世間知らずの王女は公爵令息様から逃げる事は出来ません

Karamimi

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第67話:レオナルド様と最後の思い出を作ります【前編】

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着々と国を出る準備が進む中、気が付くと卒業まで1週間を切っていた。後1週間で、レオナルド様とお別れなのね…

そう思うと、心臓が握りつぶされる様な痛みを覚える。レオナルド様の気持ちに気が付いたあの日から、私は自分の気持ちを抑え続けていた。

それでも私は、今でもレオナルド様が大好きだ。この気持ちは、誰にも負けない。もちろん、メアリーにもだ。だからこそ、レオナルド様の幸せを願って、泣く泣く身を引くのだから。でも、正直レオナルド様との思い出が欲しい。

あと少しでレオナルド様もメアリーも、ずっと好きな人と一緒にいられるのだから、少しくらい私にも何か心に残る思い出を作らせてもらってもいいだろう。

そんな思いから

「レオナルド様、卒業まで後1週間を切ったわ。それでね、明日、街にデートに行かない?」

そう提案したのだ。私はレオナルド様と2人きりで街に出た事がない。だからせめて、2人で思い出を作りたいと思ったのだ。

「オリビア、卒業後1ヶ月もすれば、僕たちの結婚式もある。結婚したら、いつでも2人で街に出られるんだよ。そう、いつでもね!だから、今卒業前の忙しいときに、わざわざ街に出る必要は無いと思う」

レオナルド様にはっきりと断られてしまった。なんだか怒っている様だ。もしかして、もうすぐメアリーと頻繁に会えなくなるのに、私が街に出たいと我が儘を言ったら、怒っているのかしら?

私と街に出るくらいなら、少しでもメアリーと一緒にいたいとか?そう思ったら、なんだか悲しくてどうしようもない気持ちになってしまった。

「オリビア、そんな悲しそうな顔をしないでくれ。わかったよ、オリビアが行きたいなら、一緒に行こう。でもね、何度も言うけれど、僕たちはこれからもずっと一緒にいるんだよ。どんな事があってもね!分かっているのかい?」

私が悲しそうな顔をしていたからか、レオナルド様が了承してくれた。

「ええ、分かっているわ。それじゃあ、明日は目いっぱい楽しみましょう。私、お店でスィーツが食べたいわ。それから、砂糖で出来た雲の様なお菓子があるのですって。それも食べに行きたいわ」

「オリビアは食べる事ばかりだね。でも最近痩せてしまったから、心配していたんだよ。これ以上痩せると、ウエディングドレスのサイズを直さないといけなくなるよ。だから、明日は沢山食べて。オリビアが行きたいお店を、沢山回ろう」

レオナルド様が微笑んでくれる。その笑顔、やっぱり大好きだわ。でもこれからは、この笑顔はメアリーのもの…

そう考えると、どうしようもないほど辛くなる。こんな事なら、レオナルド様と出会わなければよかった…

いいえ、今の私があるのは、レオナルド様と出会って彼に恋をしたから。レオナルド様には本当に感謝しているし、誰よりも大切な人だ。だから、彼の笑顔を守る事が、私の使命でもあるのよ。

そう自分に言い聞かせた。


そして翌日、外は絶好のお出かけ日和。今日も青いワンピースを着て、出掛ける。国を出たら、もう青色の服を着るのは止めよう、そう決めている。でも、今日だけはいいわよね。

レオナルド様と一緒に馬車に乗り込み、街を目指す。

「いいかい、オリビア。絶対に僕から離れてはいけないよ。分かっているね」

いつものごとく、念仏の様に唱えているレオナルド様。この言葉を聞くのも、もうこれで最後かしら?そう思ったら、やはりその念仏さえも愛おしい。

「大丈夫よ、何があってもレオナルド様からは離れないわ。絶対にね」

今日だけは、ずっとレオナルド様と一緒にいたい、そんな思いで伝えた。

「オリビア、その言葉、僕は信じているからね」

なぜかレオナルド様が、意味深な言葉を呟いている。

しばらく進むと、馬車が停まった。馬車から降りると、しっかり手を繋いで街を散策する。

「レオナルド様、見て下さい!あのお店、とても素敵な服が売っているわ。あっ、こっちにはアクセサリーも。あのお店からはいい匂いがするわ。あっ、こっちも」

「オリビア、少し落ち着いて。別にお店は逃げないから、1軒ずつ見ていこう」

クスクスと笑いながら、私の手を引きお店に入って行くレオナルド様。

「このお洋服、レオナルド様に似合いそうね。あっ、こっちも素敵だわ、あら、こっちもいいわね」

ここぞとばかりにレオナルド様の洋服を見ていく。少しでも私が選んだ洋服を着てくれたら、そんな思いから、つい選びすぎてしまった。

「さすがにこの量は…でも、せっかくオリビアが僕の為に選んでくれたんだ。全て頂くよ」

なんだかんだ言って全て購入してくれたレオナルド様、そういうところ、やっぱり素敵よね。

「オリビアは自分の服を選ばなくてもいいのかい?そうだ、僕が選んであげるよ。このドレス、素敵だね。あっ、こっちのワンピースも」

レオナルド様も負けじと次々と選んでいく。でも、こんなに選んで貰っても、私はもう国を出ていくのだ。そんな思いから、ワンピースのみを購入する事にした。

「本当にこれだけでいいのかい?遠慮しなくてもいいんだよ」

「大丈夫よ、私、このワンピースがとても気に入ったから」

国を出るとき、このワンピースを着ていこう。だって、レオナルド様が買ってくれた大切な思い出のワンピースですもの。無意識にワンピースを抱きしめていた。

「そんなに喜んで貰えるなんて、嬉しいな。さあ、次のお店も見て回ろう」

レオナルド様と一緒に、お店を見て回る。2人で何気なく街を歩くこの時間も、私にとって宝物だ。
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