邪魔者王女はこの国の英雄と幸せになります

Karamimi

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第35話:王都に行くそうです

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私が1週間留守にしてから、早3ヶ月。あの日以降、すっかり過保護になった旦那様は、極力私の傍で過ごしている。どうやら私から目を離すことが心配な様で、街の視察なども、一緒に同行している。

さらに執務室で作業をするときも、私を傍に置いているのだ。夫婦とはこんなにもずっと一緒にいるものなのね。そう思っていたが…

「旦那様が異常なだけで、通常の夫婦はここまで一緒にいませんよ」

そうリサが教えてくれた。ちなみにどうしても私と離れないといけないときは、リサを含めた複数の使用人に私を見張らせている。そのせいで、動物たちには一切会えていない。時折、動物たちが文句を言っている声が聞こえてくるが…

さらに外に出ると、動物たちが待ち構えているかもしれないとの事で、中庭でのティータイムや、マックとの時間も禁止されてしまった。マックは相当機嫌が悪い様で、久しぶりに会ったマックには、かなり文句を言われた。

私も外に出たいのだが、何分旦那様が心配性なのだ。でも、これほどまでに私の事を大切に思ってくれているのだと思うと、なんだか嬉しい。私はずっと、誰からも必要とされてこなかったのだ。

毎日旦那様の温もりに触れ、一緒に食事をしたり会話をしたり、笑いあったり。抱きしめられて寝たりすることで、いつしか私の中で、旦那様はかけがえのない存在になっている気がする。

これからもずっと、彼の温もりを感じながら生きていくのだろう。いつか旦那様との子供も生まれたら…そんな事まで考えている。

ただ、今のところ夜の営みというものをまだ行っていない。最初の頃は、まだ心の準備が!と思っていたけれど、いつになったら行うのだろう?と、最近疑問を抱いている。もしかして、私から伝えないとダメなのかしら?そんな事まで考えているくらいだ。

よし、今日思い切って誘ってみようかしら?でも、先生が“女性からグイグイ行くのは良くない”と言っていたし…

う~ん…

「レアンヌ様、難しい顔をされてどうされましたか?もしかして、外にも出してもらえず、動物にも会わせてもらえずで、いい加減旦那様に嫌気がさしてきたのではございませんか?」

心配そうに話しかけてきたのは、リサだ。ちなみに今、旦那様は大切な会議に出ている様で、リサ達に見守られながら部屋で過ごしている。ちなみに私の部屋は、動物たちが来ても分からない様、窓に特殊なフィルムが張られていて、外が見えなくなっているのだ。

「リサ、そうじゃないの。実はね、私…」

「レアンヌ、お待たせ。会議が長引いてしまってすまなかった。会いたかったよ」

旦那様が嬉しそうに私の元にやって来て、そのままギュッと抱きしめてくれる。私もギュッと抱きしめ返した。

「今日は随分と長かったですね。お疲れになったでしょう。お茶にしましょう」

リサにお茶を入れてもらい、お互い隣同士に座る。旦那様の隣に座るのも、随分慣れた。最近は隣に座らないと、なんだか落ち着かなくなってきたくらいだ。

「レアンヌ、急なのだが、実は明日王都に行く事になったんだ」

「えっ?王都にですか?」

ビックリして旦那様の方を見る。

「ああ、この前の戦争で、隣国の将軍を倒しただろう?どうやら隣国は、あの将軍の独裁だったみたいで。王族や貴族を皆殺しにしてのさばっていた様でね。今我が軍が、隣国で新たな国を建設するために色々と動いているのだよ。それで、新たに国をまとめ上げる王が必要になってね。私が隣国の王になる事になったんだよ」

「旦那様が隣国の国王陛下になられるのですか?では、この領地はどうするのですか?」

旦那様は自ら望んでこの地を手に入れたと聞いた。旦那様のお母様の故郷でもあり、旦那様自身も育った街だ。きっと思い入れも大きいのだろう。

「この街は、私の部下が受け継ぐことになったよ。元々はこの地の民たちが平和に暮らせるようにするため、あえてこの地を譲り受けた。でも、もう隣国が攻めてくることはない。それに何より、この地にはあのにっくき精霊がいるからな。この地にいる限り、精霊にレアンヌを奪われるのではないかと、怯えて暮らさないといけないのは御免だ!」

「それでは、この地を離れるのですね…」

せっかくこの街の人々や動物たちとも仲良くなったのに…

「そんなに悲しそうな顔をしないでくれ。隣国にも動物はいるし、リサやマックもいる。皆で一緒に、隣国に移り住もうと思っている」

「リサやマックも一緒なのですか?それは良かったですわ」

近くに控えているリサの方を見ると、笑顔で頷いていた。どうやらリサも来てくれる様だ。

「それでだな、話を戻すが、私が隣国の王になる為の就任式が、この国の王都で行われる事になってね。さすがに私が出ない訳にはいかないのだよ。レアンヌにとっては、嫌な思い出しかない王都だけれど、就任式が終わったらすぐに帰るつもりだから、付いて来てくれるかい?」

どうやら私も一緒に行く様だ。確かに今の旦那様だと、私を置いて行くという選択肢はないだろう。

「分かりましたわ。確かに王都…というよりも、王宮には辛い思い出も多いですが、旦那様がいらっしゃるので大丈夫ですわ」

「ありがとう、レアンヌ。君がこの街を気に入っている事も知っているが、どうしても私は、この地にいるのが不安でね。隣国も自然豊かな場所だし、調べたところによると、精霊などもいない様だから、安心して暮らせそうだ」

旦那様ったら、よほどミハイル様の事を警戒していらっしゃるのね。

「とにかく、明日には王都に向けて出発するから、急で申し訳ないが、準備をしてくれるかい?」

「はい、分かりましたわ」
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