼(お返事)ができないため感想欄を閉じさせていただいております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる