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第37話:いざ、王宮へ~アドレア視点~
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「それじゃあ明日の早朝、再び打ち合わせをした後、王宮に乗り込もう」
「抵抗する様なら、僕の魔力で黙らせましょう。特にジョブレス、ただでは済まさないからな」
あいつだけは、絶対に許さない!何が何でも僕の手で、叩き潰してやる。
「あまり実力行使はしたくないが、抵抗する様なら致し方ないな…」
「それでは私たちは、一旦屋敷に戻ります。正直今すぐにでもメリーアを助けに行きたいが、致し方ない。明日の出来るだけ早い時間に、王宮に乗り込みましょう。それでは失礼いたします」
ゴーレスの言う通り、今すぐ王宮に乗り込みたい。でも、さすがにそれは出来ない。
それでも明日にはレイリスを取り戻すことが出来る。レイリス、どうか無事でいてくれ!そう願いながら眠りについた。
翌朝
「サフィーロン公爵殿、どうか娘を助けて下さい!お願いします」
「お願いします、このままでは娘の命が…」
朝から我が家に集まって来た貴族たち。皆伯爵以上で、適齢期の娘を持つ者たちだ。彼らの話によると、夜会が開かれたあの日、ジョブレスの本性を知らない令嬢たちが、激しいお妃候補争いを繰り広げていたらしい。
その見苦しさに、大勢の令嬢が投獄されたとの事。そして選ばれたお妃候補者たちは、翌日王宮に集められた。お妃候補者たちは、あまりにも酷いジョブレスの傍若無人っぷりに恐怖を抱き、数名の令嬢が昨日の夜逃亡をはかり、投獄されたとの事。
「既に数十名にものぼる令嬢たちが、無実の罪で投獄され、劣悪な環境に置かれているそうです。我が家のメイドの話では、食事も与えられず、寝る場所もないとの事で。メイドが“あまりにもお嬢様が不憫で”と、泣いて訴えておりました。昨日マレールン侯爵殿から話を聞き、いてもたってもいられず駆けつけたのです」
「君たちの気持ちは分かった。私達も今から王宮に行くところだ。最悪の事態になる事に備え、騎士たちも準備してある。皆も協力してくれるか?」
「「「「もちろんです」」」」
当然と言えば当然だが、こんなにも沢山の貴族が、ジョブレスによって傷つき苦しんでいただなんて。増々レイリスが心配だ。
「それじゃあ、王宮に向かおう」
皆で屋敷を出た時だった。さらに大勢の貴族たちが、我が家の前に集まっていた。どうやら今回の話を聞きつけた貴族たちも、あまりにも酷いジョブレスに危機感を抱いて駆けつけてくれたらしい。
「どうか私達にも協力させてください。いくら現陛下が優秀だからといって、あのような愚かな王太子殿下を次期王に据え置くのは私は元々反対だったのです」
「陛下は私達に“ジョブレスには実権を握らせないから、どうか形だけでも王にしてやってくれ”と言っていたのに。こうも簡単に意見を覆されたら、さすがに忠誠心は誓えませんから。とにかく今の王族を、引きずりおろしましょう」
皆が口々に意見をする。ただ、皆の気持ちはただ一つ。これ以上ジョブレスの勝手にはさせない事、陛下とジョブレスを引きずりおろす事、その2点だけは一致している。
「皆、ありがとう。私達の手で、再び健全な国を作り上げよう。その為にも皆が一致団結して戦おうではないか!」
「「「「「おぉぉぉ」」」」」」
父上の言葉で、貴族たちが声を上げた。もしもの時の為に、腰には皆剣がささっている。最悪争いになった時の為だろう。
でも、彼らに戦わせるつもりはない。僕が1人で、ケリを付けてやる。
「それじゃあ、行こう」
皆がそれぞれ馬車に乗り込む。
待っていてくれ、レイリス。今助けるから。
※次回、レイリス視点に戻ります。
よろしくお願いいたします。
「抵抗する様なら、僕の魔力で黙らせましょう。特にジョブレス、ただでは済まさないからな」
あいつだけは、絶対に許さない!何が何でも僕の手で、叩き潰してやる。
「あまり実力行使はしたくないが、抵抗する様なら致し方ないな…」
「それでは私たちは、一旦屋敷に戻ります。正直今すぐにでもメリーアを助けに行きたいが、致し方ない。明日の出来るだけ早い時間に、王宮に乗り込みましょう。それでは失礼いたします」
ゴーレスの言う通り、今すぐ王宮に乗り込みたい。でも、さすがにそれは出来ない。
それでも明日にはレイリスを取り戻すことが出来る。レイリス、どうか無事でいてくれ!そう願いながら眠りについた。
翌朝
「サフィーロン公爵殿、どうか娘を助けて下さい!お願いします」
「お願いします、このままでは娘の命が…」
朝から我が家に集まって来た貴族たち。皆伯爵以上で、適齢期の娘を持つ者たちだ。彼らの話によると、夜会が開かれたあの日、ジョブレスの本性を知らない令嬢たちが、激しいお妃候補争いを繰り広げていたらしい。
その見苦しさに、大勢の令嬢が投獄されたとの事。そして選ばれたお妃候補者たちは、翌日王宮に集められた。お妃候補者たちは、あまりにも酷いジョブレスの傍若無人っぷりに恐怖を抱き、数名の令嬢が昨日の夜逃亡をはかり、投獄されたとの事。
「既に数十名にものぼる令嬢たちが、無実の罪で投獄され、劣悪な環境に置かれているそうです。我が家のメイドの話では、食事も与えられず、寝る場所もないとの事で。メイドが“あまりにもお嬢様が不憫で”と、泣いて訴えておりました。昨日マレールン侯爵殿から話を聞き、いてもたってもいられず駆けつけたのです」
「君たちの気持ちは分かった。私達も今から王宮に行くところだ。最悪の事態になる事に備え、騎士たちも準備してある。皆も協力してくれるか?」
「「「「もちろんです」」」」
当然と言えば当然だが、こんなにも沢山の貴族が、ジョブレスによって傷つき苦しんでいただなんて。増々レイリスが心配だ。
「それじゃあ、王宮に向かおう」
皆で屋敷を出た時だった。さらに大勢の貴族たちが、我が家の前に集まっていた。どうやら今回の話を聞きつけた貴族たちも、あまりにも酷いジョブレスに危機感を抱いて駆けつけてくれたらしい。
「どうか私達にも協力させてください。いくら現陛下が優秀だからといって、あのような愚かな王太子殿下を次期王に据え置くのは私は元々反対だったのです」
「陛下は私達に“ジョブレスには実権を握らせないから、どうか形だけでも王にしてやってくれ”と言っていたのに。こうも簡単に意見を覆されたら、さすがに忠誠心は誓えませんから。とにかく今の王族を、引きずりおろしましょう」
皆が口々に意見をする。ただ、皆の気持ちはただ一つ。これ以上ジョブレスの勝手にはさせない事、陛下とジョブレスを引きずりおろす事、その2点だけは一致している。
「皆、ありがとう。私達の手で、再び健全な国を作り上げよう。その為にも皆が一致団結して戦おうではないか!」
「「「「「おぉぉぉ」」」」」」
父上の言葉で、貴族たちが声を上げた。もしもの時の為に、腰には皆剣がささっている。最悪争いになった時の為だろう。
でも、彼らに戦わせるつもりはない。僕が1人で、ケリを付けてやる。
「それじゃあ、行こう」
皆がそれぞれ馬車に乗り込む。
待っていてくれ、レイリス。今助けるから。
※次回、レイリス視点に戻ります。
よろしくお願いいたします。
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